全国的には暖冬だったが、そこは日本。降る地域ではしっかり降る。山形の内陸部は豪雪地帯として有名だ。スバルはこうした地域で古くから開発テストを行ってきた。そうして熟成された4WD性能と扱いやすさを、昨年モデルチェンジしたフォレスターで体感することができた。デザインや機能に派手さはないが、中身は確か。スバル車の魅力は日常の目線で使いこなすことで、より深く理解することができる。

刻々と変わる路面状況のなか、フォレスターでロングドライブを敢行

趣のある宿が並ぶ銀山温泉の近くにて。湿り気のある雪で滑りやすかったが、ラフな操作をしない限りフォレスターは挙動を乱すそぶりも見せなかった。
趣のある宿が並ぶ銀山温泉の近くにて。湿り気のある雪で滑りやすかったが、ラフな操作をしない限りフォレスターは挙動を乱すそぶりも見せなかった。
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月山の麓にある肘折温泉にも立ち寄った。懐かしいポストを設置した郵便局もある中心街は道幅が狭く、時折激しく降る雪のせいで視界も悪い。それでもフォレスターは路肩ぎりぎりまで寄せやすく、クランクもスムーズに曲がれた。この使いやすさこそが、雪の多い地域の人々に支持される理由のひとつだ。
月山の麓にある肘折温泉にも立ち寄った。懐かしいポストを設置した郵便局もある中心街は道幅が狭く、時折激しく降る雪のせいで視界も悪い。それでもフォレスターは路肩ぎりぎりまで寄せやすく、クランクもスムーズに曲がれた。この使いやすさこそが、雪の多い地域の人々に支持される理由のひとつだ。

 内外の自動車メーカーやタイヤメーカーは、雪のシーズンに突入すると同時に、工夫を凝らした雪上試乗会を開催する。各社自慢の4WDシステムを試して貰ったり、スタッドレスの新製品のテストを行ったりと、我々メディアは毎週のように雪国詣をすることになる。

 こうした雪上試乗会は、大きく分けて二つのタイプがある。まずは行動とは別に、周囲を閉鎖した広いエリアに、特設の凸凹のモーグルコースや急坂路の上り下り、スケートリンクのようにつるつるの氷上コースを作り、4WDを中心にした車で「非日常」を思う存分に試して貰おうというタイプの試乗会だ。車を氷上でドリフトさせたり、ぐるぐるとスピンさせたり、一般路なら事故になるような走りで車の限界を試す狙いだ。

 もう一つは雪国の一般路を一日走り回ることで、徹底して「日常」での使い勝手や走りを試す雪上試乗。雪国にお住まいの人と同じ感覚で、普段の使い勝手や走りを確認する試乗会だ。今回、レポートするスバルは、まさにこの日常タイプの試乗会。朝、山形市内のホテルをフォレスターでスタートし、霊山として知られる月山の北側のルートなどを走り、夕方までに庄内空港に到着するという設定だ。途中には4メートルを超える豪雪で知られる肘折温泉や出羽三山神社など日本を代表する「雪の名所」が散りばめられている。

 スタートやゴール付近はほとんど路面に雪はないが、月山に向かうにつれて徐々に積雪量は増え、それに従い路面もシャーベット状から、つるつるの凍結路、不規則な轍でハンドルが取られたり、さらに標高が上がれば2メートルを優に超える雪の壁に囲まれた圧雪路と、色々な路面が次々に出てくる。このように路年状況や天候がコロコロと変わるのは、山形や新潟などの地域の雪道としてはよくある状況だ。こうしたやっかいな路面でこそ、4WDの本領発揮。フォレスターで走行していてまず驚いたのは、あらゆる路面で安定した走りを実現するアクティブトルクスプリットAWDによって、雪道ドライブのストレスをあまり感じさせないことだ。

総合力の高さが雪の多い地域の人々を魅了する

万が一スタックしても、フォレスターにはXモードがある。低速走行時に4WDを含めて車両を統合制御し、悪路からの脱出を容易にする。
万が一スタックしても、フォレスターにはXモードがある。低速走行時に4WDを含めて車両を統合制御し、悪路からの脱出を容易にする。
傾斜計などオフロードで重要な機能をコンソール上方のパネルで表示。取材時の外気温は氷点下だったが、すぐに暖かくなり面積も広いシートヒーターのおかげで、車内では薄着でも快適だった。
傾斜計などオフロードで重要な機能をコンソール上方のパネルで表示。取材時の外気温は氷点下だったが、すぐに暖かくなり面積も広いシートヒーターのおかげで、車内では薄着でも快適だった。
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 路面状況が急変したり、左右のタイヤで路面状況が違っていたりしても、アクティブトルクスプリットAWDの適正なトルク配分で、姿勢をほとんど乱すことなく、実に平和に走りきるのだ。また雪の壁の間を縫うように走った豪雪エリアでは、最小回転半径5.4メートルの小回り性能や、高いアイポイントと死角の少ない良好な視界などのお陰で、とても楽に走ることができた。対向車との狭い道でのすれ違い、市街地での安心感など日常での安心感もいうことなし。こうした日常での雪国性能は特設コースではわかりにくいし、一日中走ってこそ見えてくる性能だと思う。

 厳しい環境になればなるほど、長年スバルが培ってきた4WDの実力が体感できる。もちろんここにスバルお得意の安全システム「アイサイト(ver.3)」や、全車速追従機能、操舵支援機能付きクルーズコントロールなどもさらに安全運転をサポートしてくれる。この心のゆとりが雪国の走りには必要なのだ。そしてゴールに近づいたとき、ある事に気が付いた。「なんだか山形はスバル車が多いなぁ」。これだけ平和な雪国性能があれば当然のことかもしれない。

スバル・フォレスターX-BREAK(ルーフレール装着車)
全長×全幅×全高=4,625×1,815×1,730mm
ホイールベース:2,670mm
車重:1,530kg
駆動方式:AWD
トランスミッション:CVT
エンジン:2,498cc 水平対向4 DOHC 16バルブ
最高出力:184ps(136kW)/5,800rpm
最大トルク:24.4kgm(236Nm)/4,400rpm
燃費:WLTCモード:13.2km/リッター/JC08モード:14.4km/リッター
価格:¥2,916,000(税込)

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