特別展「出雲と大和」が上野の東京国立博物館で3月8日(日)まで開催中

オリンピック開催、そして令和初めての新年で活気づき、注目の集まる東京に、出雲と大和の名宝が集結します!

令和2年(2020年)は、我が国最古の正史『日本書紀』が編纂された養老4年(720年)から1300年という記念すべき年です。その冒頭に記された国譲り神話によると、出雲大社に鎮座するオオクニヌシは「幽(ゆう)」、すなわち人間の能力を超えた世界、いわば神々や祭祀の世界を司るとされています。

一方で、天皇は大和の地において「顕(けん)」、すなわち目に見える現実世界、政治の世界を司るとされています。

つまり、古代において出雲と大和はそれぞれ「幽」と「顕」を象徴する場所として、重要な役割を担っていたのです。そんな「幽」と「顕」を象徴する地、島根県と奈良県が、東京国立博物館と共同で特別展「出雲と大和」を開催することに。

出雲と大和の名品が一堂に集まり、古代日本の成立やその特質を、わかりやすく鑑賞することができます。

出雲の巨大神殿が目の前に。特別展「出雲と大和」の見どころ5選

約170件という作品の多さだけでなく、出雲大社の心御柱(しんのみはしら)と、宇豆柱(うづばしら)を同時に見ることが出来る貴重な機会。これを逃したら2度目はないかもしれない、スペシャルな展覧会の見どころをご紹介します。

■1:第1章 そびえたつ威容に圧倒される「巨大本殿 出雲大社」

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左 重要文化財 宇豆柱 島根県出雲市 出雲大社境内遺跡出土 鎌倉時代・宝治2年(1248)島根・出雲大社蔵 (島根県立古代出雲歴史博物館保管)、 右 重要文化財 心御柱 島根県出雲市 出雲大社境内遺跡出土 鎌倉時代・宝治2年(1248)島根・出雲大社蔵

平成12年(2000年)に出雲大社の境内から、発見された巨大な柱は、鎌倉時代の本殿を支えていました。

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古代には48メートルの高さを誇ったといわれる出雲大社の本殿、10分の1の模型(島根・出雲氏蔵)。

まさに神々へ続くかのような、本殿への階段は、古代の人々が仰いだ「幽」を想像させます。いにしえの
世界が、出土された柱の存在で急にリアルに感じるのが不思議です。

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重要文化財 赤糸威肩白鎧(あかいとおどしかたじろよろい)室町時代・15~16世紀 島根・出雲大社蔵 [前期展示]

そのほか、第1章では出雲大社に伝来する手箱や甲冑など、御神宝の数々を観覧することができます。

■2:第2章 定説を覆した圧倒的な数の青銅器!「出雲 古代祭祀の源流」

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国宝 銅鐸(どうたく)島根県雲南市 加茂岩倉遺跡出土 弥生時代・前2~前1世紀 文化庁蔵(島根県立古代出雲歴史博物館保管)

第2章では、弥生時代の祭祀に用いられた品々の移り変わりを通して、出雲における古代祭祀の源流を探ります。
銅剣、銅鐸、銅矛などの弥生時代を代表する青銅器群が、ずらりと並んだ様子は圧巻です。

■3:第3章 日本書紀に記された奇跡の刀も。「大和 王権誕生の地」

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重要文化財 画文帯神獣鏡・三角縁神獣鏡(がもんたいしんじゅうきょう・さんかくぶちしんじゅうきょう) 奈良県天理市 黒塚古墳出土 古墳時代・3世紀 文化庁蔵(奈良県立橿原考古学研究所保管)

埴輪や副葬品にみる、古墳時代の多彩な造形が豊かに展開するさまをたどりつつ、ヤマト王権の成立の背景に迫る第3章。

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国宝 七支刀(しちしとう)古墳時代・4世紀 奈良・石上神宮蔵

日本史の一級史料と言える、石上神宮(いそのかみじんぐう)に伝わる宝剣は、緊張状態にあった朝鮮半島内の情勢のなか、百済王が倭王に贈ったものだとか。

■4:第4章 凛々しい顔立ちの仏たち「仏と政(まつりごと)」

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重要文化財 浮彫伝薬師三尊像(うきぼりでんやくしさんぞんぞう)飛鳥~奈良時代・7~8世紀 奈良・石位寺蔵

おむすび!と呼ばれているとかいないとか、謎多き最古級の石仏など、第4章では、仏教を中心とした国づくりが進められるなかで、国の安泰と人々の生活の安寧を祈り誕生した造形を紹介しています。

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重要文化財 持国天立像(じこくてんりゅうぞう)飛鳥時代・7世紀 奈良・當麻寺蔵

アーリア人のような顔立ちのものから、髭をたくわえた凜々しい顔立ちのもの、また小さなものから、2mを超える巨大な立ち姿のものなど、人間味あるそれぞれの仏は、仏女でなくても見逃せません。

■5:橋爪功さんの音声ガイドや、コラボグッズにも注目

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自身も古代史が大好きという橋爪さんの音声ガイドは、貸し出し料金¥560(税込)です。

音声ガイドは、俳優の橋爪 功さんが担当。ミステリアスな語りで、謎多き古代日本の世界に引き込まれてしまいます。

そのほか、「出雲と大和」xフェリシモの画文帯神獣鏡刺繍缶ミラー 各¥1,430(税込)や、「出雲と大和」xイラストレーター中村かなこさん、のチケットファイル 全2種類 各¥300(税込)など、特設ショップで購入できるオリジナルグッズも要チェックです。観覧の思い出としてぜひ手に取ってみてはいかがでしょう。


神代から持統天皇11年(697)までを記した歴史書の日本書紀。1300年前という、その果てしない時の先にある日本は、想像するだけでは全く現実には思えないですが、その途方に暮れてしまうようないにしえに存在した品々を実際に目にすると、一気に古代の世界がリアルに生き返ってくるような錯覚を覚えます。

神々の世界を見ることが出来るような本展覧会、出雲と大和が誇る名品の競演を堪能できる貴重な機会を、ぜひお見逃しなく!

問い合わせ先

  • 日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」 
  • 会場/東京国立博物館 平成館(上野公園)
    会期/3月8日(日)まで(会期中展示替えあり)
    開館時間/9:30〜17:00、金曜・土曜は21:00まで(入館は閉館の30分前まで)
    定休日/月曜日、2月25日(火)(ただし2月24日(月・祝)は開館)
    観覧料(税込)/一般 ¥1,600(¥1,300) 大学生 ¥1,200(¥900) 高校生 ¥900(¥600)
    ※中学生以下無料
    ※( )内は20名以上の団体料金。
    ※障がい者とその介護者1名は無料(入館の際に障がい者手帳など提示)
    ※東京国立博物館キャンパスメンバーズ会員の学生の方は、当日券を1,000円(200円割引)で購入可能
    正門チケット売場(窓口)にて、キャンパスメンバーズ会員の学生であることを申し出、学生証を提示が必須
    ※「東京・ミュージアムぐるっとパス」で、当日券一般1,600円を1,500円(100円割引)で購入可能
    正門チケット売場(窓口)にてお申し出ください。
    ※本展観覧券で、会期中観覧日当日1回に限り、総合文化展(平常展)もご覧になれます。
    主催/東京国立博物館、島根県、奈良県、NHK、NHKプロモーション、読売新聞社
    後援/文化庁
    TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
  • 住所/東京都台東区上野公園 13-9

この記事の執筆者
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WRITING :
神田朝子