弱冠20歳の金メダル候補は、インスタフォロワー36万!

ダボッとしたTシャツの裾からのぞく腹筋が、見事なシックスパックを描いている。多くのアスリートに共通するごく自然なフォルムでありながら、目にすると不意を突かれたような気になるのだから不思議だ。

意外な筋肉のもち主は20歳の堀米雄斗選手。東京五輪の新種目に採用された「スケートボード・ストリート」で、金メダルの有力候補として脚光を浴びている、若き実力者である。

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堀米雄斗さん
スケートボード選手
(ほりごめ ゆうと)1999年、東京都生まれ。街中にある階段や縁石、斜面、手すりなどを模したコースで技を競う「スケートボード・ストリート」のプロ選手。父の影響で5歳からスケートボードを始め、東京・聖進学院高校1、2年のときに日本スケートボード協会主催大会の年間王者に輝く。高校卒業後は米国に単身で渡り、プロライセンスを取得。2018年に世界最高峰コンテストの「ストリート・リーグ・スケートボーディング(SLS)」で初優勝。身長170cm、体重55kg。

日本よりも先に海外でその名を認められてきた選手だ。小学生のころから国内のコンテストで勝ちまくり、高校卒業後の’17年には、本場である米国カリフォルニア州に単身で拠点を移して、練習三昧の日々。翌年に世界最高峰リーグで初優勝してからは、何度も表彰台の真ん中に立ち、’19年6月には一流スケーターへの仲間入りの証として、米国のブランドから「堀米雄斗モデル」の板が発売された。

人気の秘密は高難度のトリック(技)。多くの動画をアップしているインスタはいつも「いいね!」がいっぱいで、世界で36万人ものフォロワーがいる。

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堀米雄斗選手

ただし、スケートボーダーが競うのはトリックだけではない。独創性を求められるルーティン(演技構成)やファッションからも醸し出される総合的な「スタイル」が、評価の対象だ。

それぞれの選手が個性を表現しているなかで、堀米選手のスタイルは、穏やかな風を感じさせる滑りから、「まさか!」と思えるような高難度トリックを繰り出すことだろう。ギターにたとえればエレキではなくアコースティック。そんなたたずまいが、見守りたくなる理由だ。

シャイな表情とは裏腹に、胸の奥にはガッツがあふれている。高1のときには1年間で右手小指と中指、腕、かかとの計4か所を骨折。しかし、堀米選手自身は、ケガの痛みよりもスケートボードに乗れないことのほうがつらかったというのだから筋金入りだ。

’19年9月にブラジルで行われた第2回世界選手権では2位になり、東京五輪の金メダルへと着実にステップを刻んでいる堀米選手。1年後には若者のアイコンになっているであろう彼を、今からしっかりチェックしておきたい!

矢内 由美子さん
スポーツライター
(やない ゆみこ)取材歴25年のスポーツライター。オリンピック種目などをカバー。日本スポーツプレス協会会員。「今年は台風直撃で取材日程がてんやわんや。その影響でミャンマーに1泊3日の弾丸取材!」

※本記事は2019年11月7日時点での情報です。

PHOTO :
ZUMA Press/アフロ
EDIT :
剣持亜弥・宮田典子(HATSU)、喜多容子(Precious)