節分に「豆まき」をして「恵方巻き」を食べるのはなぜなのでしょうか?

当記事では、節分の起源やその意味はもちろん、豆まきや恵方巻きの由来についてまとめてみました。 

■2020年の節分はいつ?

2020年の節分は2月3日です。

ちなみに1985年〜2020年まで、節分はずっと2月3日でしたが、2021年の節分は2月2日になる可能性があります。その理由はあとでご説明します。

節分の意味は?

日本には「二十四節気」という暦があります。夏至や冬至、春分など、季節を表す言葉が用いられるのを耳にしたことがある方も多いでしょう。

二十四節気では、1年を4つの季節「春、夏、秋、冬」に分け、その1日目をそれぞれ「立春」「立夏」「立秋」「立冬」と呼びます。

節分には「季ける」という意味があり、節分はこの4つの日の前日のことを言います。つまり、節分は年に4回ありました。

新しい季節の始まりの日の前日=前の季節の終わりを告げる最後の日が「節分」で、古い季節の最終日に新しい季節を迎える準備を行う日だったのです。

年に4回あった節分の中でも、立春の前日の節分は、特に1年の始まりとなる春を迎える儀式として大切にされるようになり、いつしか立春の前日のことを「節分」と呼ぶようになりました。

節分の日付はなぜ変わる?

なぜ、2021年は節分の日付が1日早くなり、2月2日になる可能性があるのでしょうか。

節分は季節の始まりの日の前日。そして季節の始まりの日、立春、立夏、立秋、立冬は太陽の動きをもとに定められます。

この4つの日を含めて1年を24に区切ったものが二十四節気なのですが、1年365日を24で割ると、15.2083333...と割り切ることができません。

そもそも1年365日も、4年に一度の閏年(うるう年)には366日となります。2020年がそうです。2月が28日ではなく、29日まであります。

太陽の動き(正確には太陽の周りを回る地球の動き)と暦にはズレが生じます。そのズレのせいで節分の日付にもズレが生じ、2021年の節分は2月2日になる可能性があるのです。

ちなみに、二十四節気は国立天文台が毎年、太陽の動きを計算して「暦要項」として発表しています。

正式に発表されているのは2020年まで。来年の節分が2月2日というのは、あくまでも現時点での計算からの予想です。

節分はいつから始まった?

季節の最後の日に、新しい季節を迎える準備を行う日である節分。最も古い記録では706年、天武天皇の時代に宮中で「追儺(ついな)」という儀式が行われたと『続日本紀』に記されています。

追儺では、病気や災いをもたらすと考えられていた「鬼」に扮した人を弓矢や太鼓で追い払いました。この儀式が、江戸時代には広く民衆にまで広がり、節分となったと言われています。

■2020年の節分の恵方は?

2020年の節分の恵方は?
2020年の節分の恵方は?

2020年の節分の恵方は西南西、方位で言うと255度になります。

節分には恵方を向いて恵方巻を食べると、厄除けができたり、願いごとが叶うと言われています。

恵方って何?

恵方とは、その一年の福を司る神様「歳徳神(としとくじん)」がいる方向のこと。歳徳神(としとくじん)は、年神様(としがみさま)、正月様などとも呼ばれます。

歳徳神がいる方向は毎年変わり、それが恵方となります。

恵方はどうやって決まるの?

恵方は「十干(じっかん)」という古い中国の暦をもとに決められます。

十干では「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」の10個の漢字を使って16の方向を示しますが、恵方はその16の方角のうち4方向しかありません。

東北東(75度:甲・己)
南南東(165度:丙・辛・戊・癸)
西南西(225度:乙・庚)
北北西(345度:丁・壬)

です。 この4つの恵方が、東北東→西南西→南南東→北北西→南南東の順で5年周期で巡ってきます。

恵方の簡単な調べ方は、西暦の1の位を確認することとされています。

西暦の1の位が「4」と「9」の年:東北東(75度:甲・己)
西暦の1の位が「0」と「5」の年:西南西(225度:乙・庚)
西暦の1の位が「1」と「3」と「6」と「8」の年:南南東(165度:丙・辛・戊・癸)
西暦の1の位が「2」と「7」の年:北北西(345度:丁・壬)

2020年の吉方は、西暦の1の位が「0」なので「西南西」、2021年の吉方は、西暦の1の位が「1」なので「南南東」、2022年の吉方は、西暦の1の位が「2」なので「北北西」となります。

毎年、恵方が話題になりますが、4つしかないと覚えておくといいでしょう。

■節分の食べ物

節分の食べ物
節分の食べ物

節分の食べ物と言えば、以前は「豆まき」の豆を食べるくらいでしたが、最近では「恵方巻き」がすっかり定着しました。皆さんはどんなものを食べて節分を過ごされるでしょうか?

恵方巻き

恵方巻とは、節分の日に恵方を向いて食べる「太い巻きずし」を言います。今ではすっかり節分の食べ物として定着しました。

もともと大阪の商家で行われていた風習が全国に広がったとされていますが、実はその起源は定かではありません。1989年、あるコンビニエンスストアが「恵方巻き」として太巻きを売り出し、それが今では全国区になったとも言われています。

恵方巻きは、節分の夜に恵方(2020年は西南西)を向いて、願い事をしながら黙って一本をまるかじりすると、願いごとが叶ったり、厄除けになるとされています。

とはいえ、あまり堅苦しく考えず、美味しく、楽しく、食べるとよいのではないでしょうか? また、一本の丸かじりに挑戦する場合は、ノドに詰めたりしないよう注意してください。

その他の食べ物

恵方巻きや豆のほかにも、節分の食べ物として昔から親しまれてきたものがあります。

こんにゃく:体にたまったものを排出し、体を清めると言われます 
いわし:鬼はイワシの匂いが嫌いとされます。イワシを焼いて、丸ごと、頭から食べる地方もあります
そば:一年の始まりとなる春を迎える「立春」の前日である節分は、大晦日に似ているためか、そばを食す地方もあります

上記以外にも、けんちん汁、鯨、麦飯、とろろ汁など、地方によっていろいろな風習があります。恵方巻きが一般的になっていますが、地域にはさまざまな風習があるようです。

■節分の豆まき

節分といえば、なんと言っても「豆まき」です。「鬼は外、福は内」の掛け声が聞こえてくると何となく楽しくなりますね。

豆まきの意味や由来

節分にはなぜ「豆まき」をするのでしょうか?

豆まきの記録は、古くは室町時代の記録に残されており、鬼が京の都を荒らすことを防ぐために大豆を炒った炒り豆を鬼の目を向かって投げ、鬼を退治したと伝えられています。

豆は、鬼の目に投げつけることから「魔目(まめ)」、あるいは魔物である鬼を退治することから「摩滅(まめつ)」などとも表されます。

豆まきの豆は年齢(数え年)の数だけ食べると、一年を無事に過ごすことができるとされています。

ちなみに、豆まきの豆は大豆が一般的ですが、北海道や東北では殻に入ったままの落花生をまきます。その理由は、雪の上にまいたときにも見つけやすい。殻に入っているので、まいたあとに殻を割って食べれば衛生的なため、などと言われています。

神社でも豆まきが行われるのはなぜ?

豆まきは家庭で行われるほか、神社でも行われます。

宮中で始まった儀式が徐々に広がり、新しい春を迎えるおめでたい行事として、神社でも行われるようになったようです。春を祝う、地域のお祭りのような意味もあったのでしょう。

浅草の浅草寺、成田山新勝寺などは、毎年、芸能人や力士を招いて豆まきを行い、大勢の人で賑わいます。

■節分の飾り、柊鰯(ヒイラギイワシ)

豆まきの他にも、鬼を追い払うために行われることがあります。代表的なものが、「柊鰯(ひいらぎいわし)」です。主に西日本に見られる風習とされています。

柊鰯の意味や由来

柊鰯は、その名前の通り、柊の小枝に焼いた鰯の頭を刺して玄関口に飾ったものを言います。

柊の葉には棘(とげ)があり、棘が目に刺さるので鬼が家の中に入って来ない。そして、鰯を焼いたときの匂いと煙で鬼は近寄ることができないとされています。

今ではあまり見られなくなりましたが、まだその風習が強く残っている地域もあります。

柊鰯はいつまで飾る?

柊鰯は節分の夕方、鬼が近づいてくる前に玄関に飾り、無事に鬼をやり過ごした次の日の朝には外すところや、節分の日から2月末まで飾るところ、あるいは小正月の1月15日から節分までというところもあるようです。

「鰯の頭も信心から」という古い言い伝えもあるくらいですから、古くは広く行われていました。 現代のマンションなどでは、鰯を焼いて匂いを出すことは難しいかもしれませんが、いつもとは違う節分のイベントとして、柊鰯を飾ってみるのも楽しいかもしれません。

鰯(いわし)を食べる風習も

柊鰯を飾るほかに、節分に鰯を食べるところもあります。これも柊鰯と同じように主に西日本に多く見られる風習です。

鬼が苦手とする鰯を食べることで、鬼を寄せ付けない。つまりは邪気を払い、病気や災いを避けるという意味があるとされています。

2020年の節分は、豆まき、恵方巻、柊鰯...フルコースで楽しんでみては?

当記事では節分の由来、2020年の節分はいつなのか、節分の日付が変わる可能性があることや2020年の恵方、恵方の決め方などについてご紹介しました。

また、恵方巻きの由来が実はよくわからないことや、恵方巻きの食べ方、恵方巻き以外に節分に食べるもの、さらに、豆まきや節分の飾りである柊鰯(ヒイラギイワシ)についても、その由来や意味を探りました。

古くは新しい一年を無事に迎えるための大切な儀式でもあった節分。今では、「豆まきをして、恵方巻きを食べる日」という認識が広まっていますが、あらためて節分を意味を見直し、一年の無事を祝うのも素敵なことかもしれませんね。

この記事の執筆者
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