5つ星を獲得しているパリ屈指の高級ホテル「オテル・デュ・ルーヴル」が、約2年に及ぶ大規模改修工事を経てリニューアル・オープンした。ナポレオン3世統治時代の第二帝政スタイルにモダンなタッチをプラスした新インテリアで、宿泊客をもてなし、客室は全部で167室あり、そのうち58室がスイートだ。

ホテルの近くにはルーヴル美術館、フランス王立の劇場コメディ・フランセーズなど、パリを代表する建物が立ち並び、ロケーションも良くフランスの歴史を肌で感じることができるだろう。そんなロケーションにも恵まれている「オテル・デュ・ルーヴル」ではあるが、注目したいのがパリに初上陸したポール・ボキューズのレストラン「ブラッセリー デュ ルーブル」だ。

パリの中心地、芸術に囲まれたロケーション「オテル・デュ・ルーヴル」

オテル・デュ・ルーヴル
オテル・デュ・ルーヴル
客室「エグゼクティブ・スイート」。角部屋で自然光がたっぷり入る。
客室「エグゼクティブ・スイート」。角部屋で自然光がたっぷり入る。

「ブラッセリー デュ ルーブル」で、フランス料理史に残る味わいを堪能

注目は、ホテルに併設されている、リヨンの有名料理人ポール・ボキューズによる「ブラッセリー デュ ルーブル」。ボキューズはいまや古典となっている数々の料理を作り出したフランス料理史に残る名シェフ。辻調グループ創始者の辻 静雄氏との繋がりも深かった。ボキューズ自身は2018年に死去してこのブラッスリーのオープンを見ることはなかった。

夏はテラス席が人気だ。向かいにはフランス王立の劇場コメディ・フランセーズやパレ・ロワイヤルという歴史的建築物が立ち並ぶ絶好の立地。
夏はテラス席が人気だ。向かいにはフランス王立の劇場コメディ・フランセーズやパレ・ロワイヤルという歴史的建築物が立ち並ぶ絶好の立地。
スケートや音楽に興じる人々が集う広場に面している。この日、結婚式途中の花嫁が広場に立ち寄っていた。
スケートや音楽に興じる人々が集う広場に面している。この日、結婚式途中の花嫁が広場に立ち寄っていた。
ボキューズの代表作のひとつ「ブレス産の鶏、マッシュルームとクリーム煮」€32。付け合わせのライスは皿に移して、鶏やクリームソースと一緒に絡めていただく。
ボキューズの代表作のひとつ「ブレス産の鶏、マッシュルームとクリーム煮」€32。付け合わせのライスは皿に移して、鶏やクリームソースと一緒に絡めていただく。
クラシックなデザート「ババ・オ・ラム・トラディション」€12。カットしたのちにラム酒をふりかける。
クラシックなデザート「ババ・オ・ラム・トラディション」€12。カットしたのちにラム酒をふりかける。
甘いパンのお菓子クグロフから発祥したと言われる「ババ」。『千夜一夜物語』の登場人物アリババからその名を取ったらしい(諸説あり)。
甘いパンのお菓子クグロフから発祥したと言われる「ババ」。『千夜一夜物語』の登場人物アリババからその名を取ったらしい(諸説あり)。

ボキューズの料理はバターをたっぷり使うフランスらしいグルマン(食いしん坊)な味で、軽さが求められる現代の料理とは一線を画す。

フランス人でさえ、健康を気にしてバターたっぷり料理を控えている人が多いが、後ろめたさを感じつつもこういう料理が急に食べたくなったり、味にばらつきがある新奇な料理より安定を求める志向のために、このようなオーセンティックな料理が再び注目を集めている。

この「ブラッセリー デュ ルーブル」では、ボキューズのシグネチャーとその他の料理を揃えているが、ここはひとつ、ボキューズならではの料理を味わうべきだろう。

「食べた!」という満足感を得られる質実剛健な味わいと共に、古き良き時代のフランスを感じさせてくれるはずだ。

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この記事の執筆者
某女性誌編集者を経て2003年に渡仏。東京とパリを行き来しながら、食、旅、デザイン、モード、ビューティなどの広い分野を手掛ける。趣味は料理と健康とワイン。2013年南仏プロヴァンスのシャンブル・ドットのインテリアと暮らし方を取り上げた『憧れのプロヴァンス流インテリアスタイル』(講談社刊)の著者として、2016年から年1回、英語版東京シティガイドブック『Tokyo Now』(igrecca inc.刊)を主幹として上梓。
公式サイト:Tokyo Now