香水に投影されるイメージは、つまりのところ調香師の感覚に寄るところが大きい。男性的、女性的などさまざまあるが、香りの表現は似ている部分が多いように感じる。何からインスピレーションを受けたのか？それによってアプローチの方法が全く異なる、香水の世界に新たな世界を築いたのが「オルファクティヴ・ストゥディオ」だ。
調香師がフォトグラファーの作品からインスピレーションを得てフレグランスを創るという、世界でも稀なスタイルでさまざまな香水をラインナップ。写真から受けるインスピレーションを香りで表現することで、リアルな感情を伴った体験を想起させてくれるはずだ。
時空を超えた世界へ誘う「オルファクティヴ・ストゥディオ」の香水
ルミエールブランシュ
マイルドで包み込むような香り。ミルキーな柔らかさと冷たいスパイスの融合。うだるような熱が、太陽の色をかき消し、白い色のみが瞼に残る。そこにフレッシュなスパイスの香りの驚き。熱さと冷たさの美しいコントラスト。明るい光とフレッシュな風のあとには、ミルキーでマイルドな香り。はっきりとしてあたたかく、センシュアルな香り。
スティルライフ in リオ
美しい湾の独特の景色に目を奪われるこの写真は、ブラジルの写真家Flavio Velosoが撮影。空が輝き、金色の覆いが広がる特別な瞬間のリオの美しさを表している。エキゾチックで明るい香りのゆずとジンジャーで始まる新しいユニークなフレグランス。ジャマイカ産の唐辛子、ペッパーとココナツウォーターに盛り上がり、最後にラムとブラジルのコパイバエッセンス（ブラジルアマゾンに自生する大樹の樹脂）が香る。
オートポートレート
自然の深い美しさは、私達に隠された意味を与えてくれる。内面に目を向けて世界の美しさを知る。内面に訴えるウッディーな深い香り。自分自身に響いて心を落ち着かせる、自分のための香り。むき出しのウッディ―ノート、それを包むナチュラルな樹脂の香り。多面性のあるシラージュがくせになる香り。
フラッシュバック
豊かな表現力。突然過去が現在の舞台に。一時停止した瞬間に深く目の奥に刻み込まれる、遠い記憶、おそらく顔、身体、または存在となる感情のデジャブを呼び起こす。未来へのリターンのための一時的な空白の時間。活き活きとして、思い出がよみがえる柑橘のフレグランス。オレンジとかすかに青いルバーブの香りは、幼い頃に大好きだったルバーブパイの香り。ベースのベチバーとセダーは、ウッディー感をもたらす。
パノラマ
正確なポイントが見つかると、壮大なパノラマは即座に衝撃と驚きを引き出す。標高の高い場所から楽しむウェストハリウッドのガラス張りのコンクリートの家で、“City of Angels”（LA）を見下ろす場所に、オルファティヴ・ストゥディオがもたらす嗅覚のPanoramaを捉えた。まるで、飛行船が緑のベッドで休憩しているよう。カリフォルニアの空に浮かぶ贅沢なジャングル。遠くのアーバンバイブレーションをキャッチしている。グリーンで野性的。辛いスパイシーなワサビのように、様々な独創的な香料が交錯する、驚きの調和。
ひと昔前は、旅の必需品であったデジタルカメラも、現在ではスマホの普及と共に衰退の一途を辿っている。難しい操作は必要なく、アプリを起動してシャッターを押すだけで誰でも手軽に撮ることができるからだ。しかし写真を撮ることだけに満足してしまい、旅の思い出はデータの中に残したままになっている。フィルムのように、現像してアルバムにしまうなんてことはもうないだろう。われわれが忘れかけている写真の形を、香りというで鮮明に蘇らせてくれる「オルファクティヴ・ストゥディオ」は、現代に必要なスパイスといえよう。
※価格はすべて税抜です。
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- TEXT ：
- MEN'S Precious編集部
- 2020.3.11 更新
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- PHOTO ：
- 島本一男（BAARL）
- EDIT ：
- 安里昌悟
