2019年3月20日(水)からスタートした「世界フィギュアスケート選手権2019」。スケーターたちにとってシーズン最後の大きな試合が、5年ぶりに日本@さいたまスーパーアリーナで開催されるとあって、開幕前から注目を集めています。

2019年「世界フィギュアスケート選手権大会」の見どころは?

女子シングルに引き続き、今回の男子シングルも、誰が勝ってもおかしくない豪華な顔ぶれとなっています。注目はなんといっても、約4ヶ月ぶりの試合となる羽生結弦選手。怪我からの復帰戦ということもあり、得意の4回転ジャンプの調子がどこまで戻っているかが勝負の行く末を左右しそう。

そして全日本選手権3連覇を果たし、2月の四大陸選手権で初優勝を飾った宇野昌磨選手も、間違いなく今回の優勝候補。高難度のジャンプや無敵の表現力を武器に、初の頂点を狙います。また、羽生選手と同い年の田中刑事選手も、全日本選手権で4回転サルコウを決めて3位に輝いたスケーター。今回は地元開催の世界選手権で、最高の演技を披露してくれるはず。

そんな日本勢に立ちはだかるのは「4回転時代」を牽引するネイサン・チェン選手ヴィンセント・ジョウ選手ボーヤン・ジン選手といった最強ジャンパーたち。さらに欧州選手権で勢いのある演技を見せたイタリアのマッテオ・リッツォ選手など、新勢力の存在も気にかかるところ。

「Precious.jp」では、そんな今大会注目の男子選手9名をピックアップ! 熱戦を前に、各選手のプロフィールをぜひチェックしてみてください。

まずは、日本代表の羽生選手、宇野選手、田中選手の3選手からチェック!

■不屈の精神で王座奪還を狙う「羽生結弦」選手

演技する羽生結弦選手
羽生結弦選手 写真:田村翔/アフロスポーツ

ソチ五輪、平昌五輪と2大会続けて金メダルに輝いたフィギュア界のプリンス。昨年11月のロシア杯公式練習で右足首を負傷し、今回が大舞台での復帰戦となります。オールラウンダーであり、4種類の4回転ジャンプや柔軟性を生かしたスピンなども武器とする選手。また、技の基礎点だけでなく、高い出来栄え点(GOE)を獲得できるのも強みです。

今シーズンは自身のルーツに立ち返り、敬愛するエフゲニー・プルシェンコ氏とジョニー・ウィアー氏にオマージュを捧げた2つのプログラムを演じます。演技後に客席から氷上に投げこまれる「くまのプーさん」にもご注目!

■初優勝に期待がかかる「宇野昌磨」選手

演技する宇野昌磨選手
宇野昌磨選手 写真:千葉格/アフロ

平昌五輪の銀メダリストであり、全日本選手権3連覇中の人気選手。四大陸選手権のフリースケーティングでは今シーズン世界最高点をマークして初優勝を果たしました。ISU公認大会において史上初の4回転フリップを成功させたギネス保持者であり、4種類の4回転ジャンプが跳べるスケーター。スピンやステップの技術も高く、上体を反らしたクリムキンイーグルは彼の代名詞。

今シーズンのショートプログラムではレッド・ツェッペリンの『天国への階段』のフラメンコバージョンを熱く演じます。試合会場のバックヤードで熱中する姿が見られるほど、大のゲーム好きという側面も。

■3度目の世界選手権に挑む「田中刑事」選手

田中刑事選手 写真:ZUMA Press/アフロ
田中刑事選手 写真:ZUMA Press/アフロ

羽生選手と同じ94年生まれの24歳で、昨年の全日本選手権では3位に。今シーズンのフリープログラム『ウィリアム・テル序曲』は元アイスダンス選手のマッシモ・スカリ氏が振り付けを担当し、上体を大きく使った渾身のステップが見どころとなっています。3年連続の出場となる今回の世界選手権では大技・4回転サルコウの成功が勝敗の鍵に。

また、『ジョジョの奇妙な冒険』第4部の主人公「東方仗助」を演じたエキシビションナンバーで人気を博し、完全再現したリーゼント姿や「ジョジョ立ち」ポーズのクオリティも大きな話題に。愛称は「デカ」。

続いて、強力なライバルとなりそうな海外勢6選手をご紹介!

■前回王者の意地を見せたい、ネイサン・チェン選手

演技するネイサン・チェン選手
ネイサン・チェン選手 写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

世界選手権の前回王者であるチェン選手は、アメリカ代表の19歳。2017年-2019年全米選手権3連覇中の実力派スケーターであり、グランプリファイナルを2連覇するなど安定した強さを見せています。5種類の4回転ジャンプを武器に持ち、今回の公式練習でも4回転-3回転-3回転の連続ジャンプを跳ぶなど、調子の良さをアピール。

ショートプログラムではシェイ=リーン・ボーン振り付けによる『キャラバン』で、抜群のリズム感を生かした演技を披露。名門イェール大学で統計学と医学を専攻しており、大学の授業の合間をぬってトレーニングを積んでいるという努力家でもあります。

■両手を挙げたジャンプも! ヴィンセント・ジョウ選手

演技するヴィンセント・ジョウ選手
ヴィンセント・ジョウ選手 写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

四大陸選手権で銅メダルを獲得するなど、今シーズン勢いに乗った選手。同じアジア系アメリカ人であるネイサン・チェン選手とは切磋琢磨する仲で知られています。幼少期からその才能を発揮し、3つの4回転ジャンプを成功させてジュニア歴代最高得点を更新したことも。

今シーズンのショートプログラムはイギリスのロックバンド・MUSEの『エクソジェネシス交響曲第3部』で、振り付けはジェフリー・バトル氏。かつてジェレミー・アボット氏が滑ったことでも知られる美しい楽曲に乗せ、高難度のジャンプ構成を披露します。好きなキャラクターは意外にも「どーもくん」。

■高さのあるジャンプが武器のボーヤン・ジン選手

演技するボーヤン・ジン選手
ボーヤン・ジン選手 写真:千葉格/アフロ

中国代表のジン(金博洋)選手は、ISU公式戦で初めて1つのフリースケーティングで4度の4回転ジャンプを成功させた驚異のジャンパー。難易度の高い4回転ルッツを連続ジャンプに組み込むこともできる、身体能力に優れた選手です。昨年度の四大陸選手権を制し、今シーズンは中国選手権で5度目の優勝を果たしました。

今シーズンのフリースケーティングではスペイン映画『トーク・トゥ・ハー』のサウンドトラックを情感たっぷりに滑ります。ダイナミックな演技とは打って変わった、演技後の無邪気な表情にも注目を。中国での愛称は幼名でもある「天天」。

■スター性のある17歳! チャ・ジュンファン選手

演技するチャ・ジュンファン選手
チャ・ジュンファン選手 写真:YUTAKA/アフロスポーツ

めきめきと頭角を現している韓国の若手選手、ジュンファン選手にも注目を。カナダのブライアン・オーサーコーチに師事しており、同門の羽生選手とは比較されることも多いスケーター。今シーズンは韓国選手権で優勝、フィンランディア杯で銀メダルを獲得するなど活躍を見せています。

178cmの長身と、子役出身だという華やかな顔立ちはアイドルさながら。フリースケーティングでは映画『ロミオとジュリエット』のサウンドトラックに乗せてドラマチックな演技を披露します。

■病気からの完全復帰なるか、ミハイル・コリヤダ選手

演技するミハイル・コリヤダ選手
ミハイル・コリヤダ選手 写真:TASS/アフロ

ロシア代表の24歳で、平昌五輪の団体戦で銀メダルを獲得したスケーター。昨年の世界選手権では3位、今シーズンのロシア選手権では急病を患いながらも銀メダルを獲得。欧州選手権では飛距離のあるジャンプを次々と決め、会場から大きな拍手を浴びました。

今シーズンのショートプログラムはMUSEの『アイ・ビロング・トゥ・ユー』で、振り付けはトリノ五輪の銀メダリストであるステファン・ランビエル氏が手がけています。

■クイーンメドレーで人気のマッテオ・リッツォ選手

マッテオ・リッツォ選手 写真:AP/アフロ
マッテオ・リッツォ選手 写真:AP/アフロ

イタリア代表の20歳、リッツォ選手は今シーズンのババリアンオープンで優勝、欧州選手権では銅メダルを獲得した若手注目株です。フリースケーティングではクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」「ラヴ・オブ・マイ・ライフ」「ドント・ストップ・ミー・ナウ」に乗せてスピード感あふれる演技を披露。会場から手拍子が巻き起こる人気のプログラムです。

父親は元アイスダンス選手でコーチのバルテル・リッツォ氏で、母親や姉もアイスダンサーだというスケート一家の出身。

<2019年世界フィギュアスケート選手権の主な日程>

・3月20日(水)女子シングル(ショートプログラム)
・3月21日(木・祝)男子シングル(ショートプログラム)
・3月22日(金)女子シングル(フリースケーティング)
・3月23日(土)男子シングル(フリースケーティング)
・3月24日(日)エキシビジョン

いかがでしたでしょうか? 3月21日(木・祝)からスタートする男子シングル、魅力的な選手が勢ぞろいしています。音楽のチョイスやプログラムの構成も、各選手の個性あふれるものばかり。男子ならではの高度な技はもちろん、華やかな衣装なども併せて、ぜひ激戦の行く末をチェックしてみてください。

このあとも世界フィギュアスケート選手権の情報を随時、お届けしてまいりますので、どうぞお楽しみに!

この記事の執筆者
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WRITING :
Fuyuko Tsuji