心と体を優雅にいたわる「梅雨養生」

穏やかな日差しに満ちた春を楽しんだら、曇天や雨天が何日も続く梅雨がやってきます。外出気分も一気にトーンダウンして、体の調子も今ひとつ…そんな苦手意識をもっている方も多いのではないでしょうか?

天気や気温の変動、湿度の上昇など少し特別な季節だから、心と体を優しくいたわる暮らしの工夫が必要です。
さあ、賢く、幸福な毎日を支える「梅雨養生」を始めましょう!

春と夏をつなぐ梅雨を、私らしく、過ごしたくて

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ブルゾン¥614,900・ドレス¥368,500(ブルネロ クチネリ ジャパン)

雨に濡れて鮮やかさを増す紫陽花を愛でられるのは、梅雨ならでは。季節の美を繊細に楽しむことが、エレガントな大人の「梅雨養生」の第一歩。

名もなき不調の原因を知りましょう|梅雨を迎えた心と体の変化とは

天気が悪いと気分も体も「なんとなく」すっきりしない…「気象病」「低気圧不調」とも呼ばれるさまざまな症状は、梅雨になると頻発し、日常的に悩まされがちです。まずは不調の要因をわかりやすく解説しましょう。

\お話を聞いたのは/

山口 りりこさん
国際中医師・薬剤師・薬膳師
漢方薬店「kampo's」にて、健康、美容など日々のセルフケアに役立つ漢方や薬膳をアドバイス。オリジナルの薬膳商品のプロデュース、企業の商品監修も手掛けている。
松村 圭子さん
「成城松村クリニック」院長
婦人科専門医として、月経トラブルから更年期障害まで女性の一生をサポートする診療を行う。西洋医学をはじめ、漢方・サプリメント・点滴療法など幅広い治療法でさまざまな不調のケアを実践。

 

●こんな症状ありませんか?
・いつもよりむくみやすい
・外出が少し面倒
・気温差のせいか食欲不振
・心も体も「ダル重」…これって気象病?
・蒸すのに、体はひんやり

梅雨時期は、心も体もダウンモード、天気と同じくすっきりしない人も多いのでは。特に、年齢を重ねるほどにひどくなるようで…。だるさや頭痛、イライラ、気分の落ち込みなど、雨の日に生じる不調は総じて「気象病」と呼ばれていますが、何が原因なのでしょう?

成城松村クリニックの松村先生は、「気温や気圧の激しい変動は、自律神経に大きく負担をかけます。更年期はただでさえ自律神経が乱れがちなのに外的要因まで加わるので、より強い不調に悩まされるのです。また、太陽の光で生成されるセロトニンが不足するのでストレスを感じて、精神的に不安定にもなるのです」と解説。

一方、中医学の視点から、山口りりこ先生が指摘するのが、日本人の体質と湿度の関係です。

「食べ物を消化吸収し、水分代謝を担う“脾(ひ)”は、湿気が苦手。“脾”が弱ると外から入り込んできた湿を取り除けず、濁った水が下にたまって重だるさやむくみ、消化不良などを引き起こします。もともと日本人は、“脾”が弱い人が多いので、雨の日に不調を訴えるケースが増えるのです」(山口さん)

気象と心と体のメカニズムが絡んだ梅雨不調を改善するには、本来あるべき状態に導くこと。それが、「梅雨養生」を実践する意味なのです。

心と体の「声」を聞いたら、気分もおしゃれも梅雨にシフト

コート_1,靴_1,夏コーデ_1,大人コーデ_1
コート¥176,000・傘¥16,500(マッキントッシュ 青山店)、レインブーツ¥19,800(ハンタージャパン)

梅雨の外出控えに伴う運動不足は、心と体の不調を加速させる要因のひとつ。きれいな色を取り入れたレインファッションで出かければ、気分も足どりも軽やかに弾んで。

脱・憂鬱の第一歩はここから…梅雨のいいこと・美しいことを楽しもう!

雨に濡れた紫陽花が目を楽しませてくれるように、梅雨には、梅雨だけの魅力がたくさんあります。空の色、景色、空気、雨の音…しっとりと柔らかく心に響く、癒やしのエレメンツは、この時期ならではです。

・空気が潤って、肌もしっとり
・いつもの景色が優しく目に映る
・雨音のBGMで集中力がアップ
・厚い雲や雨が紫外線をガード
・雨音の「1/fゆらぎ」に癒される

日本で生活する私たちは、四季折折の美しさを身近に感じながら日々を過ごしています。梅雨を表す季語があることに思いを巡らすと、独特の風情や魅力があることに改めて気付きます。

例えば、雨や曇りの日は照度が低いので、空気にニュアンスが生まれ、景色が優しく目に映って。

さらに、しとしと降る雨音には、自然がつくる不規則なリズム=「1/fゆらぎ」があり、人間の生体リズムと共鳴してリラックス効果を得られます。脳がリラックスすると自律神経も整うので、交感神経が優位に働く日中は集中力がアップ! 逆に、副交感神経が優位になる夜にはヒーリングミュージックとなって、心地よく眠りにつけるのです。

また、肌が乾燥しにくいのも、この時期ならではのうれしいポイント。雪国に美肌の女性が多いように、しっとりと潤いを含んだ空気が肌に艶やかな潤いを授けてくれます。

そして、最後に、思い出してください。雨上がりに出る虹に感動したり、太陽の光がとてもうれしく感じられたりすることを。憂鬱な雨の日は、実は、いいことの前触れ。しなやかな感性で梅雨を見直すことが、毎日を心地よく、楽しく過ごす「梅雨養生」いちばんの極意なのです。

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パーカ¥146,300・ワンピース¥163,900(トッズ・ジャパン)、傘¥9,900(トラディショナル ウェザーウェア ルミネ有楽町店)

照度が低い雨の日は、パキッとした鮮やかな色のアイテムが品よく映える。オレンジのパーカをさらりと着こなす、新鮮なおしゃれを楽しんで。

※掲載した商品の価格は、すべて税込みです。

問い合わせ先

PHOTO :
浅井佳代子
STYLIST :
小倉真希
HAIR MAKE :
三澤公幸(Perle)
MODEL :
大塚まゆか
EDIT&WRITING :
岡本治子、佐藤友貴絵(Precious)
参考文献 :
『1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日』池田陽子著(JTBパブリッシング)