Preciousウォッチアワード審査員7名が着目したのは!?話題作満載の2022年、ラグジュアリーウォッチの新潮流ダイジェスト

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時計『プルミエール オリジナル エディション』¥759,000・ブラウス/参考商品・フープピアス¥836,000・リング[太]¥759,000・[細]¥566,500(シャネル)

2021年は「レディスウォッチ大豊作」の年として例年にない盛り上がりを見せたラグジュアリーウォッチ界でしたが、2022年はそれにも増し、各メゾンから個性豊かな新作が数多く誕生しました。

パンデミックの収束を見据え、ますます活況を見せている高級時計市場において、プレシャス世代が注目すべき潮流を総括します!

「Precious ウォッチアワード 2022」審査員

雨宮 塔子さん
フリーキャスター・エッセイスト
(あめみや・とうこ)TBSのアナウンサーとして活躍後、1999年に退社し渡仏。フランス語、西洋美術史を学ぶ。2016〜2019年、『NEWS23』(TBS)のキャスターを務めた後、再びフランスへ。スイスの時計フェアの取材歴もあり、時計への造詣は深い。YouTubeチャンネル「À l'aube」ではパリの日々を発信中。
犬走 比佐乃さん
スタイリスト
(いぬばしり・ひさの)本誌をはじめ数々の女性誌や、長年担当している鈴木保奈美さんほか、多くの女優のスタイリングも手掛け、「マダム犬走」の愛称で広く支持されている。30年以上第一線を走り続けているキャリアで培われた「名品」に対する高い審美眼には定評があり、時計好きとしても知られる。
関口 優さん
『HODINKEE Japan』編集長
(せきぐち・ゆう)時計専門誌の編集長を4年間務め、専門誌売り上げNo.1へと導く。2019年9月、世界的な時計デジタルメディア『HODINKEE Japan』の編集長に就任。2020年12月には『HODINKEE マガジン日本版』を創刊し、デジタルと両輪で日本における時計ジャーナリズムを牽引する。
立野 リカさん
モデル(Precious専属)
(たつの・りか)アメリカ・カリフォルニア州出身。2011年、モデルとしての活動をスタート。2015年9月から本誌専属モデルを務める。仕事柄多くの名品ウォッチを手にしてきた経験から、磨かれた審美眼の持ち主に。特に腕時計への関心が高く、本格機械式時計を少しずつコレクションしている。
本間 恵子さん
ウォッチ&ジュエリージャーナリスト
(ほんま・けいこ)大学卒業後、宝飾メーカーに入社。ジュエリーデザイナーとして勤務した後、その知識を生かし、宝飾専門誌エディターに転身。その後フリーランスとなり、女性誌や新聞など幅広いメディアで専門性の高い記事を執筆している。アンティークウォッチの愛好家としても知られている。
岡村 佳代さん
ウォッチ&ジュエリージャーナリスト
(おかむら・かよ)名品時計のムックを手掛けたことをきっかけに、その魅力に開眼。スイスの時計フェアの取材歴は20年以上と屈指のキャリアを誇り、女性に機械式時計の魅力を啓蒙した第一人者として知られる。マニアックになりすぎないわかりやすい筆致で、幅広い媒体で記事やコラムを執筆している。
守屋 美穂
『Precious』 編集長
(もりや・みほ)小学館入社以来28年にわたり、女性誌の編集や新媒体の立ち上げに携わる。読者ターゲットである働く女性のファッションから美容、ライフスタイルまで幅広い分野に精通。ラグジュアリーウォッチにも関心が高く、スイスでかつて開催されていた時計展・バーゼルワールド取材経験も。

2022年は、3年ぶりにスイスでの新作時計フェアがフィジカルで開催されるなど、パンデミック前の状況にだいぶ戻った感のあるラグジュアリーウォッチ界。Preciousでは早々に日本に上陸した新作を取材し、8月号でその一部をご紹介しましたが、今回はそれ以降に発表された最新作を含めデータを徹底収集。

時計のタイプごとに11の部門に分け、高い審美眼と見識をもつ7名の審査員によって厳正な審査を行いました。それぞれのアワードは、各部門で最も多くの票を集めた作品に贈られます。

より多彩な表現で魅力を増した女性のための機械式時計

各メゾンからエントリーされたすべての新作を俯瞰した審査員たちの共通した感想は、「これまでに増して、レディスウォッチの表現の幅が広がった」ということ。

「各メゾンが女性用の時計を本気でつくってきているという印象を受けました。これまではメンズの縮小版が多かったラグジュアリーウォッチ界において、自立した女性に向けた時計が数多く誕生。そのぶんサイズもよりジェンダーレスなものが増えました」(関口 優/敬称略〈以下同〉)

ジェンダーの垣根を取り払ったケース径40mm弱の「アラフォー」サイズが、トレンドを超えすっかり定着した一方、自動巻きムーブメントを搭載しながらもグッと小型化した「アラサー」サイズが増えたことも、2022年のレディスウォッチの大きなトピックスです。

「年々、機械式時計が増えてきましたが、今年はさらに機械式その割合が増えたなと感じました。これまでだったら普通にクオーツムーブメントだったであろう小ぶりなジュエリーウォッチでも機械式ムーブメント搭載のモデルが多く、それは少し驚いた点ですね」(雨宮塔子)

名品_2,ジュエリーウォッチ_1,ダイヤモンド_1,高級時計_2
『セルペンティ ミステリオーシ ハイジュエリー シークレットウォッチ』予価¥36,825,800(ブルガリ)

このジュエリーウォッチのために新開発された、直径わずか12.3mmの極小手巻きムーブメントを搭載。時計製造、宝飾技術共に、至高のクラフツマンシップの美しき結晶。

●ケース:PG×ダイヤモンド×ターコイズ×ルベライト
●ケース径:40mm
●ブレスレット:PG×ダイヤモンド×ターコイズ
●手巻き


なかでも特に目立ったのが、「33mm径」というサイズ。

「今までの自動巻きは40mmを切っても36mmや38mm径というモデルが多かったので、こうした小顔メカニカルウォッチが増えてきたのは各メゾンがレディスに力を入れてきた証拠ともいえそうです」(本間恵子)

パテック フィリップの『ムーンフェイズ Ref.7121/200』
『ムーンフェイズ Ref.7121/200』¥5,731,000(パテック フィリップ) 

●ケース:WG×ダイヤモンド
●ケース径:33mm
●ストラップ:アリゲーター
●手巻き

ショパールの『ハッピースポーツ』
『ハッピースポーツ』¥5,346,000(ショパール ジャパン プレス)

●ケース:エシカルRG×ダイヤモンド
●ケース径:33mm
●ブレスレット:エシカルRG
●自動巻き

名門マニュファクチュールも、女性に捧げる33mm径の自動巻きモデルをリリース。華奢な手首にも違和感なくフィットする絶妙なサイズ感。

名品のしなやかな進化と笑顔を誘う時計

ここ数年、時計界を席巻してきたラグジュアリースポーツウォッチですが、2022年に発表されたモデルは思いのほか少なく、トレンドから定番的な立ち位置へと落ち着いた印象。そんななか、改めてその「強さ」を示したのが、メゾンを象徴するアイコニックな名品の数々です。

「“カルティエ”の『パンテール ドゥ カルティエ』のように、デザインの核となる部分は大切に受け継ぎながらも、時代と共にしなやかに進化していく名品の魅力を再確認した年でした」(犬走比佐乃)

カルティエの『パンテール ドゥ カルティエ』
『パンテール ドゥ カルティエ』¥1,161,600 (カルティエ) (C)Cartier

●ケース:SS×ダイヤモンド
●ケースサイズ:縦30×横22mm
●ブレスレット:SS
●クオーツ

常にしなやかな進化を続け、時代を超えて愛される名品ウォッチ。働く女性の手元にさりげなくエレガンスを授ける。


「年々増えてきたインターチェンジャブルストラップを、2022年は“ブレゲ”がメゾンを代表する正統派機械式ウォッチに採用したことはとてもインパクトが大きかったですね。“名品の進化”を象徴する注目作のひとつです」(守屋美穂)

ブレゲの『クラシック 8068』
『クラシック 8068』¥3,553,000(ブレゲ ブティック銀座)

●ケース:RG×ダイヤモンド
●ケース径:30mm
●ストラップ:ブラックのサテン風ファブリック ※カラーアリゲーターの替えストラップ2本が付属
●自動巻き


また、数年ごとに登場する「トレンドカラー」ですが、近年のグリーン旋風は一段落。2022年は「トレンドカラーがないのがトレンド」ともいわれていますが、審査員たちは「ブラック」に着目。

「私が個人的に好きということもあるかもしれませんが、本格機械式時計からジュエリーウォッチまで、ブラックをまとった新作が目を引きました」(立野リカ)

ヴァン クリーフ&アーペルの『ペルレ ウォッチ 23㎜』
『ペルレ ウォッチ 23mm』¥1,280,400(ヴァン クリーフ&アーペル)

●ケース:YG
●ケース径:23mm
●ストラップ:グログラン ※発売商品はアリゲーターに変更
●クオーツ
※交換可能なストラップ2本、18KYGのピンバックルひとつが付属

ハリー・ウィンストンの『HW アヴェニューC ミニ・エリプティック』
『HW アヴェニューC ミニ・エリプティック』¥4,136,000(ハリー・ウィンストン)※世界限定50本

●ケース:YG×ダイヤモンド
●ケースサイズ:縦32.3×横15.6mm
●ストラップ:アリゲーター
●クオーツ  

これまで比較的マスキュリンなモデルに用いられることが多かったブラックが、今年はジュエリーウォッチに新たな表情を授けるエッセンスに。


カラーを含め、トレンドが定番へと定着した2022年ですが、これまでになかったタイプのコンプリケーションの登場が大きな話題に!

「“トゥールビヨン”や“永久カレンダー”とは違って、星が流れたり、花が咲いて時を知らせるといった笑顔を誘うコンプリケーションの登場は衝撃的でした」(岡村佳代)

例年にも増し、多彩な顔ぶれが出揃った「Precious ウォッチアワード 2022」。それぞれの部門でアワードに輝いた新たな名品たちは、意志と信念をもち、時を刻んでいく女性たちの未来を、明るく照らし出してくれることでしょう。

 

※掲載した商品は、すべて税込価格です。
※文中の表記は、PT=プラチナ、WG=ホワイトゴールド、PG=ピンクゴールド、RG=ローズゴールド、YG=イエローゴールド、SS=ステンレススティールを表します。

問い合わせ先

PHOTO :
久富裕史(N°2/人物)、池田 敦(CASK/静物) 
STYLIST :
押田比呂美(人物)、関口真実(静物)
HAIR MAKE :
三澤公幸(Perle)
NAIL :
米倉瑠花(uka) 
MODEL :
立野リカ(Precious専属)
EDIT&WRITING :
岡村佳代、安村 徹(Precious)