英国というと老舗ブランドばかりが注目を集めがちだが、歴史は浅くたっていいものはいい! ここでは世界のバイヤーが熱視線を送る、若手クリエイターがデザインしたスタイリッシュなアウターから、時代の潮流に抗うような頑固なものづくりを続ける職人が手づくりしたレザーバッグまで……。メイド・イン・イングランドの新時代到来を告げる、知られざる英国名品をご覧あれ!

英国ブランドの隠れ名品

その無骨さがたまらなく愛おしい
チャリー ボロウのブライドルレザートート

¥158,000(MACH55 Ltd.〈チャリー ボロウ〉)
¥158,000(MACH55 Ltd.〈チャリー ボロウ〉)

英国で最も活きのいい若手クリエイターが集う、イーストロンドンのショーディッチ。この地にアトリエを構え、たったひとりでバッグをつくる若手職人が、チャリー・ボロウさんだ。趣味が高じてこの道に進んだ彼の誇りは、英国生産へのこだわりと、完全なるハンドメイド。写真のバッグは何度もロウを塗り込んで強度を増したブライドルレザーはもちろん、ハンドルに打ち込んだ銅製のリベットにいたるまで英国製!

ダッフル専業メーカー
チャーチルのミリタリーダッフルコート

¥170,000(伊勢丹新宿店〈チャーチル〉)
¥170,000(伊勢丹新宿店〈チャーチル〉)

英国史上最強のファッションアイコンである、元首相の名を冠したブランド、チャーチル。調べてみたところ、廃業した某ダッフルコートメーカーのスタッフが集って設立したチャーチル ダッフル カンパニーという、新しいファクトリーによるもの。あのチャーチルとは直接の関係はないというが、フォックス ブラザーズの英国製メルトンでつくった一着は、チャーチルが着ていたミリタリーダッフルコートを彷彿させるな仕上がり! いまだ本国でも無名ゆえ、かなりのレアもの。ピーコートもなかなかの完成度だ。

モダンブリティッシュの代表格
S.E.Hケリーのトレンチコート

¥188,000(MACH 55Ltd.〈S.E.Hケリー〉)
¥188,000(MACH 55Ltd.〈S.E.Hケリー〉)

いち早く英国生産の魅力を掲げたものづくりに着手した、若手クリエイターの指針的ブランド、S.E.Hケリー。生地はもちろんボタンなどの付属品まで英国製を貫き、「ないものはつくる」という姿勢が素晴らしい。こちらの大定番が、写真のトレンチコート。一枚そでのラグランスリーブやポケットを貫通するウエストベルトなど、そのディテールはとことん本格派。しかも英国が誇る綿100%の防水素材「ベンタイル」をより進化させた、リップストップ生地まで使用。老舗ブランドに負けないこだわりと物語を秘めた一着。

サヴィル・ロウとカリビアンカルチャーが融合した注目ブランド
ニコラス ダーレーのプルオーバーアウター

¥53,000(インターナショナルギャラリービームス〈ニコラス ダーレー〉)
¥53,000(インターナショナルギャラリービームス〈ニコラス ダーレー〉)

ロンドンのファッション業界での注目株がニコラス・ダーレーさんだ。彼こそはサヴィル・ロウで修業したジャマイカ系イギリス人デザイナーという、まさにミックスカルチャーの申し子。英国のヴィンテージウエアをモチーフに、英国生地や英国生産にこだわりながらも、大胆なシルエットで意表をついてくるから面白い。ブリスベン モス社の生地を使った今季のプルオーバーアウターにも、そんなスピリットが込められているのだ。

イートウツのビッグシルエットコート

¥175,000(エリオポールメンズ銀座〈イートウツ〉)
¥175,000(エリオポールメンズ銀座〈イートウツ〉)

英国人デザイナー、パトリック・グラントさんが手がけるイートウツ。最近話題のビッグシルエットブームの先駆者として、ロンドンコレクションを代表するブランドに急成長を遂げている。しかしそのルーツは1867年に創業したサヴィル・ロウのテーラー! ゆえにシルエットこそアグレッシブだが、デザイン自体は伝統を踏まえたもので、もちろんすべて英国生産なのである。そんなさじ加減がうけて、ただいまバイヤーや編集者人気が抜群に高いこのブランド。大人が狙うなら、断然クラシックなロングコートがおすすめだ。

ここでは、知られざる英国名品を紹介した。他人とは違う自分だけのファッションアイテムを探すなら、有名ブランドとは一線を画した、個性あふれる新進ブランドで差をつけたい。

※価格はすべて税抜です。※価格は2016年秋号掲載時の情報です。

この記事の執筆者
TEXT :
MEN'S Precious編集部 
BY :
MEN’S Precious2016年秋号 紳士の心を昂ぶらせる「英国名品」のすべてより
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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クレジット :
撮影/戸田嘉昭・唐澤光也・小池紀行(パイルドライバー/静物) スタイリスト/武内雅英(code) 文/兼信実加子