ヴェネツィアの名門「Hotel Bauer（ホテル・バウアー）」のバー・マネージャーを務めるEnrico Fuga（エンリコ・フーガ）は、生粋のヴェネツィア生まれヴェネツィア育ちのバールマンだ。
1995年同じくヴェネツィアの名門ホテル「Gritti Palace（グリッティ・パラス）」でキャリアを開始してから24年。その間ジュデッカにある「Skyline Rooftop Bar（スカイライン・ルーフトップ・バー）」のマネージャーなどを歴任し、今年から「ホテル・バウアー」のバー・マネージャーに就任した。
プロセッコで味わうヴェネツィア式カクテル
エンリコ・フーガはプロセッコをこよなく愛する男であり、彼が作る一連のカクテルの中にもプロセッコを多様したものが多い。中でもスペシャリティのひとつはProsecco（プロセッコ） DOCとヴェネツィアのビター「Select（セレクト）」を使った「Venexian Sprits（ヴェネツィアン・スプリッツ）」だ。
「ホテル・バウアー」には世界中からゲストが集まり、しかもみなさん高級ホテルに慣れています。そんなみなさんにアペリティーヴォとして提案するのはProsecco DOC。プロセッコは世界的な認知度も高いのでみなさんにとても受け入れられやすい。他のイタリアワインは知らなくてもプロセッコならば知っている、そういったゲストも多いのです。」
ホテル・バウアーは1880年オーストリア出身のジュリウス・グリュンヴァルトがバウアー家と婚姻関係を結び業務提携を開始。ほどなくホテル・バウアー・グリュンヴァルトをオープン。
1930年にはベンナーティ家の所有となりホテルは全面的に改装。ゴシック・ビザンチン様式のファサードはそのままに、カンポ・サン・モイゼに敷地を拡張した。
7階にあるパノラミックバー「セッティモ・チエロ」もこの時作られたものだ。一方「セレクト」は蒸留所を経営していたヴェネツィアのピッラ兄弟が1920年にリリース。当時は一斉を風靡したヴェネツィア生まれのビターだ。
「ヴェネツィアを代表するカクテルのひとつであるスプリッツもまた世界的に知られていますが、わたしはヴェネツィアのビター「セレクト」を使います。Prosecco DOCは飲みやすさに加えてカクテルにアレンジしやすいということがありますので、Prosecco DOCを使った新しいレシピを常に考えています。アメリカーノやネグロニ・ズバリアートといったクラシックなカクテルにも使いますし、わたしのオリジナル・カクテルの中でも人気があるのは「ダイキリ・プロセッコ」です。つまりライム・ジュース、ガムシロップ、ラムをシェイクし最後にProsecco DOCを注ぎます。飲みやすいですし、なにせヴェネツィアは祝祭都市ですアペリティーヴォに限らず昼間からカクテルを楽しむことができるのです。」
次回、北イタリアを旅する際にはヴェネツィアまで足を伸ばし「ホテル・バウアー」にてエンリコ・フーガのヴェネツィアン・カクテルを味わってみてはいかがだろうか。
メイド・イン・イタリーならぬ、メイド・イン・ベニスのカクテルは、他の街で飲む一杯とはひと味違い、きっと忘れられない味を未来永劫、記憶に刻み込んでくれるはずだ。
問い合わせ先
- Hotel Bauer TEL：+39 041 5207022
- S. MARCO 1459, VENEZIA, ITALY,
- TEXT ：
- 池田匡克 フォトジャーナリスト
