グローブ・トロッターとPreciousがコラボレーションした、品格と美しさ、利便性も備えたトラベルケースはこうして生まれました!

世界中で愛されているイギリスのトラベルケースブランド、グローブ・トロッターと雑誌『Precious』が、創刊15周年を記念し、機内に持ち込みが可能で、2〜3泊の出張や旅行に活躍するトラベルケース&ミニトランクを製作。スタイリスト押田比呂美さんの意見を基に、約1年かけて完成まで辿り着いた、その道のりをご紹介します。

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機内持ち込みもできるサイズで2~3泊の出張や旅行に活躍。トラベルケース「20インチ トロリーケース」¥427,000【縦55×横42×マチ18cm】・ミニトランク「ザ・ロンドン・スクエア」¥221,000【縦20×横20×マチ11cm、ストラップ付き】(グローブ・トロッター 銀座)※トラベルケースのサイズは、主要航空会社の国内・国際線に持ち込み可能ですが、搭乗前に確認してください。

【グローブ・トロッターとPreciousがコラボした「トラベルケース&ミニトランク」の詳細はこちら】

2018年10月、まずは銀座の旗艦店でのオーダーから!「女らしくてシック、欲しかった配色を考えました」(スタイリスト・押田比呂美さん)

色や素材、パーツを選んでトランクがオーダーができるのは「銀座旗艦店」、「伊勢丹メンズ館グローブ・トロッター店舗」、「英国本店」の3店のみ。今回はまず銀座旗艦店で、押田さんが時間をかけて、素材や色を選び抜きました。

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ゆったりとした空間で、専門のスタッフと相談しながら、カラー&パーツオーダーができる銀座店のビスポークラウンジ。

正統派でトラッドな魅力はすでに備わっているトラベルケースを、一層シックに、さらには、上品な色っぽさを感じさせたくて。そんな配色や素材合わせを考えました」と押田さん。

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豊富に揃うケース本体の色のバリエーション。
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コーナーレザーの色のバリエーション。
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艶やかなキャビアグレーの本体素材や、ライニングとなるリバティプリントの生地、今回のためにセレクトした素材を並べて、仕上がりイメージを確認。

約8か月後の2019年6月、イギリスにあるグローブ・トロッターの「世界でただひとつの工場」へ

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グローブ・トロッターの工場

ロンドン中心地から北へ約30km、街のざわめきが和らいだころに見えてくる、小さな町ブロックスボーン。ここにグローブ・トロッターの工場はあります。

1897年の創業当時とほぼ変わらない製法でトラベルケースが大切につくられているこの場所へ、押田さんが訪れたのは2019年6月末。今回のコラボケース製作にあたり、銀座店で素材や色、パーツを選び、オーダーをしてから、何度もやりとりを重ねてきました。

「オーダーしたトラベルケースが生産に入ったと聞き、楽しみにして来ました。ほぼハンドメイドであること、世界でここでしかつくられていないことなど、実際に見てみたいという気持ちが高まります」(押田さん)

「職人技の確かさはもちろん、手仕事の愛情を感じます」(押田さん)

いよいよ工場内へ。作業場に続くドアを開くと、そこは広いワンフロア。ベルトコンベアのようなものは見当たらず、趣のある機械とそれを自在に操る職人の姿が続きます。

聞けば、プレス機や縫い機などの機械類はヴィクトリア時代から使われている古いもので、金属が回収された戦時下で溶かされないよう"WAR FINISH"とペイントされたものもあるとのこと。それらが大切にされ、今も現役であることに驚かされます。

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ライニングを貼る工程を押田さんに説明してくださっているのは、ジョー・ガリアさん。トラベルケースの製作に携わって38年、多くの職人が働くなかで、ほぼすべての工程を手がけ、機械の修理までできるのは、彼ひとり。この工場の頼れる存在。

さらには、プレスされたトラベルケース本体の角度を最後に整えるのも、隙なくライニングを貼るのも人の手、レザーの断面を美しく塗るのも、正確にロックを取り付けるのもやっぱり人の手…と、約100あるすべての工程に職人の手が関わっていることに、目をみはらざるを得ません。

案内していただいた方の「すべては手と目」という言葉に納得。「このブランドの美しさや上質さ、品格は職人の真摯なひと手間、ひと手間から生まれるのだと実感しました」と押田さん。

「つくっているのは未来のアンティーク」。時代を超えて愛されることを前提にした製作過程を詳解!

今回、Preciousとグローブ・トロッターがコラボしたのは、機内持ち込み可能な20インチのトラベルケース&ミニトランク「ザ・ロンドン・スクエア」。

どちらもケース本体となるヴァルカン・ファイバーやコーナーレザーの成型、ハンドルの縫い上げ、組み立てから検品に至るまでたどる工程は約100。どの工程でも大切につくられていく様子から、ここから生まれる製品への矜持が伝わってきます。

「本当に手づくり、ここまで人の手に支えられているとは想像を超えていました」(押田さん)

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ケース本体となるヴァルカンファイバーは、機械で熱を加えて曲げた後、人の手で正確な角度に整える。ケースの端正さを決定づける工程。
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ハンドルやコーナーのレザーの断面を塗る、インキング。このひと手間で、上品な美しい仕上がりが約束される。
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ヴィクトリア時代の機械による、ハンドルの縫い上げ。革が重なる部分はとても厚く、その際を縫い進めることができる職人はごくわずか。
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隙なく皺なく、ぴたりとライナーを貼るには熟練の指先の感覚が必要。深みのあるボルドーは今回のコラボカラー。

ハンドルやコーナー、デザインの鍵となるパーツは上質なレザーから

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芯材に革を巻いてつくられたハンドル。このハンドルやコーナーに使われるレザーは、ブリティッシュレザーと呼ばれる分厚い牛革。丈夫で耐久性が高く、かつては蒸気機関にも使われていたそう。
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コーナーパーツは円形レザーを液体に浸してからプレス。その後、乾燥に約1週間かけるのだとか。
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製作中のモデルを示す作業場の貼り紙。この日はPRECIOUSの文字が!

出荷間近、最後は厳しい検品

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二人がかりであらゆる角度から入念にチェック。レザー製のハンドルやコーナー、メタル部分には保護のためカバーがかけられます。

グローブ・トロッターの代名詞ともいえる素材、ヴァルカン・ファイバー

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作業場の一角にはトラベルケース本体に使われる素材、ヴァルカン・ファイバーがストックされていました。特殊紙を14層重ねて圧をかけ、コーティングしたこの素材は、1850年代に英国で発明され、アルミより軽く、革より丈夫。使うほどに水分が抜けて硬くなり、より堅牢になります。

数あるパーツも迷子にならない!

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ひとつのトラベルケースをつくるのに必要なすべてのパーツがまとめられたトロリー。こちらは今回のプレシャスコラボ用パーツ。

グローブ・トロッターのブランドの奥深さを体感! アーカイブがそろう英国本店へ

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ロンドン中心部、アラバマールにある英国本店。ファサードのトラディショナルなかわいさが目を引きます。押田さんはニュアンスのあるグレーに、ブルーグリーンのベルトが映える愛用のトラベルケースとともに訪問。住所/35 Albemarle Street LONDON W1S 4JD

1897年の創業以来、旅を愛する人々の支持を集めてきたグローブ・トロッター。ロンドンにある英国本店には、ブランドの始まりや変わらぬ魅力に触れられるアーカイブがそろいます。

そこから見えてくるのは、100年以上前に形づくられた品質が、今なお最上であること、使い続けるほどに増す風格とエレガンスでした。

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エントランスに入ってすぐ出迎えてくれるのは、愛用者が寄贈してくださったというトラベルケース。びっしり貼られたステッカーに旅の物語を感じて。
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新作、定番、貴重なアーカイブと幅広く楽しめる空間に。

「歴史に触れると、自分もケースとともに大切に時を重ねていきたい気持ちに」(押田さん)

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今と変わらぬ姿、創業年につくられた最古のトラベルケース

1930年代に工場が英国に移る以前、ドイツのドレスデンでの創業直後につくられたトラベルケース。最初の品にして、この時すでに今と変わらぬ完成された端正さを備えていることに、このブランドのぶれない姿勢を感じて。

わずかな違いは、コーナーパーツにレザーではなく本体と同じヴァルカン・ファイバーが使用されていること、刻印が「made in England」ではなく、「made in Saxony」となっていること。

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トラベルケース「20インチ トロリーケース」¥427,000【縦55×横42×マチ18cm】・ミニトランク「ザ・ロンドン・スクエア」¥221,000【縦20×横20×マチ11cm、ストラップ付き】(グローブ・トロッター 銀座) ※トラベルケースのサイズは、主要航空会社の国内・国際線に持ち込み可能ですが、搭乗前に確認してください。

以上のような過程を経て誕生したのが、この20インチのトラベルケースとミニトランク。是非、この軽量で使い勝手のいいアイテムを、あなたの旅のお供に加えていただければと思います。

【グローブ・トロッターとPreciousがコラボした「トラベルケース&ミニトランク」の詳細はこちら】


【Column】圧巻の面々! グローブ・トロッターに魅了されたセレブたち

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©REX/アフロ

自身のハネムーン用のトラベルケースも、グローブ・トロッターだったというエリザベス女王陛下。「THE QUEEN」の文字が記されたこのモデルは今も現役で使われています。

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©United Archives/アフロ

アタッシェケースを愛用していた、ウィンストン・チャーチル卿。

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©Backgrid/アフロ

流石のおしゃれ感! ベージュ、ブラウン、黒とベルトの色の異なるグレーのケースを3つ重ねたケイト・モス。

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©Splash/アフロ

ミスター007、ダニエル・クレイグが携えているのはシックな黒。

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PHOTO :
Colin Roy
STYLIST :
押田比呂美
COOPERATION :
Akemi Roy
EDIT&WRITING :
岡本治子、古里典子(Precious)