あの内村航平選手に勝った男、着地が美しい童顔の20歳

もしかしたら体操選手ではなく、アクションスターの道を歩んでいたかもしれない。そんな東京五輪金メダル候補がいる。日本の体操界に颯さっ爽そうと現れた新エースの谷川 翔選手は、かわいらしささえ漂うベビーフェースの20歳。クリッとした目と大きな耳が特徴の大学3年生だ。

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谷川 翔
体操選手
(たにがわ かける)1999年、千葉県生まれ。小学校1年生のときから体操を始めて、船橋市立法ほう田だ中学校に進学。3年のときに全国中学校選手権で個人総合優勝。市立船橋高校時代には全日本ジュニア選手権を制した。2017年に順天堂大学に進み、2年生だった昨年の全日本選手権で、あの「五輪2大会連続金メダリスト」の内村航平選手を破って見事、優勝を果たす。今年は2歳上の兄・航(わたる)とともに世界選手権代表に選ばれている。身長153cm、体重51kg。血液型はB。

2歳上の兄・航(わたる)選手と一緒に地元の体操クラブに行き始めたのは小学生のとき。そのころ、並行して通っていたのが、俳優のショー・コスギ氏が東京都内で開いていたアクションクラブだった。

小さいころから運動神経抜群だった翔選手は、同クラブから選抜されて兄とふたりで、とんねるずの『うたばん』や『TBSオールスター感謝祭』に出演。ランドセルを背負ったまま連続バク転を見せるなど、天才的なアクロバットを披露して大人を驚かせていた。

テレビドラマの子役としても活躍した。’07年にNHKで放送された時代劇『柳生十兵衛 七番勝負』では、主演の村上弘明さんが演じる柳生十兵衛の幼少期を演じた。殺陣(たて)のセンスが抜群で、愛くるしい表情も評判。翔選手は漠然と、俳優の道も考えていたという。

インスタでは変顔披露も本番ではピタリ賞!

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谷川 翔選手

しかし、体操のおもしろさには勝てなかった。中学生になると全国レベルでメキメキ頭角を現していった翔選手は、大人の世界大会出場者でも数えるほどしかできない大技をマスターするように。

国内では同世代のなかで抜きん出た存在になり、海外遠征も経験した。そして、2018年4月の全日本選手権個人総合では、世界中から「キング」と呼ばれているレジェンド・内村航平選手の大会11連覇を阻止して、史上最年少となる19歳2か月での優勝を果たした。

翔選手の演技の特徴は「技の正確性」と「着地の美しさ」だ。体操はいくら難しい技ができても、ひざが開いていたり、つま先がゆるんでいると評価されないが、人一倍体のやわらかい翔選手は常に足先までピンと伸び、空中姿勢が美しい。着地も得意でいつもピタリ。難しい技をサラッとこなすところに強さがある。

大学2年だった昨年は体脂肪率が9%だったが、今年は5%になった。体が絞れたのは大人への一歩。そして、世界制覇への一歩でもある。

矢内 由美子さん
スポーツライター
(やない ゆみこ)取材歴25年のスポーツライター。オリンピック種目などをカバー。日本スポーツプレス協会会員。「7月は体操、陸上、バレーなどインタビューが目白押し。オリンピアンの金言に耳を傾けました」

※本記事は2019年9月7日時点での情報です。

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森田直樹/アフロスポーツ、アフロスポーツ
EDIT :
剣持亜弥・宮田典子(HATSU)、喜多容子(Precious)
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