ひな祭りに飲む飲み物といえば「甘酒」を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、本来は甘酒ではなく「白酒(しろざけ)」を飲むのが、日本のひな祭りの風習なのです。

白酒は、見た目は甘酒に似ていますが、れっきとしたお酒です。ひな祭りに飲む日本のお酒なので、白酒は日本酒(清酒)だと思われがちですが、白酒は日本酒ではなく、混成酒に分類されるアルコール飲料となります。

また、甘酒には、アルコールを含む甘酒とノンアルコールの甘酒の2種類が存在します。さらに、同じ表記で、中国酒の「白酒(パイチュウ)」という蒸留酒もあります。

ちょっとわかりづらいですね…。この記事では、白酒(しろざけ)と、日本酒、甘酒、白酒(パイチュウ)の違いを整理してみました。

■ひな祭りに白酒(しろざけ)を飲む意味や由来

ひな祭りに白酒(しろざけ)を飲む意味や由来
ひな祭りに白酒(しろざけ)を飲む意味や由来

ひな祭りに欠かせない飲み物「白酒」。まずは、この白酒をひな祭りに飲む意味や、由来を理解しましょう。

白酒を飲んで厄払いを

3月3日のひな祭りは、女の子の健やかな成長を願い、お祝いする日です。この日は、「上巳(じょうし)の節句」「桃の節句」とも呼ばれます。

「上巳の節句」とは、古代中国から日本に伝わった、数々の季節行事や慣わしのひとつで、のちに江戸幕府が公式に定めた5つの節句「五節句」に選ばれた、由緒正しい伝統行事です。

節句といわれる季節の節目のころは、昔から邪気が入りやすいとされており、中国の「上巳の節句」には、水辺で手足を洗い、厄落としをしていたといわれています。

日本では、平安時代の上巳の節句に「ひいな(雛)」と呼ばれる紙の人形を川に流し、無病息災を願っていたのだそうです。

現代のようなひな祭りを祝うようになったのは、江戸時代に入ってからといわれており、ひな祭りに白酒が飲まれるようになったのもこのころです。

ひな祭りに白酒が飲まれるようになったのには、こんなエピソードがあります。

昔、大蛇をお腹に宿してしまった女性が3月3日に白酒を飲んだところ、胎内の大蛇が消えてしまったという言い伝えです。これにより、女性の厄払いのために、3月3日に白酒を飲むようになったという説があります。

桃香酒が白酒のルーツ!?

古代中国の上巳の節句には、白酒ではなく、桃の花びらを漬けたお酒「桃花酒(とうかしゅ)」を飲む風習があったとされています。

この桃花酒は、その名の通り「桃の香りのするお酒」で、桃は邪気を払う効果や、百歳(ももとせ)まで生きるという長寿の意味がありました。

このことから、桃が節句を祝うのにふさわしく、桃の花が咲くころが旧暦の3月3日頃ということもあって「桃の節句」と呼ばれるようになったそうです。

日本でも桃花酒は飲まれていましたが、江戸時代以降になると、白酒を飲むようになりました。その理由は、ひな祭り時期に、とある酒店が販売した白酒が大ヒットしたことによるといわれています。

白酒を注ぐのは誰?

雛人形の二段目を見ると、白酒を注ぐ人物がいます。その人物は、三人官女です。

三人官女とは、お内裏様に仕える宮廷の女官のこと。雛人形でいうと、向かって左から、「提子(ひさげ)」を持つ官女、「三方(さんぽう)」を持つ官女、「長柄銚子(ながえのちょうし)」を持つ官女の順に並んでいます。

白酒を注ぐ順序は、提子に入った白酒を、長柄銚子に入れ、真ん中の官女が捧げ持つ盃に注ぐという順です。

■ひな祭りの白酒(しろざけ)は、ノンアルコール飲料ではない

ひな祭りの白酒(しろざけ)は、ノンアルコール飲料ではない
ひな祭りの白酒(しろざけ)は、ノンアルコール飲料ではない

甘い香りが特徴とされる白酒は、どのようなお酒なのでしょうか。ここでは、白酒の原料やつくり方、栄養素などをご紹介します。

そもそも白酒とは?

白酒は、蒸したもち米とみりん(または焼酎・米麹)を原料とし、それらを、1か月程度熟成させて、まずは「もろみ」をつくります。このもろみを軽くすりつぶしたのが白酒です。

特徴は、白く濁った色、そして、口に含んだときの甘みです。

甘みがあるものの、アルコール度数は9%前後あります。これは、アルコール度数3~8%のビールよりも高いため、飲み過ぎはほどほどに。

白酒の栄養素や健康作用は?

白酒には、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB5、タンパク質、糖質が含まれています。なかでも、エネルギー源となる糖質が多いのが特徴です。

また、アルコール度数が9%前後と高いため、飲むと体が温まるでしょうが、飲み過ぎは控えましょう。

■ひな祭りの白酒(しろざけ)と日本酒の違い

「白酒は日本酒だ」と勘違いしている方が多くいるのではないでしょうか。ここでは、白酒と日本酒の違いを解説します。

日本酒は醸造酒

日本酒は、お米を原料としたお酒で、蒸したお米に米麹、水を加えて発酵、熟成させてつくられます。ですので、日本酒は「醸造酒」というカテゴリーに該当します。

日本酒は、無色透明のものが一般的ですが、のごり酒のような白濁したものもあります。この白濁したものが白酒だと思われるかもしれませんが、白酒とは違うのです。

白酒は混成酒

白酒は、日本酒とは原料や製造法が違います。白酒の原料は、蒸したもち米とみりん(または焼酎・米麹)です。

これらの原料を1か月程度熟成させてもろみをつくり、軽くすりつぶしたものが白酒となります。製造工程に発酵は入っていません、

このようなお酒は「混成酒」と呼ばれ、白酒のほかに、梅酒やみりん、リキュールなどもそうです。 このように、日本酒とは、原料、つくり方が違い、お酒としての種類も異なるのです。

■ひな祭りの白酒(しろざけ)と甘酒の違い

白酒と甘酒は、名前も「酒」とつきますし、白っぽい見た目も似ています。しかし、このふたつは違う飲み物なのです。その違いを、解説していきます。 

白酒の代用品となった、ノンアルコールの甘酒

古代中国で上巳の節句に飲まれていたのは、桃の花びらを漬けたお酒「桃香酒」。その由来は、桃が邪気を祓い、長寿をもたらすからとされています。

日本では、ひな祭りに飲むお酒が、桃香酒から白酒へと変化していきましたが、この白酒、アルコール度数がかなり高く、子供が飲むには適していないことから、アルコールが入っていない、甘酒で代用する風習が広まったのだそうです。

甘酒には2種類ある

甘酒には、大きく分けて2つの種類があります。それは「酒粕甘酒」と「米麹甘酒」です。

アルコールを含む「酒粕甘酒」

酒粕甘酒は、日本酒をつくるときに出る酒粕に、水を加えてつくられるものです。そのため、少量アルコール含みます。次に紹介する「米麹甘酒」にくらべて、さらっとしており、甘みの調整ができるのがポイントです。

さらに、レジスタンスプロテインや植物繊維なども含んでいるとされるため、腸内環境を整えたり、美容作用も期待できます。

ノンアルコールの「米麹甘酒」

米麹甘酒は、味噌や醤油づくりにも使われている米麹を使ってつくられます。特徴としては、とろみがあり、自然なお米の甘みが感じられることです。

また、栄養価も豊富で、ビタミン類や、葉酸、食物繊維、アミノ酸などが含まれています。そのことから「飲む点滴」とも呼ばれているのです。

なお、こちらはノンアルコールですので、アルコールが苦手な方や小さなお子さんでも飲むことができます。

■ひな祭りの白酒(しろざけ)と中国酒の白酒(パイチュウ)の違い

中国酒の白酒(パイチュウ)も、「白酒」と書きます。日本の白酒(しろざけ)との違いは、どのようなところにあるのでしょうか?

白酒(パイチュウ)は蒸留酒

中国で生まれたパイチュウは、蒸留酒です。背の高いモロコシ「高粱(コーリャン)」、ジャガイモ、トウモロコシなどを原料にして、つくられます。

「白いお酒」と書きますが、実際は無色透明です。これは、中国の代表的な醸造酒「黄酒(ホアンチュウ)」を無色透明になるまで蒸留することで、パイチュウが生まれることから、そのように呼ばれます。また、芳醇な香りも特徴的です。

パイチュウのアルコール度数は、低いものでも30度、高いものだと50度超えのものもあります。そのことから、食中酒というよりは、乾杯のときのお酒として飲まれるのが、中国では一般的なようです。

白酒(しろざけ)をひな祭りに飲む由来や意味は?中国の白酒(パイチュウ)との違いや美味しい飲み方をご紹介≫

■ひな祭りに飲みたい!おしゃれな甘酒のおすすめ

ひな祭りに白酒(しろざけ)をいただくのが、本来の形かもしれません。しかし、アルコール度数の高さや、甘みの強い風味が気になる方もいらっしゃることでしょう。

ひな祭りのお祝いには、ヘルシーな甘酒を選んでみてもステキですね。

「飛騨あま酒」(地酒蔵)

「飛騨あま酒」(地酒蔵)
「飛騨あま酒」(地酒蔵)

薄紅色のラベルがかわいらしい「飛騨あま酒」。「飛騨産米」を贅沢にも高精白し、酒の仕込みにも使われるという、飛騨高地の中央に位置する「位山」から湧く伏流水で仕込んでつくられた甘酒です。

糖類・防腐剤無添加で、甘みはお米のみでつけられています。その上、ノンアルコールなので、お酒が苦手な方でも安心して楽しめます。

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「吟香の甘酒 3種入り『白米・抹茶・赤米』ギフトセット」(コンディメント・メディテラネオ)

「吟香の甘酒 3種入り『白米・抹茶・赤米』ギフトセット」(コンディメント・メディテラネオ)
「吟香の甘酒 3種入り『白米・抹茶・赤米』ギフトセット」(コンディメント・メディテラネオ)

パッケージからこだわった、高級感あるノンアルコール甘酒の詰合せギフト。

麹の風味を最大限に引き出すために、精米歩合を60%にした吟醸麹を全量使用した本品は、日本酒造りの極みである吟醸酒造りの技を生かした高品質の吟醸甘酒です。

吟醸にすることで口当たりが軟らかく、きめ細かくなり、飲みやすい味わいに仕上がっています。

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「麹あまざけ」(二反田醤油)

「麹あまざけ」(二反田醤油)
「麹あまざけ」(二反田醤油)

蔵工房・二反田醤油店の「麹あまざけ」は、 地元大分県中津市の中山間地米と麹だけを原料として丹念に仕込まれた 本物の甘酒。

ノンアルコールで無添加、 砂糖不使用、お米だけの自然な甘みは蔵元の甘酒ならでは。甘酒のベタベタした甘さが苦手な方も楽しめる、スッキリした味わいが人気です。

ストレートで、牛乳や果汁と割って、ヨーグルトに入れて、など、いろいろな食べ方ができます。

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「透きとおった甘酒プレミアム」(ハナマルキ)

「透きとおった甘酒プレミアム」(ハナマルキ)
「透きとおった甘酒プレミアム」(ハナマルキ)

甘酒の粒を搾ったことで、特有の香り、食感を気にせず飲むことができる「透きとおった甘酒プレミアム」。

既存の甘酒が苦手な方でも飲みやすく、クエン酸を入れることで、すっきりとした後味が楽しめるようなテイストに仕上がっています。

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「甘酒 あまざけ飲み比べセット」(三崎屋醸造)

「甘酒 あまざけ飲み比べセット」(三崎屋醸造)
「甘酒 あまざけ飲み比べセット」(三崎屋醸造)

高級味噌を製造する創業120年の老舗「三崎屋醸造」の甘酒。物産展では行列が出来る人気のストレート味と、健康番組で人気の赤い甘酒の他、上品な抹茶味、心も体も温まる生姜味などが飲み比べできます。

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■ひな祭りにピッタリ!ピンク色(桃色)の日本酒のおすすめ

見た目にもかわいらしいピンク色の日本酒で、ひな祭りのお祝いをしてみませんか?

「岡山白桃酵母使用 純米桃にごり」(宮下酒造)

「岡山白桃酵母使用 純米桃にごり」(宮下酒造)
「岡山白桃酵母使用 純米桃にごり」(宮下酒造)

桃色が美しい「純米桃にごり」。この美しい桃色は、赤い色素を作る赤色清酒酵母と、白桃の木から発見された岡山白桃酵母の2つの酵母を使うことにより、生み出されます。

心地よい酸味と甘味があり、のどごしは爽快。アルコール度数も低めなため、飲みやすいのもポイントです。

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「尾瀬の雪どけ 桃色にごり 純米大吟醸」(龍神酒造)

「尾瀬の雪どけ 桃色にごり 純米大吟醸」(龍神酒造)
「尾瀬の雪どけ 桃色にごり 純米大吟醸」(龍神酒造)

純米大吟醸の桃色にごり酒。爽やかな甘さと酸味、そしてアルコール度数が低いのでスイスイ楽しめる1本です。

開けたては少しだけ発泡感も! 口に入れてしばらくすると弾ける感じが楽しめます。

見た目も味も楽しく、ひな祭りパーティーに持っていくと注目されること間違いなしです。

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「能登末廣 純米 桃色にごり酒 花おぼろ」(中島酒造店)

「能登末廣 純米 桃色にごり酒 花おぼろ」(中島酒造店)
「能登末廣 純米 桃色にごり酒 花おぼろ」(中島酒造店)

かわいい桃色のにごり酒は、赤色清酒酵母で仕込んだ純米酒で、ひな祭りにピッタリ。

色は、酵母が創り出す自然の色。ほんのり甘酸っぱい味は、飲むとほんわりと心が和み、一日の仕事の疲れが癒やされます。女性に大好評。

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「愛宕の松 純米吟醸 はるこい ピンクのにごり日本酒」(新澤酒造店)

「愛宕の松 純米吟醸 はるこい ピンクのにごり日本酒」(新澤酒造店)
「愛宕の松 純米吟醸 はるこい ピンクのにごり日本酒」(新澤酒造店)

「伯楽星」の銘柄で知られる、新澤醸造の限定アイテム「愛宕の松(あたごのまつ)」。宮城県産の「ひとめぼれ」を60%精米し「赤色酵母」で醸した純米吟醸の生酒バージョンです。

見た目も愛らしい鮮やかなピンク色のにごり生酒で、イチゴを連想させる甘酸っぱさ、そして、爽やかで溌剌とした味わいが楽しめます。

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「低アルコール日本酒 花めくすず音」(一ノ蔵)

「低アルコール日本酒 花めくすず音」(一ノ蔵)
「低アルコール日本酒 花めくすず音」(一ノ蔵)

女性を中心に根強い人気のスパークリング日本酒「すず音」をベースとした、美しい桃色のリキュールは、着色料を一切使用せず、黒豆と紫黒米より抽出した天然色素をブレンドしています。

ベースとなったすず音とはまた違った不思議な味わいで、ひな祭りを華やかに彩ってくれます。

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白酒で大人なひな祭りパーティーを!

当記事では、ひな祭りに白酒(しろざけ)を飲む意味や由来と合わせて、白酒と日本酒・甘酒・中国の白酒(パイチュウ)は違うことをご紹介しました。

また、ひな祭りにピッタリの、おしゃれな甘酒や、ピンク色(桃色)の日本酒もセレクトしてみました。

2020年は、白酒や甘酒、日本酒を楽しむ、ひな祭りパーティーを開いてみてはいかがでしょうか。その際には、当記事に掲載した白酒のトリビアをぜひ披露してみてくださいね。

この記事の執筆者
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