【目次】
【原因】首は加齢トラブルが起こりやすい
【1】気付いていますか? 首は顔より年齢が出やすい
首は顔以上に深刻な加齢トラブルが噴出しやすい部位。それなのに、顔のついでに手に余ったものでお手入れする程度しかせずに、ケアが後手に回っている人が多いのではないでしょうか。
でも首の皮膚は薄いため、刺激を受けやすく外的刺激に弱いのです。しかも可動域が大きいからこそ皮膚が伸びやすくたるみやすいので、実は顔よりも老けやすい――。放置すれば「顔は若いのに、首はしわしわの年寄り肌」という、顔と首との「年齢の乖離」が確実に起こります。
【2】なぜ、首は加齢トラブルが起こりやすいのか?
(a)筋肉の凝り
頭は約5kgの重さがあり、まっすぐ立ってこれを支えるだけでも、首や肩に負荷がかかっているそうです。さらに頭を前に15度傾ければ12kg、30度では18kg、45度では22kgと、うつむくほどに負荷が増し、60度では27kgと小学生の子供ひとり分の負荷がかかる、という説も…。
このハードな負荷が首こりの原因のひとつ。デスクワークやスマホの使用で前のめりの体勢を続けていると、僧帽筋(首から肩、背中にある幅広い筋肉)、胸鎖乳突筋(鎖骨の付け根部分から首の横を通り、耳の下あたりに沿って浮き出る筋肉)が凝り固まることに。
すると血行、リンパの流れが悪化してむくみやたるみが起こるため、あご下に肉がたまるのです。これが、首を太く縮んだように見せてしまう…。この手のことはコスメだけでは解決できず、首こりをケアし、血液やリンパの流れを活性化するマッサージが必須なのです。
(b)紫外線
東京・六本木ヒルズにある美容皮膚科「アオハルクリニック」院長、小柳衣吏子さんによると、首も紫外線の影響を受けているようです。
「老化によってできるしわのひとつに、ちりめんじわがあります。首はそれほど日焼けする部位ではないのですが、太陽光のアスファルトへの跳ね返りなどでも紫外線に当たるので、首までUVケアをしたほうがよいでしょう。
また、菱形皮膚(りょうけいひふ)という、首の後ろの部分にたくさんのしわができる現象がありますが、これは完全に光老化が原因。うなじにも日焼け止めを塗ることが大事です」
UVケアに加え、保湿も必要なのだとか。
「顔と比べて首は極端に皮脂腺が少ないので、保湿ケアもしっかり行ったほうがいいですね。また、首は年齢とともにどんどんたるみ、二重あごになったり、さらに顎先と首が1枚の皮のようにつながる現象が起きてきがちです」
首の前側にできる横ジワに関しては、生まれつきの要素が大きく関係するようですが、こうしたエイジングによるしわを予防するには、「UVケアと保湿、それとベロ出し運動などで、”あごの裏の筋肉”を鍛える」とよいそう。
スマホばかり見るのはNG!3人の皮膚科医に聞いた「首にしわをつくらないつの良習慣」
【習慣】首のしわを防ぐには?
首のお手入れ、具体的にどのようにしたらよいのでしょうか。自らも「極上肌」を手に入れた皮膚科医・小林智子さんによると――。
【1】保湿ケア
「基本的には保湿ケアがメインになってきます。首用のものでなくてもよいので、毎日顔に塗っている化粧水や乳液・クリームを、首にも塗るようにします」
【2】むくみ・たるみのケア
「むくみやたるみがひどいと、さらにしわができやすくなりますが、むくみやたるみの解消のためには、リンパマッサージが有効です。リンパの流れに沿って、耳の後ろから鎖骨のくぼみの方向へ、やさしくマッサージしてください」
【3】UVケア
「日々の紫外線対策も大切。あまり意識していなかった方も多いかもしれませんが、顔の紫外線対策だけでなく、首まできちんとUVクリームを塗るようにします。特に夏場の紫外線の強い時期にはご注意。ストールを巻くなどして対策を取ってくださいね」
ちなみに、最近ではレーザー治療を行っている美容皮膚科も増えているそうです。
逆に、首にしわが入りやすくなってしまう、してはいけない習慣は――? 京都・四条にある「あいこ皮フ科クリニック」院長・柴 亜伊子さんに注意点を伺いました。
【4】首に折り目をつけるしぐさはNG
「枕が高すぎたり、スマホを見るために下ばかり向いていると、あごを引くことで首の皮膚に折り目がついてしまいます。折り目をつけないようにするのが肝心で、折り畳んでばかりだとどんどん溝が深くなり、深いしわになっていきます」
【5】引っ張る・伸ばすはNG
「マッサージといいながら肌を上下に引っ張ったり、伸ばしたりもNG。顔と同じで、首のしわも引っ張ったり伸ばしたりするとそのぶん皮膚が伸び、しわやたるみの原因になります」
【6】摩擦を与えたり力を入れすぎるのもNG
「首のマッサージは、引っ張って摩擦を起こさないように。首のリンパを流すにも摩擦が起きないよう、首から左の鎖骨(心臓の上)に向かって保湿剤を塗りながら、撫でさするだけで十分です」
機器や道具を使ってのマッサージはしない方が無難。首には大事な神経や血管がたくさんあり、機器などを使うと力の入れ過ぎによる悪影響が懸念されるそう。
「首を押し過ぎたりすると、気持ち悪くなることもあります。手指を使ってやさしく撫でてあげるだけにし、なるべく触らないようにしましょう」
スマホばかり見るのはNG!3人の皮膚科医に聞いた「首にしわをつくらないつの良習慣」
【エクササイズ7選】首のしわに効果的な運動
【1】太く縮んだ「たるみ首」をケアするマッサージ
\このマッサージの効果とポイント/
・頭は約5kgの重さがあり、まっすぐ立ってこれを支えるだけでも、首や肩に負荷がかかる。
・前のめりの体勢を続けていると、僧帽筋、胸鎖乳突筋が凝り固まることに。
・結果、血行、リンパの流れが悪化してむくみやたるみが起こるため、あご下に肉がたまる。
・首こりをケアし、血液やリンパの流れを活性化するマッサージになります。
<STEP.1> まずはストレッチして硬く縮んだ筋肉を伸ばす
・首の筋肉は日常では伸び縮みさせることがないので、凝り固まりがち。
・まずは筋肉をゆるめて緊張を解きます。
<STEP.2> フェースラインに沿って引き上げるようになでる
・うつむいている時間が長いと血流とリンパの巡りが滞りがち。
・老廃物を流し、首が短く見える原因、たるみを解消。
<STEP.3> 耳の前後を指で挟んでほぐすと血行が高まる
・耳の前後には血行を高めるツボ、リフトアップ効果のあるツボが集中。しっかりとほぐすとスッキリ首に。
<STEP.4> 耳下から鎖骨に向かってリンパを流してむくみを一掃
・手のひらを使って首と頭をつなぐ胸鎖乳突筋を通って鎖骨へ流すようにゆっくりと動かします。
・3回ほど繰り返して。
<STEP.5> 胸鎖乳突筋をゆるめてリンパの流れを改善する
・胸鎖乳突筋はパソコン作業などで凝り固まると、血流が悪くなりむくみの原因に。
・ストレッチでゆるめましょう。
<STEP.6> 広頚筋を伸ばし、首しわの折りグセを解消
・イーッと言いながら、あごを上げます。
・しわを伸ばしながら胸鎖乳突筋と広頚筋がしなやかになり、ハリのある首に。
【2】ハリのある首に仕上げる「顔振りストレッチ」
\このストレッチの効果とポイント/
・スマホやパソコンで動画などを観て、うつむいてばかりいると、アゴがたるむ。
・結果、二重アゴになっていたり、首に濃いしわが刻まれることに。
・そうならないためにも、今この時から、アゴや首のケアを始めましょう。
・二重アゴや首のしわ対策になるほか、フェースラインがスッキリしてくるはず。
<STEP.1>顔を右にゆっくり動かす
・耳と肩の距離を最大限遠ざけた状態で、顔を右にゆっくりと動かす。
・正面を向いた時の鼻の位置を変えずに動かす。
<STEP.2>顔を左にゆっくり動かす
・次は左側へと顔をゆっくりと動かす。この時も鼻の位置を変えずに動かすように意識を。
・STEP.1~2の往復5回をくり返してください。
「斜め後ろを見るように、できるだけ顔を動かして、胸鎖乳突筋が浮き出るぐらい刺激することがポイントです」(ウェルネス&ダイエットエキスパート・和田清香さん)
3分でできる!自粛生活でゆるみがちなアゴ&首をケアする「ストレッチ」4選
【3】ハリのある首に仕上げる「腕上げストレッチ」
<STEP.1>腕を耳横まで上げて、上体を反らす
・左腕を耳横まで上げ、目線は手のひらを見ながら、できるかぎり胸から上体を反らしてストップ。
・この状態で自然な呼吸を3回繰り返してください。反対側も同様に。
「腕を上げたほうの反対側の耳下から胸の中央までが伸びていることを感じられたらOKです」(ウェルネス&ダイエットエキスパート・和田清香さん)
3分でできる!自粛生活でゆるみがちなアゴ&首をケアする「ストレッチ」4選
【4】オバ見えする首のしわに! 「鎖骨&あごをほぐすマッサージ」
\このマッサージの効果とポイント/
・スマホに熱中し、長時間下を向いたままの姿勢の悪さが首のしわの深くすることに。
・首のしわ解消には広頚筋を緩めて柔軟にすることが効果的。
・広頚筋を柔軟にするには、鎖骨周りとあごのマッサージが効く。
・最後に広頚筋をマッサージしてほぐして緩めることも、首のしわ軽減につながる。
<STEP.1> 鎖骨の上下を人さし指と中指でほぐす
・体の中心側の鎖骨を上下に挟むように、人さし指と中指を当ててグーっと圧をかけます。
・そして、左右に小さくスライドさせるように、10回うにうにとほぐしていきます。
・鎖骨の中心から外に向かって、指の位置をずらしながら計4カ所ぐらい行って。反対側も同様に行いましょう。
<STEP.2> あごからエラにかけてマッサージする
・人さし指と親指で口角の下あたりのあごの骨をぐっとつかむように圧をかけます。
・そしてSTEP.1と同様に、左右に小さくスライドさせるように、10回うにうにとほぐしていきます。
・これをエラのあたりまで、計4カ所をマッサージを。反対側も同様に行いましょう。
<STEP.3> 広頚筋を指の腹でマッサージしてほぐす
・人さし指、中指、薬指の3本の指の腹で、首の横の広頚筋をSTEP.1や2の要領で、うにうにとほぐします。
・これによって広頚筋がしっかりと緩み、首のしわが出にくくなります。
・上から鎖骨にかけて3カ所をほぐしてください。反対側も同様に行いましょう。
オバ見えする「首のしわ」に!鎖骨&あごをほぐすマッサージが効く
【5】スマホ首解消!「首コリ対策まくら」のつくり方
\このマッサージの効果とポイント/
・一日中、パソコン、スマートフォンが手放せない人は「スマホ首=ストレートネック」になる危険が。
・ストレートネックになると頭の重さを首だけでは支えられなくなり、首の筋肉への負担が増加。
・ストレートネックは頚椎にも負担がかかるし、首コリ、肩コリを引き起こす。
・硬くなった首の筋肉を緩めて、頚椎が本来の自然な湾曲を取り戻すには、バスタオルを筒状に巻いた首まくらが有効。
<STEP.1> バスタオルを4つ折りにして筒状に巻くだけ
・バスタオルを半分に折り、またその半分に折ってから、ちょっときつめに巻いていく。バスタオルの厚みや、その人の頭の形にもよるのですが、2〜3回ぐらい巻き、寝てみながら厚み調整をしていきます。
・顎が上がったり、下がったりしないで、まっすぐ天井に対して眉間が並行であることが大事。
・視線は顔に対して垂直で、まっすぐ天井を見れているか、をチェックしてみてください。
・後頭部が浮いていると感じたら、写真のようにもう一枚バスタオルを敷いて高さを調整をしましょう。
<STEP.2> 安眠効果を高めるために耳マッサージを
・耳にはたくさんのツボがあり、マッサージすると目の疲れや首コリ、肩コリを解消する効果が。
・引っ張ったり、耳の付け根をグルグルと回したりするだけで、血流促進され顔がぽかぽかに。
・リラックス効果があり、安眠効果が得られますよ。
バスタオル1枚で「スマホ首」解消!首がほぐれる、まくらのつくり方
【6】「舌スイングエクササイズ」でフェースラインのもたつきを解消
\このエクササイズの効果とポイント/
・「舌スイングエクササイズ」は、舌を思いっきり出し、虹を描くようにスイングさせるエクササイズ。
・舌の根元はあごの組織とつながっているため、舌を出して動かすことであごまでも鍛えられるのです。
・すると、自然とフェースラインのもたつきもすっきり解消!
・口角から鎖骨につながる筋肉もしっかり伸ばせるので、年齢とともに気になる首のしわにも効果てきめん。
<STEP.1> 舌をしっかり伸ばして左右にスイング
・両手を胸の前でクロスさせ、首の前側を伸ばして反らせます。
<STEP.2> 舌を出してスイングを8回繰り返す
・舌を思いっきり出し、目とともに虹を描くようにスイングさせます。
・8回行ったら舌を引っ込めて正面を向き、手を下ろしましょう。
【7】顔のたるみを解消する「首&肩周りほぐし体操」簡単3ステップ
\このエクササイズの効果とポイント/
・顔のたるみ対策は、まず凝り固まった筋肉をリセットして、姿勢を正すことから。
・口元の筋肉や骨格は全身とつながっているため、姿勢の悪さのせいでほうれい線や下がり口角などが進行してしまうのです。
・首のしわとほうれい線はセットと考えられるので、首のしわがある人は特にしっかりほぐしておきましょう。
<STEP.1>手を尾骨の上に置き、鎖骨&胸郭を開く
・両手のひらの面を尾骨の上で重ね、鎖骨と胸郭が開くように、今できる最大限に肩甲骨を寄せておきます。
・痛くなるまで無理に寄せるのは禁物です。
・次に、姿勢を変えずに首を前後に動かします。
・手の位置をそのままに、深呼吸をしながらゆっくりと下を向き、次に上へ反らします。これを10回繰り返す。
・首の前後が心地よく伸びるのを感じてください。
<STEP.2> 手のひらを返して尾骨の上で置き直す
・今度は両手のひらを外側に向けて、尾骨の上で手を合わせ直します。
・肩を落として、力を抜いておくことがポイントです。
・胸の間くらいを支点に、首を左右に大きく動かしていきます。
・ゆっくりと深呼吸をしながら10回行い、徐々に可動域を広げるイメージでいけるところまで動かしましょう。
・首が前や後ろに出ないように注意してください。
<STEP.3> ハンガーを胸の前で持つ
・姿勢を正してイスなどに座り、胸の前でハンガーを持ちます。
・脚は安定するように、肩幅くらいに開いておきます。
・深呼吸しながらぐるりと半周回します。
・自分の体を支点に、いちばん大きな半円を描くようにして、ハンガーを遠くへと深呼吸をしながら回す。
・時計回りと反対回りを各3回ずつ行ってください。
この、ちょっとした時間にできる「首&肩周りのほぐし体操」を習慣にして、できる限りたるみの進行を防ぎましょう!
- TEXT :
- Precious.jp編集部