うずまき状の蚊取り線香は、明治の頃からつくり始められたという。もともとその原料は除虫菊だったが、近年は、除虫菊の成分を分析し、化学合成した殺虫成分が使用されているという。

 しかし、ここで紹介する、とっておきの蚊取り線香「菊花線香」は、昔ながらの除虫菊をつかった100%ナチュラルな製品なのだ。

 戦前、日本でさかんに行われていた除虫菊の栽培は、戦後、合成殺虫剤が開発されて以降、栽培量が激減した。『りんねしゃ』による「菊花線香」の開発は、そんな一度は絶滅状態にあった日本における除虫菊の復活への取り組みから始まっている。

安全な蚊取り線香「菊花線香」

天然100%のアロマで虫除け+αの効果をもつ。菊花線香 標準型(10巻×3袋入り)サイズ:直径12cm ¥1,200(税抜)※無風状態で1巻約6時間使用できる
天然100%のアロマで虫除け+αの効果をもつ。菊花線香 標準型(10巻×3袋入り)サイズ:直径12cm ¥1,200(税抜)※無風状態で1巻約6時間使用できる

 加えて、「菊花線香」は、防カビ剤として天然の薄荷(ハッカ)を使用している。これも、“とっておき”の理由。日本では北海道が主要生産地として有名な薄荷は、防カビ効果があるだけでなく、抗菌・消臭・ストレス発散など、昔から伝えられる多くの効能が期待されている。

「菊花線香」には、1977年に愛知県津島市で家族経営で設立された『りんねしゃ』が持ち続ける、「暮らしと向き合う人にやさしいモノづくり」という思いが込められているのだ。

100年後の未来にも届けたい安心・安全な商品という思いが込められているのだ。

 そして、蚊取り線香の、なくてはならない相棒が、蚊遣(かやり)器。誰が見ても心なごむ陶器のブタの蚊遣器はおなじみだが、ここで紹介するのは、現代のライフスタイルにとてもよくあう『香遣(かやり)』。「香」の字を取り入れた商品名の由来は、蚊取り線香だけでなく、お香やアロマ用の器としても使えることからきているのだ。

「和室にも、洋室にも合うデザインを」「軽くて丈夫で、持ち運びがかんたんにできるように」など、環境を配慮したサスティナブルな製品作りを目指す企画元『イーオクト』の蚊遣器に対する理想は高かった。それに共感したのが、いま注目のプロダクトデザイナーの小泉誠さん。両者で共同開発が進められ、『香遣』が誕生したのは2015年。今では、ロング&ベストセラーと呼んでもいい商品に成長している。

 その誕生に必要不可欠だったのが、ふたりの職人の技だ。

 ひとりは、創業71年、東京墨田区で三代つづく『昌栄工業』の現役金型職人の昌林幸一さん。純アルミ100%を素材にした本体の造形を手がけた。

 そして、取っ手の籐巻きには、創業60年、東京スカイツリーの真下に工房をかまえる『籐工芸 おみねらたん』の小峰正孝さんの長年の技が生かされている。その仕上がりは、ご覧のとおり(写真下)!

日本の暮らしによくなじむ香遣

美しいフォルムに、清潔感のある白みがかったシルバー色。軒先に吊り下げることもできるため置き場所にも困らない。香遣/かやり サイズ:直径13.4 ×高さ10㎝ 取っ手の長さ10cm 重さ:約130g ¥6,000(税抜)
美しいフォルムに、清潔感のある白みがかったシルバー色。軒先に吊り下げることもできるため置き場所にも困らない。香遣/かやり サイズ:直径13.4 ×高さ10㎝ 取っ手の長さ10cm 重さ:約130g ¥6,000(税抜)

『菊花線香』と『香遣』、どちらにも共通するのが、心地よくつかってほしいという作り手の思い。我が家で愛用するだけでなく、夏ならではの手土産にしたら「お、なかなかのセンスだね」と、一目おかれるにちがいない。

問い合わせ先

この記事の執筆者
音楽情報誌や新聞の記事・編集を手がけるプロダクションを経てフリーに。アウトドア雑誌、週刊誌、婦人雑誌、ライフスタイル誌などの記者・インタビュアー・ライター、単行本の編集サポートなどにたずさわる。近年ではレストラン取材やエンターテイメントの情報発信の記事なども担当し、ジャンルを問わないマルチなライターを実践する。
TAGS: