日本庭園の池にニシキゴイ。昭和のお金持ちの家庭が飼っているイメージが強い
日本庭園の池にニシキゴイ。昭和のお金持ちの家庭が飼っているイメージが強い

日本でつくられた唯一の観賞魚であり、古くから親しまれてきたニシキゴイは、日本庭園に欠かせない存在。「今、世界の富豪がニシキゴイに注目している」と噂されていますが、本当なのでしょうか?

今回は、全日本錦鯉振興会の事務局長、西脇秀夫さんにニシキゴイの人気ぶりやズバリの値段、さらに自宅でも飼える人気のニシキゴイについてなど、詳しくお話を伺いました。

「泳ぐ宝石」ニシキゴイの誕生は突然変異だった

江戸時代後半に、新潟県の二十村郷(現在の長岡市・小千谷市・魚沼市)で生まれたとされるニシキゴイ。色のついた鯉が突然変異によって生まれ、これを品種として改良したのがニシキゴイの起源といわれています。その後、約200年にわたって品種改良が続けられてきました。

「現在、ニシキゴイの品種は約100種以上あります。代表的なのは、白地に紅色の斑紋がある『紅白』、白地に紅色と墨色の斑紋がある『大正三色』、墨地に白色と紅色の斑紋がある『昭和三色』です。これらは一般にニシキゴイの御三家といわれていて、人気があります。

一般的にアジアの方は『紅白、大正三色、昭和三色、白写り』、ヨーロッパの方は、『無地、光模様、変わり鯉等多種の品種』を好む傾向があります」と西脇さん。

観賞用魚の輸出が海外の富裕層を中心に増加傾向

現在、日本で生産される7割以上が輸出されているというニシキゴイ。農林水産省によると、ニシキゴイを中心とした鑑賞用魚の平成28年の輸出額は35億6千万円で、平成20年に比べると、なんと約1.6倍に増加しています。

最大の輸出先は香港で、オランダ、米国と続きます。西脇さんによると、アジア、ヨーロッパ、北米とおよそ40か国に日本のニシキゴイが届けられているそう。

ニシキゴイの価格は、体型・色彩・模様などの見極めによって決まる
ニシキゴイの価格は、体型・色彩・模様などの見極めによって決まる

唯一無二の美しさ、幸運のシンボルとして火がついた?

かつて、人気歌手のレディー・ガガもニシキゴイを日本から取り寄せて、ケガの療養中に眺めて心を癒していたとの噂も。海外でニシキゴイが注目を浴びるのはどうしてなのか、再び西脇さんにお伺いしました。

「ヨーロッパにおいては、ガーデニングにつきものの池で、ニシキゴイを優雅に泳がせるのが楽しみのひとつ。遊泳する愛鯉の美しい容姿を堪能する方が多いようです。ニシキゴイが勇壮に泳ぐ姿態に、多彩の色を載せ、しかも“同じ模様がふたつとない”点にも魅力を感じているようです。またニシキゴイ同士はケンカをしないため、平和の象徴でもあります。アジアでは、幸運を招く魚としても認知されています」

こうして海外からの人気が高いニシキゴイ。気になるのはそのお値段ですよね。

「ニシキゴイの価格は数百円から数百万円になることもあります。高額のニシキゴイは人間でいう『容姿端麗』と同じく『体形・色彩・模様』を基本に、『色調・資質』といわれる、バランスや仕上がりの良いもの、将来性の見極めと愛好者の感性などで価格に差が出てくると思われます。私が知りうるこれまでの最高価格は2~3千万円ですね。高額購入者は、各国にいますが、ここ最近はアジア諸国の方が多いです」

世界最大規模を誇る「新潟県錦鯉品評会」にも多くの外国人来訪者が!

あいにくの雨模様にも関わらず、1300人を超える来場者があった品評会
あいにくの雨模様にも関わらず、1300人を超える来場者があった品評会

推定26億円以上の生産額や、100種類近くにおよぶ生産品種を抱える新潟県は、「日本一のニシキゴイ生産地」という事実をご存じですか?

新潟県のニシキゴイは観賞魚として国内のみならず海外でも注目を浴び、北米や欧州、アジアなど48の国や地域に対して輸出が行われています。そんな新潟県の小千谷市で10月28日(土)、29日(日)の2日間開催された「第57回新潟県錦鯉品評会」。

新潟県全域から約90の養殖場が参加し、895匹が出品されました。

「日曜日は雨にも関わらず国内外より1300人を超える多くの来場者がありました」と語るのは新潟県農林水産部水産課の樋口正仁さん。

「愛好家の方はもちろんのこと、ヨーロッパ、アメリカ、アジアからビジネスを目的としたバイヤーさんも多数訪問されていました。ニシキゴイの初心者の方々に、ニシキゴイの歴史や鑑賞ポイント、優勝鯉の説明を行うガイドツアーを初めて行いましたが、1回あたり20人以上の方々に参加していただきました。

また、『新潟の鯉をモンゴルでも販売したい』というモンゴルからの視察者も来場し、2日目には早速生産者と錦鯉の輸出に向けての商談を行っていました」(樋口さん)

担当者の話に熱心に耳を傾けるモンゴルからの視察団
担当者の話に熱心に耳を傾けるモンゴルからの視察団

品評会では、まず主な品種ごとに分けられ、次にサイズ別に分けられるそう。今回の品評会では11品種と15~80㎝超えまで5cmきざみの15クラスに分けられ、その中から大会総合優勝と準優勝、品種ごとの総合優勝と特別賞(ジャンボ賞など)が決められました。

今年の全体総合優勝一席(農林水産大臣賞)は長岡市・丸堂養鯉場の紅白(品種)
今年の全体総合優勝一席(農林水産大臣賞)は長岡市・丸堂養鯉場の紅白(品種)

「全体総合優勝一席には、7つの賞が授与され、賞状やトロフィーなど贈呈されます。副賞はそれほど高額ではありませんが、品評会に入賞することの意義は、その優秀なニシキゴイのオーナーであること、あるいはそれをつく出したという栄誉にあります。結果として優勝した鯉がその後取り引きされる場合、数千万円の評価を受ける場合もあると言われています」(樋口さん)

水槽で飼える小型のニシキゴイにも注目が

小型のニシキゴイ「ジュエリーフィッシュ」は水槽飼育もでき、人気だ。写真の水槽は(株)アクアリゾートオリジナル錦鯉水槽「雅-MIYABI-」。サイズは幅90センチ、販売価格は¥400,000~。水槽の中の錦鯉のサイズ約15センチ(7~10匹)。
小型のニシキゴイ「ジュエリーフィッシュ」は水槽飼育もでき、人気だ。写真の水槽は(株)アクアリゾートオリジナル錦鯉水槽「雅-MIYABI-」。サイズは幅90センチ、販売価格は¥400,000~。水槽の中の錦鯉のサイズ約15センチ(7~10匹)。

ここまでご紹介してきたニシキゴイは大変立派なもので、やはり池で飼うイメージの強いニシキゴイ。

実は水槽で楽しむことも可能で、最近は小型のニシキゴイも人気だそう。自宅で飼育する場合の注意点を再び西脇さんに教えていただきました。

――水槽の大きさや種類は?
西脇さん:「水槽の種類は、ガラス水槽や樹脂水槽がありますが、用途に合わせて選定してください。水槽サイズは、小さめの幅30cm標準水槽(幅30×奥行19×高さ25cm、水容量約12L)から、大きめの幅120cm標準水槽(幅120×奥行45×高さ45cm、水容量約160L)などが一般的です」

――飼育水は水道水でOKですか?
西脇さん:「使用する水については、ほとんどの観賞魚飼育者は『水道水』を使用しています。ただし、水道水には観賞魚に有害な消毒用の塩素剤(カルキ)が含まれていることが多いので、中和剤で中和してから使用してください」

――適した水温は?
西脇さん:「ニシキゴイの飼育適温は『温水性』といわれる15~25℃が望ましいとされています」

――餌について
西脇さん:「ニシキゴイの大きさにあった専用の餌が市販されています。1日1回をすぐに食べ終わるくらいを与えてください。食べ残しがあると水が汚れて、病気の原因になるので、与えすぎに注意しましょう」

――最後に、ニシキゴイを購入する際に注意すべき点があれば教えてください!
西脇さん:「いちばん大切なのは、健康で身体に奇形や欠損がないことを確認すること。模様については、バランスが必要ですが、最初はそのような見方にとらわれず、自分がキレイと思うニシキゴイを選べばよいと思います

ニシキゴイの世界、いかがでしたか?

このように日本の伝統的なニシキゴイ文化が海外で評価されるのはとてもうれしいこと。縁起物や平和の象徴といった新たな一面を知り、これからは、池で見かけるニシキゴイたちも違った視線から楽しめそうですね!

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この記事の執筆者
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WRITING :
田代祐子
EDIT :
青山 梓(東京通信社)