【目次】

緊急時の「クールダウン」とその後の「ケア」【対処法7選】


【1】炎症を起こした肌を完全にクールダウン

「うっかり日焼けをしてしまった直後、おそらく大半の人は肌が赤くなっているはず。これは肌が炎症を起こしている状態なので、まずはクールダウンすることが大切です。濡らしたタオルや冷たいおしぼり、保冷剤をタオルで包んだものなどで冷やしてあげましょう。タオルなどが手元にない場合は、水道水などで冷やしてあげてもOK。熱を持っているときは熱いお風呂やシャワーも控え、とにかく冷やすことを心がけましょう。触れると痛いからと言って、そのまま放置するのはNGです。

冷やす時間は日焼けの程度によるので一概には言えませんが、赤みが少しおさまる、熱を持っていたのが引いてくるなど、肌の状態に応じて対応するようにしてください。また、シミにさせないために美白ケアを……とすぐに美白化粧水や美白美容液などをつける方もいるかもしれません。しかし、日焼けは肌が炎症を起こしている状態。そのため普段使っている化粧水でもしみることがあります。炎症を悪化させてしまう恐れもあるので、十分にクールダウンしてから行うようにしましょう」(All Aboutスキンケアガイド 佐治 真澄さん)。

【2】保湿はクールダウンの後に

「日焼け後は乾燥が気になることも。ただし、日焼けした肌はとてもデリケートな状態。保湿をするのは、肌をクールダウンさせて赤みや熱が少し引いてからにしましょう。肌の状態を見ながら行うようにしてください。保湿には、ひんやり効果があり、テクスチャーも優しいジェルタイプのスキンケア用品をおすすめします。冷蔵庫で冷やして使うとひんやり感がよりアップし、肌にも心地良いはず。鎮静効果のあるアロエが配合された「ベラリス」やコパトーンの「アフターサンオイルフリージェル」、そのほか、ナチュリエの「ハトムギ保湿ジェル」といった商品がおすすめです」(佐治さん)。

鎮静効果のあるジェルを冷やして使えばひんやり快適。
鎮静効果のあるジェルを冷やして使えばひんやり快適。

【3】水分・ビタミンC・リコピンを補給!

「まずはたっぷりと水分補給を行うようにしましょう。前述したように日焼けによって乾燥を引き起すこともあるので、水分をとることで潤い補給の効果も期待できます。また、ビタミンCの摂取も重要。ビタミンCにはビタミンのなかでも抗酸化作用があり、メラニンの生成を抑制したり、シミやそばかすを防いだりするはたらきもあります。ビタミンCが豊富なオレンジ、キウイ、グレープフルーツ、ブロッコリーなども日焼け後に摂りたい食べものです。最近では飲むタイプの日焼け止めも出ているので、アウトドアなど1日中外にいるときには外側からのケアにプラスしてもいいでしょう。また、日光への耐性を高める効果が期待できるリコピンを含んだ食べ物をとるのもいいでしょう。代表はトマトですが、そのほか、赤いパプリカやスイカなどにも含まれています」(佐治さん)。

佐治真澄さん
All Aboutスキンケアガイド
(さじ ますみ)複数の化粧品会社の広報を経験。その際に得た美容に関する知識を基にライターとして活動を開始。単に高価な化粧品だけではなく、コストに見合った効果を実感できる商品や、プチプラコスメ、地元密着コスメなどを日々探求。それらの商品を、自分の肌で試しているときがいちばん幸せを感じる自称コスメマニア。

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【4】「添加物の入った食品」は避けた方がベター

--日焼けした肌を改善するにおいて避けるべき食品、というのはどういったものなのでしょうか?

ウェルネスクリニック神楽坂院長・内科医 賀来怜華さん「まず前提として、日焼けしてしまった肌を改善させるためには、代謝の促進が重要です。その観点から言うと、血行促進を阻害し、体の代謝を悪化させてしまう食品は避けた方が良いですね。具体的な例を挙げれば、添加物が入っている加工品、遺伝子組み換え食品、農薬が使われている野菜などです」。

--実際、添加物の入った食品を摂取することで代謝に影響はあるのでしょうか?

賀来さん「実は、最近海外で行われた実験によってその影響が実証されています。同じカロリー、たんぱく質、糖質、量の自然食品を使った食事と添加物の入った食事を食べてその経過を見るという実験です。自然食品を使った食事を摂取していたグループは、体重に変化がなかったのに対して、添加物の入った食事を摂取していたグループは、体重が増加する傾向にあったのだそうです。添加物を摂取することで、代謝に対して良くない影響があるということですね」。

--逆を言えば、そういった食品でないものを意識的に摂取することが日焼け後の肌の状態を改善させることにつながるということでしょうか?

賀来さん「そうですね。自然食品はホールフードと言われていて、ありのまま、加工されていない食品のことを言います。そういった食品から良質な栄養素を摂取することが大切ですね。その場合しっかりと肉魚、大豆など食品そのものを料理して栄養を摂取することがおすすめです。油もトランス化していない良質なものをセレクトしてください。肌の代謝を意識する場合はまず体全体の代謝を意識したいところですね」。

--体の代謝となると、整腸作用のあるものなども良さそうですが、ヨーグルトなどはいかがでしょうか?

賀来さん「まったく意味がないとは言えないですが、アジア人は乳糖不耐症の人が多いので万人におすすめとは言い難いですね。整腸作用を高めて代謝を促すという観点から言えば、食物繊維が豊富に含まれている野菜や納豆、塩麹などがおすすめです」。

賀来怜華さん
ウェルネスクリニック神楽坂院長・内科医
(かく れいか)東京生まれ。ウェルネスクリニック神楽坂院長・内科医。英国ロンドン大学医学部大学院卒業。英国王立内科学会認定医。米国、欧州、各アンチエイジング医学学会専門医。米国先端医療学会解毒治療認定医。 病気の大元の原因を解明し、根本的に全身の機能不全の部位を隈なく改善する「機能治療」と天然ホルモン補充、解毒治療や酸化療法などを駆使し、慢性の難病を解決するクリニックを主宰。 著書に『太りたくなければ、体の「毒」を抜きなさい! 』(三笠書房)がある。

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【5】化粧品を使う

デイリーなスキンケアも大切。
デイリーなスキンケアも大切。

私たち女性にとって身近で手軽にケアができると思えるのは、日ごろの化粧品使用によるものでしょう。すでに、重点的に紫外線対策のできるものや、美白に特化したアイテムをチョイスしていることも多いと思います。改めて、光老化には化粧品成分としてどんなものが入っていると良いのでしょうか?

「光老化に関しては、やはり抗酸化対策が一番のポイントと言えます。活性酸素を取り除いてくれる働きのある成分が入っていると良いと思います。紫外線ダメージにアプローチするアスタキサンチンを始め、ビタミンE作用をするαトコフェロール、皮膚細胞の分化を促進すると言われるレチノール等ビタミンA誘導体、生体内で酵素よりビタミンCとなるビタミンC誘導体など。そのほか、それぞれの化粧品の特徴に合わせて、抗炎症性を持つクルクミン(ウコンエキス)や肌の組織を回復・再生させると言われるアロエエキス、皮膚の発育に必要な亜鉛や皮膚予防因子であるナイアシンなどが含まれるコメヌカエキス、豊富な栄養素を含むプラセンタエキスなど様々な成分が入ります。肌質やアレルギーなどで、自分に合うものを探すと良いでしょう」(赤須医院 院長 赤須玲子さん)。

 
 
赤須 玲子さん
日本皮膚科学会専門医、美容皮膚科学会会員、アメリカ皮膚病位認定、医学博士、赤須医院院長
(あかす れいこ)美容皮膚科の話題を中心に様々なメディアでも活躍。講演も多数行う。

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【6】美白ドリンクを飲む

「『塗る日焼け止め』で入ってくる紫外線を防ぐことはもちろん大事ですが、完璧に防ぐのは不可能だし、年齢を重ねるにつれ、体内に侵入してきた紫外線の悪影響を打ち消すことは難しくなってきます。生きているだけでシミになる世代だからこそ、塗るケアと飲むケア=内外両方からの防御が必要」(ビューティ エディター 入江信子さん)。そして「美白ドリンク」は紫外線ダメージを受けた肌細胞をスピーディに回復させるのに効果的なので、夜の服用がおすすめ。「ドリンクのメリットは、即効性を感じやすいということ。特に美白に関する成分、ヒアルロン酸やコラーゲンを増やす成分を配合したドリンクは、翌日から肌が目に見えてふっくらしたり、明るさがアップしたりと結果が早く見えます」(ビューティ ディレクター 松澤章子さん)。

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【7】質の高い睡眠を十分にとる

充分な睡眠が肌の再生につながります。
充分な睡眠が肌の再生につながります。

「日焼けをした日は、しっかりリラックスして体を休めてあげることも大切です。充分な睡眠で体をしっかり休めてあげることが、紫外線ダメージを受けた肌の再生につながっていきます。睡眠中には、美容と関連が深い成長ホルモンが分泌されています。睡眠中にまとまって分泌される成長ホルモンには、新陳代謝を高めて、肌のターンオーバーを促進するはたらきがあります。実際にアメリカで30歳~50歳の女性60名を対象に行われた実験によると睡眠が十分にとれている人ほど肌の水分保持量が高いことが分かっています」(医療法人 康梓会 Y'sサイエンスクリニック広尾 統括院長・医学博士 日比野佐和子さん)。

日比野さんは、紫外線を浴びると全身の疲労にもつながると話します。「紫外線を肌や目から多く浴びることで、体内では有害物質から身を守る活性酸素が増加します。この活性酸素によって自律神経が乱れ、脳の疲労から全身の疲労につながることがあります」(日比野さん)。紫外線を浴びたら、肌のためにも、体のためにもしっかり睡眠をとることが重要であるようですね。ところで、睡眠時間はどのくらいとればいいのでしょうか?「理想的な時間は7時間といわれていますが、睡眠は時間ではなくて、質が重要です。コンスタントに質の良い睡眠を取ることを心がけましょう」(日比野さん)。

日比野佐和子さん
医療法人 社団康梓会 Y'sサイエンスクリニック広尾 統括院長、大阪大学大学院 医学系研究科臨床遺伝子治療学 特任准教授、公益財団法人 ルイ・パステゥール医学研究センター 基礎研究部アンチエイジング医科学研究室室長
(ひびの さわこ)同志社大学 アンチエイジングリサーチセンター講師、森ノ宮医療大学 保険医療学部准教授などを歴任。現在はアンチエイジング医療における第一人者的な立場として、基礎研究から最新の再生医療の臨床に至るまで幅広く国際的に活躍すると共に、テレビや雑誌等メディアでも注目を集める。

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日焼け止めの効果が低くなる【NG習慣5選】


【1】昨年使い残した日焼け止めを使用するのはNG

ワンシーズンで日焼け止めを使い切れない場合は危険?
ワンシーズンで日焼け止めを使い切れない場合は危険?

「昨年の使い残した日焼け止めの使用はNG。基本的に化粧品の消費期限は適切な環境で保存されていれば、未開封で3年、開封後1年ほど。しかし開封後は、中身が酸化し劣化するので、できるだけ3か月以内には使い切るようにしましょう。日焼け止めの効果も低下しています。ワンシーズンで使い切れない場合は量が少ない、きちんと塗り直しをしていないサインかもしれません」(美容皮膚科医・矢沢真子さん)。

【2】少量を伸ばして塗るのはNG

日焼け止めは塗る量が一番大切であるにも関わらず、多くの方が塗る量が足りていないかも。
日焼け止めは塗る量が一番大切であるにも関わらず、多くの方が塗る量が足りていないかも。

「日焼け止めを塗る際に一番重要なのはその量です。しかし、実はほとんどの方が推奨されている量の半分以下しかつけていません。日焼け止めに表記された紫外線防御効果を得るためには皮膚1㎠あたり2mgが必要(※1)といわれています。これは顔全体に塗るとすると500円玉くらいの量です。これは思っているよりかなり多い量なので、『塗りすぎかな』と思うくらいを意識しましょう」(矢沢さん)。

※1:日焼け止めの種類にもよって変わるため、この量は目安です。
また、日焼け止めを手で塗る場合も要注意。塗布量の半分以上は手に残っているというデータもあるので、今までの2倍の量を意識して塗ることを心掛けましょう。

【3】1か所から全体に塗り広げるのはNG

塗りもれがあると、その部分だけ日焼けしてしまうかも…。
塗りもれがあると、その部分だけ日焼けしてしまうかも…。

「日焼け止めは、細かいパーツごとに分けて、何か所かに日焼け止めをのせてから塗りましょう。パーツごとに分けることで塗りムラや、塗り忘れを防げます。ポイントは、ムラにならないように伸ばし、塗り広げる際にあまりこすらないようにすることです。特に頬の高い部分や鼻などは紫外線が当たりやすいので、塗りもれがないように2度塗りが必要です。また、首や手の甲、つむじや耳、上まぶたなどは塗り忘れがち! 唇も日焼けするので、UVカット機能のあるリップなども使いましょう」(矢沢さん)。

【4】外出前に一度塗ったきりにするのはNG

SPFの効果が高くても塗り直しは必須です!
SPFの効果が高くても塗り直しは必須です!

「日焼け止めは2〜3時間おきに塗り直すことが大切です。『SPFの効果が高いから』『ウォータープルーフだから』と気を抜いている方もいるかもしれませんが、塗り直しはマスト。出勤前とランチで外に出る前は日焼け止めを塗るようにしましょう。部屋の中にいても窓から日差しが入る場合は、その間も数時間おきに塗り直しが必要です。その理由はふたつあります。ひとつは、汗や水、擦れで日焼け止めが落ちることもあるから。もうひとつは日焼け止めに含まれる紫外線吸収剤は、一定量の紫外線を吸収すると効果が弱まるものがあるからです。メイクの上から塗り直す場合は、UVカット機能のあるパウダーファンデーションやフェイスパウダーを重ねるとベター。特にUVカットの表示がなくても、粉の成分が紫外線を跳ね返すため紫外線防止効果があるといわれています。肌への負担が気になる方には特にパウダー系がおすすめです」(矢沢さん)。

【5】「飲む日焼け止め」だけを使うのはNG

飲む日焼け止めだけでは不十分な理由って?
飲む日焼け止めだけでは不十分な理由って?

「最近メディアでよく取り上げられている『飲む日焼け止め』。これは、塗る日焼け止めの代わりにはなりません。なぜなら塗る日焼け止めのように肌の上で紫外線を遮断するわけではないからです。飲むタイプは日焼けしたあとに体内で発生した活性酸素を除去し、日焼け後のダメージを軽減する「抗酸化サプリメント」です。SPFで言うと、SPF2もありません。あくまで、日焼け止めの基本は塗ること。物理的遮光が大切ですのでご注意ください!」(矢沢さん)。

 
 
矢沢真子さん
美容皮膚科医・形成外科医
(やざわ まさこ)東京女子医科大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。銀座S美容形成外科クリニック、他、都内の形成外科、美容皮膚科クリニック兼務。自身も日焼け予防に大変こだわりを持つ、日焼け対策のスペシャリスト。
銀座S美容形成外科クリニック

日焼け止めの「紫外線カット効果」が低くなる5つのNG行動

この記事の執筆者
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