立ちはだかる壁を破って自分らしい働き方を実践する日本人女性の「働き方」改革

ラグジュアリーマガジン「Precious」では、2004年の創刊以来、世界で活躍するキャリア女性たちの「今」を毎号追いかけ、彼女たちがどのように仕事や人生を輝かせているのか?を見続けてきました。

仕事への情熱や楽しむ気持ちなど、15年間変わらないものがある一方で、働く場所や時間などの制限がはずれ、「働き方」は今、大きく変わってきています。時間、場所、職種などにこだわらない、柔軟で自由な発想の働き方を実践している女性たちの姿から、未来の「幸せな働き方」を探ってゆきましょう。

本記事では、ウェブ制作会社の取締役、橋本晴子さんをご紹介します。

夫の転勤で引っ越しても、変わらない働き方をできるのは、創業当時からの「オフィスを構えない」スタイルにありました

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橋本晴子さん
「デジタルムーン」取締役
(はしもと はるこ)54歳。大学卒業後、丸紅の関連会社に勤務し、システムエンジニアとして営業支援システムを開発。’96年、出産を機に退社。子育てをしながら、独学でウェブを学び、ネットの掲示板で知り合った市内の女性(代表取締役)と勉強会を通じて知り合う。2001年、同じエリア内に住む女性5人が、それぞれの自宅で働くスタイルでウェブ制作の会社を起業。当初は昼夜を問わず働いたが、長期間働き続けることを見据えて、働き方を改革。ふだんは7割の力で働き、繁忙期やピンチ時にはチーム力を結集、納期は必ず守る。現在、福岡県に在住。他に兵庫県、神奈川県、愛知県に社員が暮らす。

全国のリモートワーク社員とウェブ制作。ふたり1組で担当をもつことで、助け合える工夫も

インターネットを利用して、場所に縛られず、働き続けてきたのがウェブ制作の会社を経営する橋本晴子さん。

2001年、兵庫県での起業当初から、オフィスは構えず、一緒に働くメンバーはそれぞれの自宅を仕事場としてきました。しばらくして橋本さんは夫の転勤で神奈川県に引っ越し、現在は福岡県に暮らすが、どこへ行っても、変わらないスタイルで働き続けています。

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橋本晴子さん

「メンバーは全員が正社員で、全国各地に暮らしています。働く時間はそれぞれが決め、チャットで"今から作業を開始します""子供が熱を出したので学校に迎えに行きます"など報告し合います。

常に存在を感じながら仕事ができて、安心。開発の仕事は孤独になると課題の深みにはまりがちですが、ふたり1組で担当をもつことで、助け合える工夫もしています」

社員全員が顔を合わせるのは、年1回の社員旅行。待ち合わせは北海道や沖縄の空港。工夫しながら経営を続けて、すでに18年になるそう。創業時からのクライアントも多く、営業活動は特にしていません。

「創業当時はまわりにほとんど実例がなかったけれど、今は若い人に話すと共感してくれる人も多い。子育てやボランティア、趣味などやりたいことをしながら働き、その充実が仕事のクオリティにも生かせていると思います」

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PHOTO :
豊島正直、石川浩太郎、森本真哉
EDIT :
樋口 澪(HATSU)、喜多容子(Precious)
取材・文 :
三村路子
取材 :
佐々木恵美