ドイツ流の確かな作りが満喫できる!
小さな逸品フォルクスワーゲン・up!

シティコミューター、すなわち、都市部における移動に便利な小型乗用車は、欧州でそれなりに需要がある。経済的であることに加え、皆がそうしたクルマに乗れば駐車場不足も解消されるという考え方だ。一方、日本には独自の規格に基づく軽自動車があり、優れた経済性に加え、若いドライバーや小さな子供がいるファミリーが快適に乗るためのさまざまな工夫が凝らされている。

前後バンパーやボンネットのデザインなどのデザインを刷新した結果、全長が6.5㎝伸びた。軽自動車よりひとまわり大きいが、5ナンバー枠に収まる。

欧州発のシティコミューターが進化!

改良型ではシートカバーのデザインを一新。ダッシュパネルとカラーコーディネートし、華やかな印象に。

もちろんそれは決して悪いことではない。ただ、広さを重視するあまり、規格制限ぎりぎりに設計されるクルマが多く、特に横幅を1.48m以内に収める必要があるため、天井の高いハイトワゴンは縦横のバランスが幾分悪い気がする。また、排気量が660cc未満と小さいことから、パワー不足を感じることも少なくない。通行量が多く、ひんぱんに発進・加速する都市部では、素早く加速しようとアクセルをベタ踏みするあまり、カタログ数値と実燃費がかけ離れたものになってしまうのだ。もし軽自動車に物足りなさを感じている人が、ひとたび欧州生まれのシティコミューターに乗れば、その違いの差に驚くことだろう。そこでおすすめなのが、フォルクスワーゲンの「up!」。ドイツ車好きにはたまらない、“小さな逸品”である。

変速時のギクシャク感がなくなった!

ダッシュボードの質感も向上。また、新たに最新のインフォテイメントシステム(カーナビやオーディオなどの各種情報を提供するシステム)がオプション設定された。

まず、作りがいい。強固なシャシーをもつ全長約3.5mのボディに大人4人が無理なく乗れる居住性を確保し、デザインもフォルクスワーゲンが得意とする、シンプルで飽きの来ないもの。装備面では随所に割り切りがみられるものの、ドイツ車らしいしっかりした乗り味が楽しめる。唯一の難点は5速のASG(2ペダルのセミAT)で、999cc、3気筒エンジンのトルクの出方に対し変速のタイミングが悪く、ぎくしゃく感が強かった。過去形なのは、今春から日本に導入された改良型では、それがかなり解消されているからだ。スペックは変わっていないものの、低速トルクが格段に太くなった印象で、シフトアップ直後からスムーズに、しっかり加速していく。高回転域もなかなか気持ちいい。そうなると俄然、シャシー性能の良さが正確なハンドリング性能や4輪の接地感として、よりいっそう体感できるようになる。スポーティとまではいかないが、十分楽しい。当連載でたびたび書いてきたことだが、パワフルなスポーツカーや巨大なプレミアム・サルーンを普段の足に使うのは無理がある。その点、小さくても“モノ”がいい「up!」のようなクルマなら、落差を感じることなく毎日を楽しめるのだ。2代目をお探しの方は、ぜひディーラーでその確かな作りをご堪能いただきたい。

床下収納が深く、後席の背もたれを倒せば、2名分の旅道具も余裕で積み込める。

〈フォルクスワーゲン・up!〉
(写真及びデータは4ドアモデルの「high up!」)
全長×全幅×全高:3610×1650×1495㎜
車両重量:950kg 排気量:999cc
エンジン:直列3気筒DOHC 最高出力:75PS/6200rpm
最大トルク:95Nm/3000~4300rpm
駆動方式:2WD
トランスミッション:5AT(ASG)
価格:193万8000円(税込)
問い合せ フォルクスワーゲン カスタマーセンター  TEL:0120-993-199

この記事の執筆者
TEXT :
櫻井 香 記者
2017.7.5 更新
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。