寒い季節においしい、おしるこやぜんざい。お正月で余ったお餅で、おいしいおしるこやぜんざいをいただいてみませんか?

そこで今回は、島根県出雲市にある出雲ぜんざい学会の方に、ぜんざいとおしることの違いや、最高においしいぜんざいをつくれるレシピを教わります。

「ぜんざい」と「おしるこ」の違いは、地域によって定義に差があり!

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「汁気がないあん×お餅」はどっち?

ぜんざいとおしるこは、似ているようで違うもの。このふたつの違いは? と聞かれたら、なかなか答えられないものです。そこで出雲ぜんざい学会の古島さんに、ぜんざいとおしるこの違いを教えていただきました。

「ぜんざいとおしるこは、どちらも小豆を砂糖で甘く煮て、その中に餅、もしくは白玉団子を入れたものです。その違いは、関東と関西で大きく異なっています。関東は汁気の有無、関西は粒あん・こしあんで呼び方が違います。江戸時代には、すでに関東と関西で違いがあったようです」

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「汁気のあるこしあん×餅」はどっち?

関東の違いは「汁気がある」か「汁気がない」かで見る!

おしるこ…汁気のあるもの全般のこと。粒あんを使っていたら「田舎汁粉(いなかしるこ)」や「小倉汁粉(おぐらしるこ)」、こしあんを使っていたら「御膳汁粉(ごぜんしるこ)」と呼ぶ。

ぜんざい…汁気がないあんに、餅や白玉を添えたもの。

関西の違いは「こしあん」か「つぶあん」かで見る!

おしるこ…こしあんを使った汁気があるもの。

ぜんざい…粒あんを使った汁気があるもの。

「関西で、汁気のない粒あんの場合は『亀山』などと呼んで区別しています」

関東と関西では呼び名が違うんですね。甘味処などで注文する際には、汁気の有無や、粒あんかこしあんかをよく確認しましょう!

自宅で最高に美味しいぜんざいを作るポイント

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最高においしいぜんざいの条件とは?

寒さも増す今の時季、自宅でぜんざいをつくっていただくのもよいのではないでしょうか。せっかくつくるなら、最高においしいものをつくりたいものですよね。そこで古島さんに、出雲ぜんざい学会が考える最高においしいぜんざいの条件を教えていただきました!

■1:小豆は「大納言小豆」がベスト!

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ぜんざいに最適な小豆は?

「小豆を大きく分けると、赤小豆と白小豆があります。赤小豆には、普通小豆と大納言小豆があり、ぜんざいの小豆として最高においしいのは、大納言小豆です。大納言小豆は、煮詰めても型くずれせず、糖分が多くて味がしっかりしています。

丹波産の小豆は高級小豆として知られており、手に入りやすいのは北海道産です。島根県では出雲産小豆の生産拡大に取り組んでいて、出雲市内の一部のお店では出雲産大納言小豆を使ったぜんざいを食べることができます」

■2:甘さは「白砂糖」「水分多め」「少量の塩」が決め手

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白砂糖でおいしくなる!

「ぜんざいのおいしさのポイントは『甘さ』にあります。色の付いた砂糖、例えば、三温糖などよりも、白砂糖を使用したほうが、雑味の少ないぜんざいができます。

出雲ぜんざいは、かつての文献に倣って汁を多めにし、小豆を極力つぶさないようにつくっています。汁が多いというのもまたポイントで、水分が多いほど甘味を感じやすくなります。少量の塩を入れることにより、味が整います」

■3:お餅には地域差が!お好みで選んでOK

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お餅もおいしいけれど、白玉団子も可愛い!

「餅の形や食べ方も、関東と関西で違いがあります。関東では角餅、関西では丸餅となり、関東では焼いた餅を食す地域が多く、関西では煮た餅を食す地域が多いです。

焼いた餅は香ばしさがあり、風味がアクセントになりますが、それを苦手とする人もいるようです。そんな理由から餅は好み次第と考えます」

最高に美味しいぜんざいの作り方

おいしいぜんざいの条件を知ったところで、最高においしくできる、ぜんざいのつくり方を教えていただきました。

今回のレシピは、ぜんざい発祥の地といわれる出雲に伝わる「出雲ぜんざい」のもの。もともと「ぜんざい」という呼び名は、「神在祭(かみありさい)」という出雲地方のお祭りの際にふるまわれた「神在(じんざい)餅」に起因しているそうです。

関西のぜんざいなので、「粒あんを使った汁気がある」ぜんざいです。

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「出雲ぜんざい」レシピ

【材料】(4人前)
・大納言小豆(なければほかの小豆でも可)100g
・水 1,500~1,800ml
・白砂糖 60g
・塩 少々
・餅・白玉団子(お好みで)

【つくり方】
1.100gの小豆を洗う。
2.鍋に水を1,000ml入れ、中火で加熱、沸騰させ、弱火で30分置く。
3.煮汁を捨てて、新しい水を500~800mlくらい入れる。
4.中火で加熱し、沸騰したら小豆がやわらかくなるまで(1時間くらい)弱火で煮る。水が少なくなったら水を差す。
5.火を消して、落し蓋をし、30分くらい置く。
6.火をつけて砂糖を60g程度と塩少々を入れて混ざったら、餅や白玉団子を入れてできあがり。

おいしくつくるためのポイント

「砂糖は小豆がやわらかくなってから入れましょう。途中で入れると小豆がやわらかくなりませんので、注意してください」

「自分でつくったぜんざいの味は格別です。寒い日には家族や親しい友人などのゆっくり温かいぜんざいを食べれば、ほっこりとし、会話も弾むのではないでしょうか」

おいしいぜんざいの条件は、大納言小豆に白砂糖とたっぷりの水分、そして少量の塩で味付けること。そして砂糖は小豆がやわらかくなってから入れることでした。餅や白玉団子はお好みで入れて、ほっこりおいしいぜんざいをいただきましょう!

問い合わせ先

出雲ぜんざい学会

TEL:0853-53-2112

この記事の執筆者
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WRITING :
石原亜香利
EDIT :
安念美和子、榊原淳