仕事にストレスはつきもの。特に世界と比較しても有休消化率が低く休み下手だとされる日本人は、大きなストレスを抱えているイメージ。では、私たちは一体どんなストレスを最も多く抱えているのでしょうか?

カリフォルニア州シリコンバレーに本社があるWrikeとメディケア生命保険、第一三共ヘルスケアが行ったビジネスパーソンのストレスに関する調査から、ストレス要因は少しずつ変化しつつあることが判明しました。

最近のビジネスパーソンは仕事量の多さにストレスを感じていた!

まず、Wrikeの行った「日本国内の会社員の働き方とストレス・生産性との関係」調査から見ていきましょう。

この調査によると、仕事中に何かしら「ストレスを感じる」と回答した人は、全体の62.0%。2大ストレスは、「仕事量が多すぎる」と「コミュニケーションが足りていない」になっています。

仕事上のストレスの原因
仕事上のストレスの原因

全体および男女の1位2位は同じ。最近は政府主導の「働き方改革」で時間外労働は減少傾向にあるはずですが、だからといって仕事量が減ったわけではない模様。過労死が問題視されていても、世の中にはまだまだ無茶苦茶な量の仕事を社員に押し付ける企業が多いようです。

2位に「コミュニケーションが足りていない」がランクインしたのは、職場の人間関係がうまくいっていないサインでしょう。全体の3位には「上司が威圧的で細かいことまで指示を出す」が入っているのは、部下にパワハラまがいの指示を出してもいいと思っている上司がいなくならないからかもしれません。

Wrikeの調査結果から、現代の日本人ビジネスパーソンの2大ストレスは仕事量と人間関係ということがわかりました。

たった1年でビジネスパーソンのストレス要因が変化していることが判明

ところが、1年前の日本人ビジネスパーソンにおける職場ストレスはまた違うのです。

メディケア生命保険が2018年に行った「ビジネスパーソンの疲れとストレスに関する調査2018」によると、1年前は「業務量が多い」が3位にランクイン。ストレス原因1位は「給料が少ない」で、2位は「人間関係の悩み」なのです!

疲れやストレスを感じる原因
疲れやストレスを感じる原因

現代の調査結果にはなかった項目「給料が少ない」が1位だったということは、景気が回復してきたと言えるのではないでしょうか。実感があまりわきませんが、わずか1年で給料の安さにストレスを感じる人は減少傾向です。

しかし新たな問題として、メディケア生命保険の調査では3位だった「業務量が多い」と同じ意味の「仕事量が多い」がWrikeの調査で1位に浮上する事態となっています。

これは、一人ひとりに課せられているノルマや目標がいつの間にか上がっている可能性が高いです。知らず知らずのうちに、会社から私たちに求められるものは増えているのかもしれません。

口頭コミュニケーションが減っているのもストレス増加の一因に!?

また、1年前も現在も上位に入っているのが職場の人間関係やコミュニケーションの悩み。これは、もしかしたら直接話すことによるコミュニケーションが減っていることが原因のひとつのかもしれません。

第一三共ヘルスケアが2018年9月に行った「働く女性の職場コミュニケーションに関する実態調査」で、全体の57.7%が「職場における業務に関する口頭コミュニケーションが少ない」と感じていることがわかっています。

職場における口頭でのコミュニケーションの頻度
職場における口頭でのコミュニケーションの頻度

これはやはり社内外でメールやSNS、チャットツールによるコミュニケーションが増えていることが影響しているようです。

この3~4年で口頭でのコミュニケーションの頻度が「減った」もしくは「やや減った」と感じていると回答した人に具体的に減ったと考えている項目を聞いたところ、36.8%(3人にひとり)が「業務の口頭による指示」と「口頭での質問・確認」と回答しています。

減ったと考えている口頭でのコミュニケーションの内容
減ったと考えている口頭でのコミュニケーションの内容

ログが残るこれらのツールは「言った」「言わない」といったよくあるトラブルを防ぐことができるなど、さまざまなメリットがあります。しかし、その半面言葉の微妙なニュアンスが伝えることが難しいことも。

その結果、もしかしたら、職場における人間関係やコミュニケーションの悩みが増える結果となっているのかもしれません。口頭であれば一言で済む用事も、メールやチャットでは言葉を慎重に選ばないといけないため、何分もかかるケースがしばしば。

第一三共ヘルスケアの調査は、全国の20代から50代の女性800名を対象にしたものなので、働く女性に限った話ではありますが、できるだけ口頭でのやりとりを増やしてみてもよさそうです。これで、「コミュニケーションが足りない」「人間関係の悩みがある」ストレスは少し減らせるかもしれません。

仕事で嫌なことがあったとき、気持ちの切り替えるは必要不可欠です。しかし度が過ぎると心や体が病に侵され、深刻な事態になる危険性もあります。

特に、仕事量が多すぎるストレスを抱えているときは、必要以上に無理をするのは厳禁です。「仕事だから仕方がない」とあきらめないで、今の環境から逃げ出すことも視野に入れておきましょう。

【調査概要】

調査名:日本国内・会社員の働き方とストレス・生産性の関係調査
調査主体:Wrike株式会社
調査対象: 全国18~64歳の男女1,034名(男性442名、女性592名)(人口構成比と本調査対象者の出現率に合わせて割付)※自営業を除く会社員が対象
調査方法: インターネットリサーチ
調査日: 2018年11月29日(木)~11月30日(金)

調査名:ビジネスパーソンの疲れとストレスに関する調査2018
調査主体:メディケア生命保険株式会社
調査対象:一都三県(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)・二府二県(京都府、大阪府、兵庫県、奈良県)在住の20歳~59歳のビジネスパーソン(男女)1,000名(男性500名/女性500名)
調査方法: インターネットリサーチ
調査日:2018年9月7日~2018年9月11日

調査名:働く女性の職場コミュニケーションに関する実態調査
調査主体:第一三共ヘルスケア株式会社
調査対象:全国の20代から50代の女性・計800名
調査方法: インターネットリサーチ
調査日:2018年8月22日(水) - 24日(金)

この記事の執筆者
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WRITING :
高山 惠
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