「もしかしたら大勢乗せるかも…」という理由で3列シートのSUVやミニバンを選ぶ人は少なくない。だが実際に3列目を使うことはごくわずか。それなら、あくまでも積載量に長けたパッケージングを重視して選んだほうが後悔はない。メルセデスの新しいコンパクトSUV、GLBは、まさにそんな一台。実用性が高いうえ、男らしい箱型のスタイリングにもそそられる。

GLAとはここが違う

箱型のフォルムを取り入れたGLB。GLAとは明らかに違うキャラクターに仕上がった。
箱型のフォルムを取り入れたGLB。GLAとは明らかに違うキャラクターに仕上がった。
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2リッターのディーゼルターボエンジンは必要十分なパワー。低速の力強さはディーゼルならでは。
2リッターのディーゼルターボエンジンは必要十分なパワー。低速の力強さはディーゼルならでは。

GLBの基本コンポーネンツは、5人乗りのGLAとほぼ共通だ。単純に考えると、ボディを少し伸ばして3列目シートを押し込んだように思うかもしれない。実際、世の中にはそうした成り立ちのクルマもけっこうある。

しかしGLBは、専用にデザインされたひと回り大きなボディをまとい、GLAよりも前後長を20センチ長くして3列シートを実現した。さらに縦方向に9.5センチ高くすることで、3列目の乗員の窮屈感を払拭している。

GLBの価格帯は518万円(GLB 200 d)から704万円(GLB 250 4マチック)。これまで3列7人乗車モデルを望んでも、GLEよりも大きなボディでなければ用意のなかったメルセデスSUVラインアップに、これで手頃な選択枝が加わった。

スタイリングは、もっとも大きなGLSをそのまま小さくした感じだ。GLAがスポーティなハッチバック&クーペ的なスタイルなのに対し、GLBはワイルドでタフ、そして余裕ある地上高を確保するための腰の高さが目立つ、箱形のフォルムを取り入れている。

では、実用性の高さを感じさせる箱形デザインの中で、3列シートの居住性はどうのように確保されているのだろうか? 前席と2列目は、前後スライドやリクライニング機能もそれぞれに与えられ、快適な5人掛けの空間になっている。

真のフルフラット空間を使いこなそう

2列目の背もたれはリクライニング可能。乗員に優しいだけでなく、荷物の形状や量に応じて調節できるメリットが。
2列目は背もたれをリクライニングできて、座面は前後に140ミリスライド可能。乗員に優しいだけでなく、荷物の形状や量に応じて調節できるメリットが。
ドイツ車のシートはしっかりできているうえ、真っ平らにたためるのがいい。
ドイツ車のシートはしっかりできているうえ、真っ平らにたためるのがいい。
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そして3列目。左右幅は1,110ミリで、大人がふたりで座ると肩が触れあう感じがある。足元もそれほどゆったりとはしていない。実はこのシート、メルセデスでは身長168センチまでを想定している。中学生でもその身長を超える子供がいることを考えると、3列目のシートは小学生までの乗員用と言ってもいいだろう。大人は緊急用とまではいわないが、遠出も快適とはいいがたい。

おそらくこのクルマを手に入れる人の多くは、普段使いで3列目の背もたれをたたんで使うことだろう。5人乗りのSUVとして考えれば十分に実用的な広さ(荷室容量は500リッター)を確保し、床もフラットで実に使いやすい。ここにはスーツケースを4個収めることができるし、2列目もたためば1,680リッターもの大容量に。しかも床には凸凹がほとんどない状態。キャンプや自転車を積んでの週末遊びには最高の1台だ。

優れた実用性と、クーペSUVとは一線を画す男らしいスタイリングは、1日を有意義に使うことに長けた大人に合う。

【メルセデス・ベンツGLB200d】
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,640×1,835×1,700mm
車両重量:1,190kg
駆動方式:2WD(前輪駆動)
トランスミッション:8AT
エンジン:直列4気筒DOHCターボディーゼル 1,949cc
最高出力:110kw(150PS/3,400~4,400rpm)
最大トルク:320Nm/1,400~3,200rpm
価格:¥5,180,000(税込・2021年1月〜)

問い合わせ先

メルセデス・ベンツ

TEL:0120-190-610

この記事の執筆者
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで「いかに乗り物のある生活を楽しむか」をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。