休日の朝食や手づくりおやつの定番、フレンチトースト。でも、自宅でつくるとベタっとした食感になったり焦げてしまったりと、なかなかうまくカフェやホテルの朝食のようには焼けません。外はカリッと中はふんわり、卵の香りが口の中いっぱいに広がるフレンチトーストをつくるのは至難の業。

そこで今回は、家庭でもつくれるおいしい「フレンチトースト」のつくり方を、目黒区緑が丘にあるフレンチトースト専門店「Haru and haru」の大谷法代さんに教わりました。開店から今年で9年目を迎える、都内初のフレンチトースト専門店です。

ポイントは、バターの使い方。長年の研究で改良を重ね、ファンに愛される味と食感を生み出す調理のポイントを詳しくお伝えします。

専門店「Haru and haru」直伝、究極のフレンチトーストのつくり方

材料(1人分)

1人前の材料。これに、パンと仕上げのメープルシロップを使います
1人前の材料。これに、パンと仕上げのメープルシロップを使います
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卵 1個
グラニュー糖 10g
牛乳 100ml
イギリスパン 4㎝幅1枚
バター 20g(2㎝角のキューブ型6個)
メープルシロップ 少々
アイスミルク 適量(好みの分量)
粉砂糖 適量(飾り用)
シナモン 適量(飾り用)
セルフィーユ(飾り用のハーブ)

バターはあらかじめキューブ状にカットし、直前まで冷蔵庫に入れて冷やしておきましょう。

また、パンは今回使うイギリスパン以外に、フランスパンや食パンでもOKなのだそう。

「お店のグランドメニューではボリュームが欲しいのでイギリスパンを使っていますが、食後のデザートでは軽い食感のフランスパンにしています。ご自宅の場合、家にある食パンを使ってもいいですし、お子さまのおやつなら薄切りにすると食べやすいですね」(大谷さん)

種類や厚みによって食感や味の染み込み具合が変わるので、好みに合わせて用意しましょう。

つくり方

■1:卵、グラニュー糖を混ぜ合わせる

卵をボールに割り入れます
卵をボールに割り入れます

割り入れた卵に、傷みや血の塊、殻の混入がないか確認してください。数人分つくる場合は、卵を別の容器で1個ずつ割ってチェックしてから、大きなボールへ移します。

卵を溶く前にグラニュー糖を入れます
卵を溶く前にグラニュー糖を入れます
ハンドミキサーで卵の白身を切るようにして、グラニュー糖のザラつきがなくなるまでよく混ぜ合わせます
ハンドミキサーで卵の白身を切るようにして、グラニュー糖のザラつきがなくなるまでよく混ぜ合わせます

自宅にハンドミキサーがない場合はホイッパー(泡立て器)でも構いません。ホイッパーだと余計な泡は立ちにくいですが、ハンドミキサーの方が卵のきめが細かく混ざります。

■2:牛乳を加え、さらに混ぜ合わせる

卵とグラニュー糖がよく混ざったところに牛乳を加えます
卵とグラニュー糖がよく混ざったところに牛乳を加えます
さらにハンドミキサーで表面に泡が立つ程度まで混ぜ合わせます
さらにハンドミキサーで表面に泡が立つ程度まで混ぜ合わせます
表面に泡がある場合は、大きな泡がなくなり落ち着くまで約30分冷蔵庫でねかせます
表面に泡がある場合は、大きな泡がなくなり落ち着くまで約30分冷蔵庫でねかせます

これでパンに浸す「アパレイユ(卵液)」のできあがり。大谷さんによると、半日程度はつくり置きできるそう。ストックするときは、ボールにラップかけたりタッパーに移したりして、冷蔵庫で保存しましょう。

■3:パンを切る

パンを好みの厚さに切ります
パンを好みの厚さに切ります
「Haru and haru」では厚さ4㎝が目安。アパレイユが程よく浸み込み、パンのフワッとした食感も楽しめるそう
「Haru and haru」では厚さ4㎝が目安。アパレイユが程よく浸み込み、パンのフワッとした食感も楽しめるそう
好みに合わせ、さらに横にふたつに切ります
好みに合わせ、さらに横にふたつに切ります

半分に切ると食べやすく、盛り付けがきれいになるだけでなく、アパレイユがより染み込みやすくなります。

■4:フライパンにバターを馴染ませる

中火で熱したフライパンの中央にキューブ状にカットしたバターをふたつ入れます
中火で熱したフライパンの中央にキューブ状にカットしたバターをふたつ入れます
バターが溶けて、ブツブツと出てくる泡が大きくなるまで待ちます
バターが溶けて、ブツブツと出てくる泡が大きくなるまで待ちます

■5:パンにアパレイユを浸み込ませる

パンをさっとアパレイユにくぐらせます
パンをさっとアパレイユにくぐらせます
パンの両面をくぐらせたら、余分なアパレイユを軽くしぼって落とします。漬け込みすぎないのが、ふんわりした食感を生み出すポイント
パンの両面をくぐらせたら、余分なアパレイユを軽くしぼって落とします。漬け込みすぎないのが、ふんわりした食感を生み出すポイント

■6:片面を中火で2分程度焼く

アパレイユにくぐらせたパンをフライパンに並べ、バターを1個投入します
アパレイユにくぐらせたパンをフライパンに並べ、バターを1個投入します
均等に火が通って焼き目がきれいにつくよう、途中でパンの向きを180度変えます。この時点ではまだ裏返しません
均等に火が通って焼き目がきれいにつくよう、途中でパンの向きを180度変えます。この時点ではまだ裏返しません
バターが馴染んで焼き目がつくまで約2分待ちます
バターが馴染んで焼き目がつくまで約2分待ちます

■7:裏返してさらにバターを入れ、2分程度焼く

全体にほどよく焦げ目がついたら裏返します
全体にほどよく焦げ目がついたら裏返します
裏返したところにバターを1個投入し、さらに2分程度焼きます
裏返したところにバターを1個投入し、さらに2分程度焼きます

■8:仕上げにバターとメープルシロップを入れて馴染ませる

ひっくり返してから2分ほど経ったら、バターを2個投入します
ひっくり返してから2分ほど経ったら、バターを2個投入します
バターが溶けてきたら、メープルシロップをフライパン2周分かけます
バターが溶けてきたら、メープルシロップをフライパン2周分かけます
メイプルシロップが熱されるジュワーッという音とともに香ばしい匂いが広がってきたらフライパンを火からおろします
メイプルシロップが熱されるジュワーッという音とともに香ばしい匂いが広がってきたらフライパンを火からおろします

■9:フレンチトーストをお皿に盛り、バニラアイスを添える

焼きあがったフレンチトーストをフライパンからお皿に盛り付けます
焼きあがったフレンチトーストをフライパンからお皿に盛り付けます
フライパンに残っているメイプルシロップをさらに上からかけます
フライパンに残っているメイプルシロップをさらに上からかけます
アイスミルクを薄く取り、好みの量をフレンチトーストに添えます
アイスミルクを薄く取り、好みの量をフレンチトーストに添えます
茶こしでシナモンと粉糖をふりかけます
茶こしでシナモンと粉糖をふりかけます

添えるアイスは、低脂肪でさっぱりとしたアイスミルクがおすすめ。アイスミルクは色が白く、フレンチトーストの黄色とのコントラストがきれいに映えます。

■10:できあがり

専門店直伝、究極のフレンチトースト
専門店直伝、究極のフレンチトースト

最後にセルフィーユを飾ったら、専門店直伝の究極のフレンチトーストのできあがり。卵を溶き出してからわずか10分程度で完成です。できたては、熱々のフレンチトーストに冷たいアイスという組み合わせが非常にマッチしています。

大谷さんによると、和風のアレンジもおすすめだとか!

「フレンチトースト自体がシンプルな味なので、季節の果物からチョコレートまで、フレンチトーストにはなんでも合うんですよ。例えば、和風の黒糖きなこと黒蜜がとても合い、人気も高いです」(大谷さん)

究極のフレンチトーストのつくり方4つのコツ

■1:バターは使用直前までしっかり冷やし、複数回に分けてフライパンに投入

フレンチトーストの味・食感・香り、すべてがバターで決まるといってもいいほど、バターの固さと投入のタイミングが重要です。バターはあらかじめ2cm角のキューブ状に切って使用直前まで冷蔵庫で冷やし、フライパンに4回に分けて投入します。バターがしっかり冷やされていないと、溶け具合が変わり、焼き時間や風味も変化してしまいます。

■2:アパレイユに漬け込み過ぎず、サッとくぐらせる程度に抑える

パンをサッとくぐらせて軽く絞るだけでアパレイユは十分染みています。漬け込み過ぎないことが、軽い食感を生み出しフワっとしたフレンチトーストをつくるコツ。ただし、しっとりとして濃厚なフレンチトーストが好みの方は、少し長めに浸すといいそうです。

■3:向きを途中で180度変えて、焼き目を均等につける

IHコンロはフライパンの内側、ガスコンロは外側が熱くなりやすく、どちらも熱にムラが生まれます。パンの向きを途中で180度変えて、焼き目を均等につけましょう。火の通り具合も均等になり、よりいい食感が生まれます。

■4:中火で片面、約2分じっくり焼く

火加減は中火に固定。パンを動かし過ぎずに約2分かけてじっくり焼きましょう。じっくり焼くことで、余計な水分が蒸発し、濃厚なアパレイユがパンに浸み込みます。

■5:仕上げのメープルシロップはバターと一緒に火を通す

メープルシロップは最後にフライパンに2周かけ入れ、溶かしバターと一緒に火を通すのがポイント。こうすることで香ばしさとカリッした食感が生まれます。ただし、熱し過ぎるとシロップの糖分が固くなり歯にくっつきやすくなってしまうこともあります。よりソフトな食感とメープルシロップの優しい甘みをそのまま楽しみたい場合は、焼きあがった後からかけてもいいそう。またメープルシロップに代えて蜂蜜も、もちろんおすすめです。

7年越しの研究の末にフレンチトースト専門店をオープン

緑が丘駅から徒歩4分。線路沿いにある「Haru and haru」
緑が丘駅から徒歩4分。線路沿いにある「Haru and haru」
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「夫がフレンチのシェフで、いつもお店にいろんなパンが余り、余った分をフレンチトーストにして食べていました。そんなとき、フレンチトーストは材料がシンプルだからこそ、焼き方ひとつで全然味が違ってくることに気がつき、探求心に火がついて…。7年の研究を重ね、納得のいくフレンチトーストができたので、お店をオープンしました」(大谷さん)

元は固くなってしまったフランスパンをおいしく食べるために工夫され、世界中でつくられるようになったフレンチトースト。おいしくなる魔法のようにフライパンにバターを少しずつ投入して、究極のフレンチトーストをご自宅でつくってみてくださいね。

問い合わせ先

  • Haru and haru  
  • 営業時間/8:30〜19:00 (モーニングは11:00まで。18:30L.O.)
  • 定休日/水曜日(祝日の場合は翌日休み)
  • TEL:03-3718-2188
  • 住所/東京都目黒区緑ヶ丘3-1-6

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この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
2019.5.9 更新
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
加藤良子
EDIT :
廣瀬 翼(東京通信社)