アルノ川左岸地区でやたらと目立つディスプレイを見つけたらそれが「サン・ヤコポ・ショー」だ。フィレンツェで唯一、イタリアでも珍しい高級マネキン専門店としてすでに30年以上営業している、ファッション業界ではおなじみの存在。

フィレンツェにあるアートギャラリーのような高級マネキン専門店

アート・ギャラリーのようなディスプレイ。壁に飾られた絵画や写真もオーナーの作品

メンズ、レディースだけでなく子供やマタニティのマネキンなど種類が非常に多いのはもちろん、全てカスマイズできるので自分だけのオリジナル・マネキンを注文できるのだ。

両親が始めた店を引き継ぎ、独自の世界観を維持し続けているルカ・バリオーニ氏

例えばイタリアを代表する高級マネキン・メーカー「Taylor’s NY」のモデルにフォルナセッティなどのイタリア製テキスタイルや、デッドストックのヴィンテージ・テキスタイルを使って世界に1点だけのマネキンを作ることも可能。

オーナーのルカ・バリオーニ氏は画家でもあるので、マネキンにペインティングしてカスタマイズすることもできる。

マネキンだけでなくライトスタンドやソファ、クッションなども展示販売しているのでディスプレイの参考になる

イタリアではブティックのディスプレイを専門に行うスタイリストを「ヴェトリニスタ」(ヴェトロ=ガラスという意味)と呼ぶが、「サン・ヤコポ・ショー」ではピッティなどの見本市がある際は会場へのディスプレイ・レンタルも行なっているのでヴェトリニスタにとっては力強い存在でもある。

また、フィレンツェには昔ながらの注文紳士服を作るサルトリア文化が残っているが、手縫いでジャケットを作る際には半身モデル、トルソーが必須。

インテリアとしても面白い、お洒落なトルソー

18世紀のトルソーをモデルにし、卓上サイズにした曲線美が美しいミニチュア・トルソー

注文紳士服のサルトリアだけでなく、服飾専門学校ポリモーダや舞台衣装を作るサルトリア・テアトラーレにも「サン・ヤコポ・ショー」はトルソーを販売しており、フィレンツェのサルトリア文化を陰で支えている。

現代のトルソーだけでなく18世紀、19世紀のアンティークトルソーもあるので、オペラなど時代に合わせた舞台衣装が必要な際には昔のトルソーからリプロダクションすることもできる。

たかがマネキン、されどマネキン。世界に1点だけのマネキンやトルソーをス・ミズーラして自宅に飾るのもいいかもしれない。

SAN JACOPO SHOW

Borgo San Jacopo 66/R Firenze
Tel+39-055-2396912
10:00〜13:30、15:00〜19:00 日休
www.sanjacoposhow.com/

この記事の執筆者
1998年よりフィレンツェ在住、イタリア国立ジャーナリスト協会会員。旅、料理、ワインの取材、撮影を多く手がけ「シチリア美食の王国へ」「ローマ美食散歩」「フィレンツェ美食散歩」など著書多数。イタリアで行われた「ジロトンノ」「クスクスフェスタ」などの国際イタリア料理コンテストで日本人として初めて審査員を務める。2017年5月、日本におけるイタリア食文化発展に貢献した「レポーター・デル・グスト賞」受賞。イタリアを味わうWEBマガジン「サポリタ」主宰。2017年11月には「世界一のレストラン、オステリア・フランチェスカーナ」を刊行。