海外ではお花やお手紙、日本ではチョコレート。外国人が驚く、日本独自のバレンタイン文化

令和初のお正月も終わり、早くも2月に突入。街もバレンタインムード一色に様変わりしましたね。

いたるところで、バレンタインデー関連イベント、商戦が熱く繰り広げられ、甘いチョコレートの匂いに街が包まれる季節です。

この季節に日本を訪れる外国人観光客は、そんな光景を目にし、「日本はチョコレートの祭典でもやっているの?」と不思議がります。

そして、色とりどりなラッピングに包まれた、宝石みたいに美しい見た目、趣向を凝らした味とバリエーション豊かなたくさんの種類を誇る、日本のチョコレートに魅了され、ワクワク感動し、たくさんお買い上げなさることが多いです。

ただ、「日本では、女性が男性に愛の告白するためにチョコレートを贈るんですよ」と、日本のバレンタイン事情を説明すると、皆さん、「えっ? どうして?」と驚きます。

海外では男性から女性にお花や手紙を送るのが一般的
海外では男性から女性にお花や手紙を送るのが一般的

その理由は、海外のバレンタインデーは、男性から女性に、お花や手紙を贈るのが一般的で、日本とはまったく逆だから。

海外から見たら、日本のバレンタインデーはとても独特で、不思議な文化に思えるようです。

ということで、今回は「日本のバレンタイン文化は、訪日外国人にどのように映っているか?」に焦点を当ててご紹介いたします。

日本のバレンタインデーを、海外の方に説明する際の英語表現も合わせて掲載しますので、外国人のお友達と会話なさる際の、参考にしていただければ幸いです。

キャメロン今井さん
通訳案内士、東京マダム国際交流アカデミー代表
(きゃめろん いまい)欧米圏のVIPへの通訳、アテンドを専門とする。主催する東京マダム国際交流アカデミーは、今井さんが長年にわたり温めてきた「国境を越えたマダムたちの国際交流の場を創りたい」という夢を実現するため、国際的に通用するマダムを育成することを目的としたアカデミー。2020オリンピックイヤーの一押し講座はこちら→「ネイティブは日本をこう説明する!バイリンガル通訳ガイド,ジニーのスペシャル通訳ガイド講座」
東京マダム国際交流アカデミー

日本のバレンタインは、お菓子業界がつくった文化?

いまや国民的イベントとなったバレンタインデーですが、そもそも、日本でバレンタインデーにチョコレートを贈るきっかけをつくったのは、製菓会社だといわれています。

1950年代に大手製菓各社が、「バレンタインデーには、好きな人にチョコレートを贈ろう!」という広告を打ち出し、「バレンタイン×チョコ文化」を日本に流行させようと、さまざまな取り組みをしてきたようですが、初期のころはなかなか認知されずに苦労してきたのだとか。

「バレンタインデーにチョコレートを贈る」慣習が日本に定着してきたのは、ようやく1970年代に入ってから。最初にこの流行に飛びついたのは、小学校高学年から高校生たち、ティーンエイジャーだったといわれております。そして、徐々に、大人の女性にも広まり、大ブームとなっていきました。

’70年代ごろといえば、ちょうど、お見合いで結婚するのが主流ではなくなってきていて、恋愛の自由を手にし始めた時代でもあったので、多くの女性から、バレンタインデーは「チョコレートで想いを伝える愛の日」として支持を集め、現在の日本のバレンタインデースタイルが定着することになったわけです。

定着したあとのバレンタインは、その後も拡大の一途をたどり、皆様よくご存知ように「本命チョコ」、「義理チョコ」、「友チョコ」、さらには、「バレンタインデーのお返しをする日、ホワイトデー」という特別な日まで誕生することになりました。

この「日本のバレンタインの種類」を英語で説明すると以下のようになります。

「日本のバレンタインの種類」を英語で説明すると

Valentine’s Day was imported to Japan in the 50’s by a Japanese chocolate company that wanted to profit from a special occasion that revolved around buying things for people you love.

Some of the first ads for Valentine’s Day here in Japan accidentally misrepresented the Western tradition - claiming it was a day when women showed love to the men by giving them various types of chocolate (instead of the other way around). 

Now more than 50 years later, Japanese Valentine’s Day is still a day when women give presents to men.  And chocolate companies continue to profit, reportedly making half their annual sales during this time.

【日本語訳】日本のバレンタインデーの歴史は1950年代に遡ります。お菓子会社が、バレンタインデーという特別な日に目をつけ、「好きな人に何か贈り物をしよう!」と広告を打ち出し、世間にチョコレート贈答文化を流行らせ、チョコレートの売り上げを伸ばそうと考えたのが始まりでした。

ところが、たまたま最初に出した広告の文面に、「バレンタインデーは、女性が男性にチョコを贈り、愛を告白する日」と、西洋とは真逆の解釈をしたものを出してしまった為、日本ではそのままの形が定着してしまったのです。

50年以上経った現在も、日本では、バレンタインデーは、女性から男性にチョコレートを贈る日として続いています。そして、お菓子会社の年間売り上げの半分は、バレンタインデーの売り上げだということです。

日本独自のユニークなバレンタイン文化~本命チョコ,義理チョコ,友チョコ、ホワイトデー~外国人にどのように説明すればいい?

本命、義理、友チョコ、自分へ・・・・広がる日本のバレンタイン文化
本命、義理、友チョコ、自分へ・・・・広がる日本のバレンタイン文化

このように、日本にバレンタインが普及した理由を説明しただけでも、外国人は興味津々、とても面白がってくれますが、今や、日本のバレンタインデー文化はさらにユニークさを増し、どんどん発展しています。

こんな面白い文化を目の当たりにした訪日外国人は、たくさんの質問を投げかけてきますので、是非とも、その好奇心を満たしてさしあげるべく、もっと詳しく、英語で説明してみてください。

まずは、日本のバレンタインチョコの種類から説明してみましょう!

「日本のバレンタインの歴史」を英語にすると

There are 2 types of chocolates given on Valentine’s Day : Honmei-choco, Giri-choco.  

【日本語訳】日本には、大きく分けて二種類のタイプのチョコレート、本命チョコ、義理チョコがあります。

Honmei-choco(本命チョコ)comes from the words “honmei” meaning favorite and “choco” meaning chocolate.  Honmei choco is the chocolates you give to a very special person in your life, such as boyfriend, husband, or close male friend. From time to time, honmei-choco are accompanied by a “love confession”, where a woman askes the recipient to be her boyfriend.

【日本語訳】本命チョコという名前は、本当に好きな人=本命と、チョコレートの短縮形のチョコを合体してつくられた造語で、ボーイフレンド、夫、親しい異性の友達に贈るスペシャルなチョコレートです。本命チョコを贈る際には、女性は好きな人に愛の告白をして、交際を申し込むこともあります。

Giri-choco(義理チョコ)、literally means “obligation chocolate”, and as you can probably guess, these chocolates are given to people who you are not romantically involved with , such as collegues, acquaintances, and bosses.

In recent years, new type of Valentine`s Day chocolate has been added:  “Tomo-choco”(友チョコ) which means chocolate given exclusively to your friends!

【日本語訳】義理チョコは、文字通り、義理で贈るチョコレートのこと。同僚、単なる友達、上司等の恋愛感情のない人間関係に贈ります。比較的新しく登場したのが、友チョコで、友達同士で交換し合うチョコレートのことを意味します。

お返しの日、「ホワイトデー」も日本でつくられた文化

本命チョコ、義理チョコ、友チョコと、説明したら、忘れてはいけないのは「ホワイトデー」の存在ですね。これも英語で説明をしてみます。

White Day was created in the 1980’s and is a day where men are expected to give an expensive gift to the woman or women he received a gift from on Valentine’s Day. The gift the man gives to the woman is supposed to be three times more expensive than the one he received himself.

【日本語訳】1980年代には、バレンタインデーのお返しをする日「ホワイトデー」も登場しました。バレンタインデーに女性からチョコレートをもらった男性は、その3倍に相当する金額のプレゼントを女性にお返ししなければいけません。

…ちなみに、この説明を聞いた訪日外国人たちはどんな反応を見せるかといいますと、

OMG!  I can`t imagine having to give expensive “return gifts” to not only your significant other but also your acquaintances !  It seems a little unfair. Poor Japanese guys!

【日本語訳】マジで? 大切な人だけではなく、単なる知り合いにも、そんなに高くつくお返しをしなきゃいけないなんて信じられない! それは不公平でしょ? 日本の男性がかわいそう。

と、日本の男性たちに同情的な意見が多数のようです。

何はともあれ、バレンタインデーは「愛と感謝を伝えられるハッピーな日」

以上、日本のユニークなバレンタインデー文化を、日本と海外の両方の視点から掘り下げてみましたが、改めて、日本人というのは、「他国の文化を取り入れ、それを独自の文化に進化させるクリエイティブな国民」だと実感しました。

また、バレンタインデーが、日本にここまで根付いたのは、日本には元々「贈答文化」があったからでもありますね。

お中元、お歳暮よりも、ずっとカジュアルに、自分が大切にしたい人達に贈り物ができるステキな機会なので、私は、この機会を最大限に活用させていただいております。

日本に訪問する外国人が驚ろくことのひとつが、バレンタイン
日本に訪問する外国人が驚ろくことのひとつが、バレンタイン

最後に、最近、私が東京案内した海外ゲストのひとりに、日本のバレンタインデーに対する感想を聞いてみましたので、締めとしてご紹介させていただきます。

Japan is a very happy country, because Japanese people love to celebrate all the little special occasions just to show how much they care for the people around them. Seeing them celebrate in this way is so beautiful and it reminds me that life is fleeting and we need to treasure every occasion.

【日本語訳】日本は、愛や感謝を伝えるハッピーな機会がたくさんあってハッピーな国だね! ハッピーな機会があると、人生は美しく、そして短いものだと、私たちに思い出させてくれる。大切な人達に、素直に愛と感謝を伝えて、幸せな時間を共有するのはとてもいいことだと思う。

そう言って、彼女は、その場で(デパ地下で)友チョコを買って、私にプレゼントしてくれました。

「郷に入りては郷に従え」。

早速、日本の慣習に従い、友チョコを贈ってくれた彼女のスマートさと柔軟さ、もちろん愛と友情に大感動! 温かーい気持ちにさせて頂きました。

人間は、こんな風に、素直に、カジュアルにお互いに愛と感謝を伝え合えばいいんですよね。日本のバレンタインデー文化に乾杯!

Happy Valentine’s Day!

皆様、心温まるバレンタインデーをお過ごしくださいませ!

英語監修:Ginny McKnight Shiung
英語講師
オーストラリア、メルボルン生まれ。日本に2009年に移住。NHKクールジャパン出演者。バイリンガル通訳ガイドとして活躍中。また、東京マダム国際交流アカデミー「ジニーのファッション英語講座」の講師担当。
プロフィール
この記事の執筆者
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