知的好奇心をくすぐる旅、買い物や名所巡り、ラグジュアリーな海外旅行。さまざまな旅を経験してきた大人の女性が今、注目すべきはニッポンではないでしょうか?

その土地でしか味わえない自然や人々、歴史や味を楽しみ、知らなかった日本を再発見する旅。

それには、風土に根ざした宿やホテルの存在が不可欠です。新たな試みに挑戦する個性派から、改めて底力を実感する老舗まで、旅の目的地にするべき宿を、旅慣れた19人に大調査。

そのうち本記事では、リンクアップ代表取締役社長・今井雅敏さんが推薦する、石川県・山代温泉の「あらや滔々庵(とうとうあん)」をご紹介します。

リンクアップ代表取締役社長・今井雅敏さんが推薦「あらや滔々庵」(石川県・山代温泉)

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「あらや」と彫られた看板は魯山人が手がけたもの。

加賀・山代温泉は美食家として名を馳せた芸術家、北大路魯山人のゆかりの地。

「1300年の歴史をもつ名湯・山代温泉のなかでも、歴代の前田家藩主に愛されてきた宿がこちら。大正初期、まだ無名だった魯山人と当時の当主15代源右衛門は親しく交わり、彼の作品を注文して生活を支えたことでも有名です。」

「香箱蟹や鴨鍋。北陸の冬の滋味を堪能するならこのお宿。魯山人の作品から年代ものの器、当主がセレクトした現代アートまで。舌も心も感性も満たされるまさに市中の山居です」(今井さん)

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これぞ北陸の冬の味! 美しく盛られた香箱蟹の上には、土佐酢のジュレが。

「そんな歴史もあって、館内には魯山人直筆の衝立(ついたて)や掛け軸、初期の陶芸作品などが随所にあり、鑑賞できます。」

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北陸の旬の味を堪能できる八寸。
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北陸の旬の味を堪能できるお椀。

「また、四季折々の北陸の山海の幸が、九谷焼や山中塗など素晴らしい器とともに供されます。」

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鴨鍋はほうれん草と一緒に。味付けはすき焼き仕立て。鴨肉は片栗粉と小麦粉にくぐらせて、治部煮のようにいただく。

「特に冬は、香箱蟹はもちろん、美食家だった魯山人が愛した鴨鍋も登場。日本酒がすすみます」

食後はバー「有栖川山荘」へ。明治初期に天皇来館の命を受け、釘を1本も使わずに数年がかりで建てられたという木造りの一軒家では、自慢のワインが楽しめます。

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バー「有栖川山荘」へと続く、山庭の渡り廊下。ほんのりと灯りが灯る様子が幻想的。

バーの床の間には、魯山人の掛け軸と金沢の陶芸家・中村卓夫氏の焼きものがさりげなく飾られ、その感性もさすが、とさまざまなブランドのコンサルティングを手がける今井さん。

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かつて魯山人も逗留した特別室「御陣の間」。紅殻色の壁に朱塗りの柱など、前田家の栄華を今に伝える。

「部屋には、現当主がセレクトした現代アートやモダンなデザインチェアがさりげなく配置され、館内はさながらギャラリーのよう。舌も心も感性もしっかりと磨かれる、大人の宿だと思います」

問い合わせ先

  • あらや滔々庵 TEL:0761-77-0010
  • 料金/1泊2食付き2名1室の1名¥38,650~、特別室「御陣の間」¥68,350(税・サービス料込み)
  • 客室/全17室
  • 住所/石川県加賀市山代温泉18-119

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EDIT&WRITING :
田中美保、兼信実加子、佐藤友貴絵(Precious)