平日昼間でも行列の絶えないもつ焼き屋や、立ち食い寿司店が立ち並ぶ立石仲見世商店街をはじめ、飲み屋が密集している京成立石。千円でベロベロになるまで飲める“せんべろの街”と呼ばれるだけあり、昼間から営業している店も多い。

そこで今回は昼間から人々が集うスナックへと足を運ぶ。その店『サファイヤ』は駅から徒歩3分ほどの住宅街にある。本日のパートナーである小林さんと立石仲見世商店街を冷やかしながら向かおう。

京成立石のランドマーク・立石仲見世商店街を冷やかして

昭和から時が止まったような立石仲見世商店街
昭和から時が止まったような立石仲見世商店街

店先に並ぶ惣菜や刺し身に惹かれつつ、立石仲見世商店街を抜けるとすぐに住宅街が現れる。住宅街には不似合いな“昼カラオケ”ののぼりを右折すると、飲み屋が数軒並ぶ小道がある。その一番奥がお目当ての『サファイヤ』だ。

店名に合わせたのだろうか、看板やシェードもブルーだ
店名に合わせたのだろうか、看板やシェードもブルーだ

ドアに“営業中”と出ている。いざ、扉を開く。

地元の紳士淑女の前で『プレイバック Part2』を熱唱

扉を開くと笑いさざめいている。カウンター5席、4つのテーブル席の店内は地元の紳士淑女でいっぱいだ。さすが飲兵衛の聖地、早くも京成立石の洗礼を浴びた格好だ。全く物怖じしない小林さんは、さっそく輪の中へ。

この連載で訪れたスナックの中で、最も人口密度が高かった
この連載で訪れたスナックの中で、最も人口密度が高かった

小林さんは20歳の頃、当時の勤務先のオーナーによくスナックに連れてもらっていたという。そのせいか、親子ほども年齢の離れた先客とも話に花を咲かせている。

「私が知っているスナックそのままで、タイムスリップしたみたい。それにしても昼でもこんなににぎやかなんですね」

日系4世のペルー人である小林さん。陽気な性格はペルー人故か
日系4世のペルー人である小林さん。陽気な性格はペルー人故か

先客たちに促され、小林さんがさっそく歌声を披露することに。選んだ曲は山口百恵の『プレイバック Part2』だ。彼女が生まれる前の曲、しかも彼女はペルーで生まれ、8歳の時に来日している。どうしてこの歌を知っているのか。

「来日した時、TVを見て日本語を覚えていたんですね。その時、この曲を知って歌うようになりました」

振り付きで『プレイバック Part2』を熱唱
振り付きで『プレイバック Part2』を熱唱

低音で色っぽい歌い方がよく似ている。しかもTVで見て覚えたせいか、振り付けまでマスターしている。これには周囲の紳士淑女も沸き立つ。周囲の盛り上がりも手伝ってか、89点の高得点! この店では得点の下一桁とその日の日付の末尾が合致すると、好きなスナックやカップラーメンなどがもらえる。実に下町らしい、アットホームなサービスだ。

戦利品のポテトチップスを手にニッコリ
戦利品のポテトチップスを手にニッコリ

小林さんがオープンマインドな性質ということもあるが、ここには親切な人ばかり集まっている印象を受ける。それはマチエママの存在が大きいからだろう。後編では40年続く『サファイヤ』の歴史に触れながら、さらにこの店の魅力を探っていく。

【サファイヤ】

問い合わせ先

  • サファイヤ TEL:03-3695-6000
  • 住所:東京都葛飾区立石1-11-7
    営業時間:昼の部12:00〜16:30、夜の部19:00〜24:00
    定休日:火曜、第3月曜
    メニュー:昼の部ソフトドリンク2杯+お茶菓子¥1,000、ビール1杯目¥1,000・2杯目以降1杯¥500、ウーロンハイ、ハイボールなどのアルコール類1杯目¥1,000・2杯目以降1杯¥400、カラオケ1曲¥100
この記事の執筆者
フリーランスのライター・エディターとして10年以上に渡って女性誌を中心に活躍。MEN'S Preciousでは女性ならではの視点で現代紳士に必要なライフスタイルや、アイテムを提案する。
PHOTO :
小倉雄一郎