【2020年5月29日更新<会期変更>】
新会期:2020年6月30日(火)~8月23日(日)  東京国立博物館 平成館
※会期等は今後の諸事情により変更する場合があります。​

【重要】新型コロナウイルスの感染予防・拡散防止のため、展覧会の開幕を当面延期し、関連イベントの中止・変更が発表されました。詳細は展覧会ホームページをご覧ください。

特別展「きもの KIMONO」が2020年に開催

2020年6月。オリンピックに沸き、海外からの観光客で盛り上がる東京で、日本を代表する装いである「着物(きもの)」の特別展が開催されます。

室町時代後期から現代まで、800年以上を生き抜き、日本の美意識を色と模様に表したきもの。劣化などにより、後世に遺すのが難しい染織作品ですが(鎌倉時代のもので現存するのは5領ほどだとか)、本展では、奇跡的に残った国宝、重要文化財を含む染織作品、屏風や浮世絵などの絵画作品など、国内外から200件以上の作品が一堂に会し、きものの壮大な歴史絵巻を繰り広げます。

鎌倉時代から現代まで!きものの歴史を辿る5つのチャプター

きものの原型である小袖は室町時代後期に花開き、「きもの」百花繚乱であった江戸時代、そして明治・大正時代には型友禅や銘仙など近代的なきものが流行しました。

戦後、きものはモードの一線を離れますが、現代アートを志向するデザインが登場し、現代に至るまで、多様に展開しながら成長し続ける日本独自の美の世界を体現しています。

特別展「きもの KIMONO」では、鎌倉時代から現代までを通史的に総覧し、きものの過去・現在・未来を見つめることができます。

■1:モードの誕生。華やかなファッションが流行

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重要文化財 縫箔 白練緯地四季草花四替模様 安土桃山時代・16世紀 京都国立博物館蔵 室町時代後期より、染や刺繍、金銀の摺箔などで模様を表し、表着として花開いた小袖。絹糸による刺繍で埋め尽くされて華やか!

■2:京モード、江戸モード。遊女がトレンドセッター!海外からの里帰り品も

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誰が袖図屛風 江戸時代・17世紀 アメリカ合衆国・メトロポリタン美術館蔵 明治維新以後、欧米におけるジャポニスムの流行によって海外に渡った日本美術。こちらはニューヨークから初めての里帰り品です。
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国宝 婦女遊楽図屛風(松浦屛風) 江戸時代・17世紀 奈良・大和文華館蔵 江戸時代のモードを担った遊女たち。ヘアスタイルや小物にも注目。人々は彼女らの衣装に関心を寄せました。
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重要文化財 小袖 黒綸子地波鴛鴦模様 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵 腰部分を空けて弧を描くような躍動的なデザインが、町方の経済力を背景に寛文年間(1661〜1673)に流行。
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見返り美人図 菱川師宣筆 江戸時代・17世紀 東京国立博物館蔵 江戸時代中期には、浮世絵師たちの描く美人画がファッションに影響を与えるようになりました。
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重要文化財 振袖 紅紋縮緬地束熨斗模様 江戸時代・18世紀 京都・友禅史会蔵 老いも若きも一着は持っていた晴れ着。江戸中期はトレンドが変わり、藍や墨色などスッキリとしたものが好まれるようになり、後期は一層シックに。流行の変遷にも注目。
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重要文化財 小袖 白綾地秋草模様 尾形光琳筆 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵 尾形光琳が直接小袖に描いた作品のうち、完全なきものの形で残されてきた真筆は、「冬木小袖」の名称で知られるこの1領のみ。

■3:男の美学。火事と喧嘩は江戸の華。信長の陣羽織も必見!

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陣羽織 黒鳥毛揚羽蝶模様 織田信長所用 安土桃山時代・16世紀 東京国立博物館蔵 戦国時代、織田信長の陣羽織は山鳥の白い羽毛を一本一本差し込んだ上でカッティングを施した、手の込んだもの。

江戸時代の、裏地に勇壮な模様を施した火消半纏も出展され、注目です。鎮火後は反転させて派手な描絵模様見せて市中を歩いたのだとか。

■4:モダニズムきもの。アール・デコ調デザインも登場

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振袖 淡紅綸子地宮殿模様 昭和時代・20世紀 千葉・国立歴史民俗博物館蔵 ベルサイユ風振袖!戦前までは多くの日本女性が日常着としてきものを着ていました。

■5:KIMONOの現在。アートとしての新たな展開

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友禅訪問着 白地位相割付文「実り」森口邦彦作 平成25年(2013) 東京・株式会社三越伊勢丹蔵 お馴染みのショッピングバッグは、このきものの模様を元にしています。

特別展「きもの KIMONO」は東京・上野の東京国立博物館にて、2020年6月30日(火)〜8月23日(日)まで開催される予定です。

文化財としてでなく、現在進行形のファッションとして、日本独自の美の世界を体現する特別展「きもの KIMONO」。ニッポンの花道(ランウェイ)に興味がある人は、ぜひ足を運んでみてください。

問い合わせ先

  • 特別展「きもの KIMONO」
  • 会場/東京国立博物館 平成館(上野公園)
    会期/2020年6月30日(火)~8月23日(日)(会期中展示替えあり)
    開館時間/9:30〜17:00、金曜・土曜は21:00まで(入館は閉館の30分前まで)
    定休日/月曜日
    観覧料(税込)/前売券 一般 ¥1,500 大学生 ¥1,000 高校生 ¥700、当日券 一般 ¥1,700 大学生 ¥1,200 高校生 ¥900、団体券 一般 ¥1,400 大学生 ¥900 高校生 ¥600
    ※中学生以下無料
    ※団体は20名以上。
    ※障がい者とその介護者1名は無料(入館の際に障がい者手帳など提示)
    主催/東京国立博物館、朝日新聞社、テレビ朝日、文化庁、日本芸術文化振興会
    TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
    住所/東京都台東区上野公園 13-9

この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
2020.5.29 更新
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
神田朝子