雑誌「メンズプレシャス」で、お馴染みの中野香織氏の新刊『ロイヤルスタイル 英国王室ファッション史』が発売され1ヶ月が過ぎましたが、今もなお好評を得ています。ファッションを通して、近現代のイギリスの歴史と文化、そして気高い(ロイヤルな)生き方について考える注目の書。中野香織ファンはもちろん、本が大好きという人たちにも、ぜひ手にとって読んでほしい! そんな思いを込めて、この1冊を紹介します。

 個性ある生き方とファッションで世界の関心を惹きつける英国王室。装いや言動、恋愛や結婚は何を示し、人々はいかに受け止めたのか。威光と親しみやすさを共存させてきた英国王室の歴史、そして気高い生き方を考える。

 裏表紙には、このように本書の内容が短くつづってあります。そして、「ロイヤルスタイルとは何か」という見出しのプロローグは、「世界におけるイギリスの存在感は、時代とともに小さくなっている」という、少し胸がざわっとするような1行から始まります。

本編は次のような4部構成 〜目次より〜

第Ⅰ部 エリザベス2世をめぐる物語

第Ⅱ部 ヴィクトリア女王とアルバート公、その長男をめぐる物語

第Ⅲ部 ダイアナ妃とその息子たちをめぐる物語

第Ⅳ部 ロイヤルジェントルマン

『ロイヤルスタイル 英国王室ファッション史』

 現在の君主、エリザベス2世から始まって、メンズファッションの基礎を形作ってきた歴史的なロイヤルジェントルマンたち、そして、ダイアナ妃に到るまで。英国王室の一員という座につき、今も世界のファッショントレンドに多大な影響を与えて続けている、さまざまなスタイルアイコンたちの物語になっています。

 最後に番外編もあり、タイトルは「アメリカのロイヤルスタイル ファーストレディの責務とファッション」。王室のないアメリカ合衆国で、英国王室メンバーにかわる存在として期待される責務をになうのが大統領家族。なかでも注目の的となる歴代の大統領夫人たちについて書かれた内容は、刺激的ともいえます。

 登場する人物像がそれぞれ魅力的に描かれているため、気になる人物の項目を拾い読みしていくのもいいでしょう。でも、歴史物語を読み解くように最初から読み進めていくのがおすすめ。

 書店では、西洋史や人文学といった、専門書の棚におかれるような内容の濃さはもちろんのこと、ところどころにある、賛美と辛辣さを交錯させた文章も小気味よく、読み出したら止まらなくなってしまいます。なので、寝る前に読むのは要注意。

 本サイトのファンならもちろん、また、英国王室にさほど興味がないという人にとっても、絶対に面白い、読みごたえがある一冊なのです。 

<出典>
ロイヤルスタイル 英国王室ファッション史
イギリス王家の人々の個性ある生き方とファッションは、世界中の関心を惹きつけてやまない。装いや言動、恋愛や結婚は何を示し、人々はどのように受けとめたのか。威光と親しみやすさ、神秘性と共感、伝統と先進性を、王室はいかに共存させてきたのか。ファッションを通して近現代のイギリスの歴史と文化、そして気高い(ロイヤルな)生き方について考える注目の書。(吉川弘文館HPより)
2019年6月26日発売 ¥2,200(税抜)
この記事の執筆者
音楽情報誌や新聞の記事・編集を手がけるプロダクションを経てフリーに。アウトドア雑誌、週刊誌、婦人雑誌、ライフスタイル誌などの記者・インタビュアー・ライター、単行本の編集サポートなどにたずさわる。近年ではレストラン取材やエンターテイメントの情報発信の記事なども担当し、ジャンルを問わないマルチなライターを実践する。
PHOTO :
島本一男