渋谷区恵比寿。恵比寿ガーデンプレイスの誕生以来、洗練された雰囲気を纏い、住みたい街ランキング上位の常連として知られる街。都会的に発展していくこの街で、地名の由来にもなったサッポロビールの工場があった時代の雰囲気を残すのが、JR恵比寿駅西口を出てすぐの一帯だ。

恵比寿の昔ながらの風情が残るエリアにある希少なスナック

今でこそビルが立ち並ぶ東京らしい商店街といった風情の恵比寿一番会ではあるが、かつては屋台街を形成していたという。その近くにあるウエスト五番街もまた当時の香りを充満させている。ここに『キャッツ アイ』が入るウエストパレスビルがある。

昭和の雰囲気が色濃く漂うビルの地下1階に店はある
昭和の雰囲気が色濃く漂うビルの地下1階に店はある

奥に長い店内はカウンター9席、16人ほどが座れるソファ席で構成されている。淡く照らすダウンライトとブルーのベロアのスツールやソファ。品良くまとめられた内装ながら、どこか妖しい雰囲気を醸し出している。

店の扉を開けると、今宵の美女がご友人と熱唱中
店の扉を開けると、今宵の美女がご友人と熱唱中

早くも今宵の美女、上枝さんが歌っている。終わるのを待ってから全員で乾杯だ。

今夜は上枝さんの友人で、この店で働くスタッフたちも交えて賑やかにスタート
今夜は上枝さんの友人で、この店で働くスタッフたちも交えて賑やかにスタート

ビールを楽しみながら、明美ママにこの店の歴史を尋ねよう。

明美ママは元々店を手伝いながらエスティシャンをしていたという。そして以前のオーナーから譲り受けることになり、ママになったのが2001年のこと。

「内装は居抜きで、オールドスタイルのままなんです。今の恵比寿はおしゃれな店が多いでしょう。初めてのお客さんに『昔のスナックみたい』って言われることはありますね」

赤いレースのセットアップが華やかな顔立ちの朋美ママによく似合う
赤いレースのセットアップが華やかな顔立ちの明美ママによく似合う

スナック自体が少なく、店の移り変わりも激しい恵比寿で20年近く同じスタイルを貫くこの店は貴重な存在だ。

「昔、このあたりは上野のアメ横のような庶民的な通りでした。今でも老舗の立ち飲み屋や居酒屋、もつ焼き屋が残っていて、ここは昔ながら、という言葉が恵比寿で一番しっくりくる通りかもしれません」

何度も塗り直しているカウンターには、この店の歴史がつまっている
カウンターには、この店の歴史がつまっている

20年以上に渡り、恵比寿を見つめてきた明美ママに昭和末期から今に至るまでのこの街の変遷を聞いていると、ノスタルジックな思いに駆られる。

店名の由来は、あの有名漫画の影響!?

明美ママとのおしゃべりに花が咲かせていると、スタッフの一人、純子さんが出勤してきた。よくよく話に耳を傾けていていると、純子さんは友美ママの妹君で三女。そのうえグラフィックデザイナーをしながら店を手伝う次女もいるという。まさかの三姉妹。やはり店名はかの有名漫画からの拝借したのだろうか。

右端が@@さん。三姉妹のうえ、この日休みだった次女は@@さんと双子だという
右端が純子さん。三姉妹のうえ、この日休みだった次女は純子さんと双子だという

「妹たちがお店を手伝ってくれていていますが、前オーナーから引き継いだ店名は偶然。猫好きなので、店内は猫モチーフのものは多いですよ」

それでも店名に因んで杏里の『CAT'S EYE』を歌う客も多いという。もちろん上枝さんも会話の流れにのって同曲をリクエスト。

アップテンポな『CAT'S EYE』も、上枝さんが歌うとしっとりとした雰囲気
アップテンポな『CAT'S EYE』も、上枝さんが歌うとしっとりとした雰囲気

高すぎず、透明感のある歌声は杏里のそれとはまた違った味わいがある。

さらにこの店にはディープな面がある。それは後編でお伝えしよう。

【キャッツ アイ】

キャッツ アイ

問い合わせ先

  • キャッツ アイ TEL:03-5428-9180
  • 住所/東京都渋谷区恵比寿西1-8-2 恵比寿ウエストパレス B1F
    営業時間/19:00〜25:00  ※占いは月〜土曜13:00〜19:00、日曜・祝日13:00〜20:00
    定休日/日曜・祝日
    メニュー/スタンダート飲み放題歌い放題1時間¥3,000・2時間¥5,000、プレミアム飲み放題歌い放題1時間¥4,000・2時間¥6,000、ボトルキープ チャージ¥2,500、ボトルワイン・ウイスキー・焼酎¥各4,500〜

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この記事の執筆者
フリーランスのライター・エディターとして10年以上に渡って女性誌を中心に活躍。MEN'S Preciousでは女性ならではの視点で現代紳士に必要なライフスタイルや、アイテムを提案する。
PHOTO :
小倉雄一郎