秘密兵器はボンド映画の醍醐味。姿を消すボンドカーやレーザー光線で鋼鉄を焼き切る腕時計など奇想天外なものがこれまで数多く登場している。

男心を躍らせるボンド・ウェポンたち

シーンどおりに飛行した本当の軍事用最新鋭機

これが本文中で述べた『サンダーボール作戦』に登場した「ジェットパック」。今日であればまだしも、1965年の公開当時には、まったく奇想天外に思えた。しかし軍事用に新開発された本当の装備。専属パイロットが操縦して21秒間の飛行シーンを撮影した。写真:Getty Images
これが本文中で述べた『サンダーボール作戦』に登場した「ジェットパック」。今日であればまだしも、1965年の公開当時には、まったく奇想天外に思えた。しかし軍事用に新開発された本当の装備。専属パイロットが操縦して21秒間の飛行シーンを撮影した。写真:Getty Images

だが、前記したように、原作者のイアン・フレミングが存命中の初期作は小説内の描写が尊重され、秘密兵器もわりあい現実的に留められている。

たとえば、第1作の『ドクター・ノオ』ではワルサー『PPK』ぐらいで、これは実在の拳銃である。第2作の『ロシアより愛をこめて』のアタッシェケースも、第3作の『ゴールドフィンガー』の『DB5』も、多少の誇張はあるが実際に製作したものだ。

ワルサー『PPK』

ボンドのトレードマークの小型オートマティック拳銃、ワルサー『PPK』は第1作の『ドクター・ノオ』からのボンドのトレードマーク。ドイツ製の拳銃で、ボンドが長年愛用しているイタリア製の『ベレッタ』よりも信頼性が高いためにQ課から支給される。小説でも同作で同じ設定でボンドに手渡される。

またフレミングの逝去後の第4作『サンダーボール作戦』に初めて原作に書かれていない「ジェットパック」が、第5作の『007は二度死ぬ』にも原作にはない「ジャイロコプター」が登場するが、これらも実在するもので実際に専属パイロットが飛行させて撮影されている。いよいよ秘密兵器が奇想天外になるのは、この後だ。

でも、それも一興。ボンド映画は大人の男のお伽噺なのだから。奇想天外を楽しむのも、また正解なのである。

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