2020年を迎えて約3週間。今年の抱負と目標を立てたという方もいらっしゃるのではないでしょうか?

でも、「昨年立てた目標は達成できたか」「毎年、立てているその目標は、今の自分に合っているのか?」ということについてまで、振り返ってみたことはありますか?

「富士山に軽装で登山するような無謀なチャレンジは、メンタルヘルスを害すだけ」

「自分に自信が持てる目標設定は、自分と向き合うことで引き出させる」

と、ある女性は話します。

その女性とは、セルフプロデュース、ボディメイク、健康管理、モデル、タレントの育成に携わる経歴を持ち、ヘルスケアグッズなどの商品開発、プロデュース「食・体・メンタル」の分野で多方面に活躍している田中咲百合さん。

田中 咲百合さん
ルメラキア代表、健康運動指導士、東京YMCA社会体育専門学校スタジオエクササイズ講師、野菜ソムリエプロ、健康経営エキスパートアドバイザー
(たなか さゆり)ワタナベエンターテイメントカレッジにてモデルタレントコースでのボディメイクの指導や、プロとしての健康管理指導に携わり、セルフプロデュースの指導とコンディショニング作りを五年担当。現在は健康管理の講演講師や、フィットネス商品プロモーション、健康指導の専門家としての健康番組出演などで活躍中。人間性を見抜く特技でセミナー後に希望者が殺到した経験があるほか、「本当の自分を知るワーク」で人生が変わったという人多数。
公式サイト

本記事では、1万人以上の指導実績から田中さんが生み出したオリジナルメソッド、「自分の魅力を引き出し、自分を知る」ワークのやり方を実践しながら、目標設定の前にするべき「本当の自分の知り方」について、学んでいきます。

すでに令和2年の目標を立てた方は、本当の自分を知った後で、改めて目標を考えてみませんか?

「本当の自分」を知ることは、自分を好きになる第一ステップ

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自分と向き合うのはなぜ必要?

田中さんによると「自分に自信を持つためには、まずは自分を知り、自分と向き合うことが必要」とのこと。一体、どうしてなのでしょうか?

「自信を持てるか、自分を好きになれるかは、在りたい自分に対し、素直に行動できているか否かで変わります。誰かを利用しようとしたり、悪口を言ったり、見てないところで手を抜いたりしている。それで自分という人間を好きになれますか?

自分という人間を、普段の行いを見て信用できるか、好きになれるか、そういう積み重ねが自信と比例していることが、多くの人のセルフプロデュースのお仕事に携わり、わかったことです。一見親切で優しそうな行動も、実は自己評価を上げるため…なんてことも、よくある話です」

そんな「本当はどうなの?」という部分での、自分に対しての気付きを促し、改めて自身と対話できるようにつくったのが、以下の「自分を知るワーク」だと田中さんは言います。

やってみよう!「本当の自分」を知るワーク

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「本当の自分」を今すぐ知ろう

では具体的に、どんな方法で「本当の自分」を知ることができるのでしょうか? そのやり方を田中さんに教えていただきました。

「まず、以下の8つの質問内容が書かれたアンケート用紙を用意します。そして、あまり考える時間を空けず『用意、スタート!』をして、各項目を1分くらいで答えていきます。

ぶっつけ本番だからこそ見えてくる、依存や世界観、人付き合い、大切にしていること、考えが浅いこと、自分のことをどれだけわかっているのか?が明らかになります」(田中さん)

あまり考えず、直感で回答してみて
あまり考えず、直感で回答してみて

 記入後に「本当の自分」を知るためのチェックをしよう

アンケート用紙に記入が終わったら、本当の自分を知るために、田中さんのアドバイスに従ってチェックしていきましょう。

■ポイント1:最も多く出てくるワードは何?

「記入が終わった後に、まずチェックするのは、全体を通して最もよく出てくるワードです。

恋人、家族、仕事、趣味など、どのワードが多く登場していましたか? そのワードにより、あなたがどんなときがうれしく、どんなときが悔しいのか、自分の意識がどこに向き、自分の時間が何を中心に回っているのかがわかります。

例えば子どもや恋人が多く出てきたら、あなたは子どもや恋人が大切だということ。同時に、依存しすぎてないか客観的に確認してみてください。

また、人が多く登場する場合、相手の評価ばかりを気にしすぎていないかを確認してみます。反対に、人がまったく登場しない場合などは、自己中心的になっていないかもチェックポイントです。そこから、良い意味でも、悪い意味でも、自分が最も価値を置いているもの、こだわっているものがわかります」

■ポイント2:各項目の回答をチェック!

「続いて、各項目の回答をチェックしていきます。それぞれ簡単にチェックポイントを解説していきましょう」

問1:感動したことはなんですか、どんなことですか?

「この問いへの回答にはあなたの人生経験と現状が表れます。どんなことに感情移入し、感動できるかということから、これまでの人生でどんな壁を越え、どんな達成感を持ってきたかという、今までの経験と自身の行動スケールが垣間見られます」

問2:うれしくなるときはどんなときですか?

「この問いへの回答では、これまで自分をどれだけ大切にしてきたかを知ることができます。やるべきことに追われていると後回しにしがちな、自分を喜ばせること。

この問いへの回答がなかなか思いつかなかった人、最近、自分を喜ばせる時間がなかなか作ることができていないなと思った人は、この問いへの回答をもとに自分を見直してみてください。たまには自分が喜ぶ時間を作ってみてはいかがでしょうか」

問3:寂しく感じるときはどんなときですか?

「この問いでは、その回答をもとに、まずは自分がどんなときに寂しいと感じるのかを客観的に知りましょう。そして同時に、寂しい気持ちを周りに話せているかどうかのチェックを行います。

あなたが寂しく感じるその場面で、その寂しい気持ちを打ち明けられる存在はいますか? 弱音を言い頼ることができますか? もしそのような存在がいないなら、そういう存在を作ってはいかがでしょうか。

甘えられる、相談できる存在があることは、自分の心の健康にとってとても大切なこと。幸せそうに見せるより、弱い自分を見せることで、人との関係は深まるものです。見栄を張って平気なふりをして強がるよりも、頼ることで絆は深まります。特に一人で何でも抱え込みがちな人、完璧主義の人はぜひ素直に誰かに吐露してみてください」

問4:悔しくなるときはどんなときですか?

「この問いでは、その回答をもとに、まずは自分がどんなときに悔しいと感じるのかを、客観的に知りましょう。そして同時に、自分の『悔しさの扱い方』を確認してみてください。

あなたが悔しく感じることは、あなたが得たいもの、ここだけは譲れないというものです。それに対して、これまでどう向き合ってきたかを振り返ってみてください。

悔しさを感じたら、それをどう次につなげていくかが重要です。それは自己実現に欠かせないことであり、ふてくされて終わる子どものままなのか、そこから学んで進化できるプロフェッショナルである、素敵な大人になれるかどうかの分かれ道です。

自分の悔しい気持ちを、見て見ぬふりをして逃げる人は自信がないままです。一方で、前向きに乗り越えた経験が多ければ多いほど、自信に満ち溢れた人になることができます」

問5:憧れる人はどんな人ですか、またその人がいつも心がけていることはどんなことですか?

「この問いへの回答では、自分に自信が持てるようになるヒントが見つかります、例えば『いつも笑顔で凛としている』という人になりたいと思っていながら、優柔不断だったり、不愛想だったりする自分がいるとします。

それでは、自分に自信が持てなくなります。あなたが回答したその憧れる人の考え方や意識していることを真似ることから始めましょう。そうやって自分づくりを行い、自信を積み重ねてはいかがでしょうか」

問6:嫉妬するときはどんなときですか?

「この問いへの回答には、自分がうらやましいと感じることや憧れ、秘かな願望が隠れています。媚をうる人や、きらきら輝く笑顔のあの人がなんかムカつくと思ったときの、その『ムカつく』という感情と『気になる』は紙一重。

気になる人には自分自身が手に入れたい何かがあります。私もそうなりたい、そこに行きたい、その人と仲良くしたいなど、そうした自分の中にある願望が、嫉妬という気持ちに隠れていたりします。

本当に手に入れたいものを見てみぬふりをして人を妬むよりも、自分が欲しいものを認めて行動に移したほうがはるかにいい。そんな客観的な気付きを与えてくれるのが、この問いの答えです」

問7:ストレスがたまるときはどんなときですか?

「この問いへの回答では、自分の癖とパターンに気付くことができます。例えば、『大好きな趣味がなかなかできず、仕事や家事に追われているとき』と書いたとします。その場合、『自分は趣味が生きがいであり、心身の健康を維持するのに重要なこと』だ気付きます。

その気付きから、自分の健康管理とセルフプロデュースが行えます。これは何か物事を頑張る前に知ってほしいこと。なんとなく不調のまま、しのいでいる時間があるようであれば、これを機会に対策と改善に向けての計画を立ててみてはいかがでしょうか」

問8:自分が今の容姿、能力、年齢、状況関係なかったとしたら、何がしてみたいですか?

「この問いは、自分に制限をかけていないかをチェックする有効な問いです。『いい年だから、子どもがいるから、この容姿だからと、時間がないから』と、何かのせいにして、本当に生きたい人生を見て見ぬふりしていませんか? ここにあなたが書いた回答は、あなたが本当にしたいことです。

『本当は寂しい、本当はこんなことをしたい』。そんな願望を押さえつけて何か新しいことを、とチャレンジしてもモチベーションが続かず、虚しさが残るだけです。本当の自分で、心からの言葉と思いでチャレンジできる人こそ、輝きと自信があるものです」

これらのチェックを行った後は、これまで自分でも意識していなかった、本当の自分に気付くことができそうです。

偽りの自分はメンタルヘルスを害する

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本当の自分を知ることはメンタルヘルスにも必要

田中さんによると、この本当の自分を知るワークの最中に、本当の自分に気付いて泣く人もいるのだそうです。

「自己実現、自信に欠かせない要素である『本当の自分』で勝負できることは、メンタルヘルスにとっても必要な要素です。寒かったら服を着る、トイレに行きたいから行く、お腹が空いたから食べる、感じたことに行動が赴くようになっているからこそ私たちは生きていけるのに、誰かに遠慮し、意地を張って、思っていることと違うことをすると『あれ? なんで思っていることと、行動が違うのかな?』と、心がパニックになります。

本当は嫌い、本当は会いたい、優しく在りたい、甘えたい。

本音で生きるのは大人になるとむずかしいながらも、相手と話し合い、気持ちを伝え合い、歩み寄ることのできる関係を築けると、自分も相手も楽になり、やがて外見の表情が明るくなってきます。

ぜひ本音で生き、本音で話せる自分になりましょう。

本音で話せる自分というのは、自己実現だけならず、自律神経の乱れからくる不調にも関わる大切なこと。自信の有無は、単に外見の雰囲気の良し悪しだけならず、健康にも欠かせない要素です」

「本当の自分」を知るワークで、自身と対話しながら目標を立てよう

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新しい自分になるための準備として

2020年はまだ始まったばかり。心機一転、新たな可能性を発掘したい。そんなあなたはぜひ「本当の自分」を知るワークを行ってみましょう。

「新しい年になった今、新しい目標を立てるなら、自分の心の声を聴くべく、この『本当の自分』を知るワークで自身と対話しながら、本当の自分が望む目標づくりをしていただきたいです。

本音の部分は、我慢強く優しい人ほど、人に合わせて出せてないものです。自分の人生とメンタルヘルスのためにも、本当の気持ちに気付いてあげてください。自分の本当を知って、より自分を好きになれる目標を立て、素敵な一年となることを願っています」

「本当の自分」を知るワークを行えば、これまでにない、自分らしい素敵な目標が立ちそうですね。

この記事の執筆者
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WRITING :
石原亜香利
EDIT :
安念美和子、榊原淳