まさに「肌で感じるラグジュアリー」!それが老舗下着ブランド「ハンロ」の変わらぬコンセプト

「ハンロ」商品を着た男女
レディスとメンズを展開。顧客には多くのハリウッドスターが名を連ねます。

1884年にスイスで誕生した「HANRO(ハンロ)」は、天然素材を中心とする上質な素材を使った、メンズ&ウイメンズの下着、ナイトウエア、ラウンジウエアを展開するブランド。現在世界50か国で販売され、世界中に多くのファンを持っています。

マリリン・モンローのスカートが、地下鉄の風でめくれるシーンが有名な映画『7年目の浮気』で着用していたのも「ハンロ」の下着。

「コットンシームレス」のキャミソール
日本でも人気の「コットンシームレス」のキャミソール。この白を映画『アイズ ワイド シャット』でニコール・キッドマンが着用していました。

また『アイズ ワイド シャット』ではニコール・キッドマンが、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』ではダコタ・ジョンソンが着用するなど、映画の名シーンも彩ってきました。

派手さはなくとも、ラグジュアリー感漂う「ハンロ」の魅力はどこから生まれるのか? ランジェリーライターの川原好恵さんが、スイスとオーストリアの国境近くに位置するフォアアールベルクの本社を訪ね、デザイナーのエレナ・パナゴポロスさんにインタビューしてきました。

「ハンロ」デザイナー エレナ・パナゴポロスさん
エレナ・パナゴポロスさん
「HANRO(ハンロ)」デザイナー 
ミュンヘン エスモードでウイメンズファッションデザインを学び、2012年に「ハンロ」に入社。デザイナーアシスタント、メンズデザインナーを経て、ウイメンズデザイナーに就任。

川原好恵(以下、川原):「ハンロ」のデザインコンセプトとは?

エレナ・パナゴポロス「ハンロ」デザイナー(以下、エレナ):「LESS IS MORE」です。素材選びを重視し、クラフトマンシップに裏付けられた高いクオリティーを保つこと。それは肌で感じるラグジュアリー、控えめなラグジュアリー、快適性を備えたラグジュアリーであり、決して見せびらかすためのラグジュアリーではありません。

「ハンロ」のニッティングマシーン
「ハンロ」本社に隣接する工場のニッティングマシーン。製品に使用する生地のほとんどは、ここで編み立てます。

「ハンロ」は130年以上の歴史があり、創業時から天然素材にフォーカスした、クオリティ重視の製品をつくっていますが、常に新しい素材、新しいテクニックに挑戦しています。それが長い間、愛される理由だと思っています。

物作りに関わるすべてが近くにあるから「ハンロ」らしさを保てる

川原:高い品質と「ハンロ」らしさを保ち続けられる理由とは?

エレナ:この本社にはデザインルームやマーケティング、セールスなどビジネスに関わるすべての部署があり、私達がデザインしたものを形にするパタンナーもすぐ近くにいて、サンプルを縫う設備も整っています。

工場も隣接していて、そこでは生地の編み立てと染色を行っていますし、下着の縁などにあしらう刺しゅうのメーカーも車で数分の近隣にあります。物作りに関わるすべてが目の届く範囲にあり、ブランドに携わるチームが同じ場所にいるから、共通認識にブレがありません。それは「ハンロ」らしさを保つ上で、とても重要です。

縫製のほとんどは、ポルトガルにある自社工場で行っていることも、高い品質を保つことにつながっています。

ボーデン湖
近くにはスイス、オーストリア、ドイツの国境に位置するボーデン湖が。この美しい自然環境を汚染しないよう、「ハンロ」の工場は環境や働く人にも配慮した体制がとられ「エコテックスRステップ」の認証を取得しています。

川原:「ハンロ」が理想とする女性像は?

エレナ:理想とする具体的な女性像はありません。だって、女性はいろんな顔を持っているし、生活のなかにはいろんな場面があるでしょう? 「ハンロ」は24時間、さまざまなシーンに合わせてコーディネートできるアイテムがそろうブランドでありたいと思います。

美しさを追求しつつ、着た時に快適でイージーケアであることも不可欠

2020年春夏コレクションのイメージビジュアル
2020年春夏のコレクションテーマは「Golden Hour」。イメージビジュアルはアラビア半島のルブアルハリ砂漠で撮影されました。

川原:デザインする上で、最も重視することは?

エレナ:第1に「ハンロ」が定める厳しい品質基準をクリアする素材であること、第2に「ハンロ」のDNAが感じられること、第3に快適であること。

先ほどお話ししたように、常に新しい素材、新しいテクニックに挑戦していますが、デザインで流行を追いかけるようなことはありません。タイムレスなエレガンスを追求すると同時に、着た時に快適であること、イージーケアであることも不可欠。着るときに我慢は必要ない、それが「ハンロ」なのです。

ラウンジウェア
ラウンジウェアとして提案されるアイテムは幅広いシーンに活用できて動きやすく、旅行等にも大活躍。

川原:日本の女性へメッセージをお願いします。

エレナ:2年前にプライベートで東京を訪れたのですが、日本の女性はエレガントかつトレンディー! 「ハンロ」を素敵に着こなしてSNSに投稿してくださっているのも、拝見していますよ。いつも、ありがとうございます、そして、これからも楽しみにしています。

砂漠での撮影ショット
真のラグジュアリーを提案するコレクションは長く愛せるアイテムばかり。

美しい自然に囲まれた「ハンロ」本社を訪れて感じたのは、会社全体や働く人々に漂う穏やかでピースフルな空気。エレナさんがいう「肌で感じるラグジュアリー」「控えめなラグジュアリー」は、この環境から生まれるのだと納得しました。

アルプス山脈
インタビューを終えて外に出ると、空は美しい夕焼けに。林の向こうに見えるのはアルプス山脈。

エレナさんは今後、脇に縫い目のないコットンシームレスの新アイテムを手掛けたいそう。完成が待ち遠しいですね。

*国内で取り扱いのある商品に関しては、下記にお問い合わせください。

問い合わせ先

ワコール お客様センター

TEL:0120-307-056

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この記事の執筆者
文化服装学院卒業後、流通業界で販売促進、広報、店舗開発を約10年経験した後、フリーランスとして独立。下着通販カタログの商品企画などを経て、現在はランジェリーを中心に、雑誌、新聞、ウェブサイトなどで執筆・編集を行なう。モットーは「ラグジュアリーからプチプラまで」。国内外の展示会・店舗を幅広く取材する。
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WRITING :
川原好恵
EDIT :
石原あや乃