日常の喧騒から離れた居心地のいい空間、優しく体を包み込む温泉、そしてその土地ならではの美食…。これらを兼ね備えた上質な湯宿は、多忙な現代人が心身にためこんだストレスや疲れをリセットするのに最適な癒しスポットだといえます。

そこで温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、心身共に整えて、新年を快調にスタートさせたい人におすすめの温泉宿をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは愛知・湯谷温泉にある「はづ木」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
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これぞ医食同源!漢方薬膳懐石料理で体の中から癒される

愛知・奥三河のパワースポットともいわれる鳳来寺山の麓に湧く湯谷温泉。川沿いの静かな温泉街の一画に佇む一日5組限定の湯宿が今回ご紹介する「はづ木」です。こちらの宿は、温泉もさることながら中国漢方薬膳懐石料理でリラックスできる環境が素晴らしいと植竹さんは話します。

はづ木の外観
数寄屋造りで和の情緒が漂う「はづ木」。

「はづ木のシェフは、薬膳の本場・中国の出身。宿のご主人が今から30年ほど前に、“温泉に入った後は、料理でも健康になってほしい”との思いから中国で食べ歩きをして、上海のレストランからシェフをお招きしたのだそうです」(植竹さん)

はづ木のウェルカムドリンク
ウェルカムドリンクから薬膳がスタート!

「健康美食を謳う湯宿は数多くありますが、『はづ木』のように本格薬膳を提供するところは、私の知る限りでかなり貴重。食前の紹興酒からデザートに至るまで、一連の料理に霊芝(れいし)や枸杞子(くこ)など生薬が使われており、ひとつひとつの料理について宿のスタッフが効能などをきちんと説明してくれます」(植竹さん)

はづ木の料理に使われている生薬
料理には十数種類以上の生薬を使用。

「薬膳というと、味がどうか気になる人もいるかもしれませんが、『はづ木』の料理は塩で素材の旨味を引き出すなど、日本人の舌に合うように絶妙にアレンジされており、薬膳が初めてという人にも食べやすいのではないかと思います。例えば、烏骨鶏の漢方スープは滋味深い出汁感があり、シメの漢方炊き込みご飯も苦さなどはなく茶飯のような上品な味わいだったのが印象的です」(植竹さん)

はづ木の漢方薬膳懐石料理
懐石料理の繊細さと薬膳料理の滋味深さを融合した「はづ木」のコース料理。

「朝食も地元産豆乳を使った紅花(血行促進効果があるとされる漢方)入りのできたて豆腐が絶品。黒米・白米・もち米の混合粥や薬膳ゼリー、ノンカフェインのコーヒーなど、どこまでも体想いのメニューで、朝から心身が癒される実感がありました」(植竹さん)

はづ木の朝食
「はづ木」の朝食。

「ちなみに、これは漢方の専門家から聞いた話なのですが、目や肺、胃腸など、自分の体の中で弱っている器官があると、そのパーツにアプローチする漢方は味覚が受け入れやすいのだそう。

『はづ木』で提供される薬膳はどれも食べやすくおいしいのですが、そのなかでも特に『この味は何だかしっくりくる』と感じられるものがあるかと思うので、ぜひ自分の体と対話しながら食事を召し上がってみてはいかがでしょうか」(植竹さん)

渓流沿いの露天風呂で至福のひとときを…

植竹さんに「はづ木」の温泉の魅力についても語っていただきました。

はづ木の露天風呂
渓谷を見晴らす源泉かけ流しの露天風呂。

「こちらの宿の温泉は源泉かけ流しで、宿泊客は貸切で湯谷温泉の名湯を堪能できます。自然に囲まれた露天風呂からは渓流を見下ろせて風情たっぷり。川のせせらぎに耳を澄ましマイナスイオンを浴びることによるヒーリング効果も期待できます。泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物温泉。ポカポカと体がよく温まり保湿作用もある湯で、リラックスと美肌の両方を叶えることができました」(植竹さん)

客室からの眺め
客室からの眺めにも癒されそう。
はづ木の和洋室
和洋室ではツインベッドを完備。

以上、「湯谷温泉 はづ木」をご紹介しました。知らず知らずにうちに疲れやストレスをためこみやすい現代人にとって、ここは体を内外から整えるのに最適な湯宿。次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)