「解す」「解れる」…「解」には意外な読み方の正解がいっぱい!

「解」という字の読み方は、たくさんの正解があるのです!
「解」という字の読み方は、たくさんの正解があるのです!

「二十四節季」という、季節を表す暦(こよみ)、ご存知ですよね?

たとえば、2月4日から2月19日は「立春(りっしゅん)…寒さも峠を超え、春の気配が感じられる時期」になります。現代でも手紙の書き出しに、この二十四節季を用いて「立春の候」と始める文化がありますよね?

明日・2月19日から、二十四節季が「雨水(うすい)」に入ります。雨というと6月の梅雨を連想しがちですが、2月のこの時期は「陽気がよくなり、雪や氷が解けて水になり、雪は雨に変わる」ので「雨水」というわけです。

「雪解け」という表現で気になるのは、雪を「溶ける」という漢字ではなく「解ける」と書く点です。

「溶ける」は、物体が液体などに溶けこむ、または液体化すること。

「解ける」は、出題された問題などが解けること。

というイメージがありませんか? そのセオリーで行くと、雪は「溶ける」ではないのかしら?と感じます。

この疑問を解くため、今回は「解」という漢字の、意外な読み仮名をクイズでおさらいして参りましょう。

【問題1】「解す」ってなんと読む?

「解す」という日本語の、「かいす」以外の読み方をお答えください。

ヒント:<使用例>「ジュエリーケースの中でネックレスのチェーンが絡まってしまって、解すのに手間取ったわ」

「○○す」と、読み仮名2文字です。
「○○す」と、読み仮名2文字です。

さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

 

 

正解は… 解(ほぐ)す です。

この漢字で書くのですね!納得ですが、見落としていた方が多いのでは?
この漢字で書くのですね!納得ですが、見落としていた方が多いのでは?

「解(ほぐ)す」という言葉には、「結んであったり、塊状であったものを、ゆるめて離す」という意味があります。これの受動態が「解(ほぐ)れる」になります。

さて、「解れる」という表記は「ほぐれる」のほか、もうひとつの読み方が存在します。

【問題2】「解れる」ってなんと読む?

「解れる」という表記の、「ほぐれる」以外の読み方をお答えください。

ヒント:<使用例>「お気に入りのセーターなのに、袖をひっかけて、少し解れてしまったの」

「○○れる」と読み仮名2文字です。
「○○れる」と読み仮名2文字です。

さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出て参ります。

 

 

正解は・・・ 解(ほつ)れる です。

セーターのン解れや、スカートの裾の解れ、気づいてもショック、気づかないと恥ずかしくてショックですよね。

「解(ほつ)れる」とは、「縫い目や網目、またはきちんと束ねてあるものが、ほどけて乱れる」という意味です。

「解」という漢字には、実は6通りもの訓読みがあるのです。まとめると、以下の通り。

1:「ほぐ」…解(ほぐ)す・解(ほぐ)れる
2:「ほつ」…解(ほつ)れる
3:「と」…解(と)く・解(と)ける・解(と)かす
4:「ほど」…解(ほど)く・解(ほど)ける
5:「さと」…解(さと)る
6:「わか」…解(わか)る

ひとつの漢字で、「答えを得る」「規制が解除される」「わだかまりが消える」「ゆるんで離れる」という、主に4系統の似て非なる意味をカバーしているのです。

ここで冒頭の「雪解け」はなぜ「溶ける」ではなく「解ける」なのか?という話題に戻ります。

「雪解け」は、雪を作為的に「溶かす」ものではなく、

自然現象として「ゆるんで離れる」ものである、ゆえに「解(と)ける」である、という考え方なのです。

「雪解け」という表現ひとつとっても、日本語らしい、繊細な考え方が反映されているのですね。

本日は、二十四節季「雨水(うすい)」にちなんで、「解」という漢字を深掘りし、

・解(ほぐ)す

・解(ほつ)れる

という、見落としがちな読み仮名をピックアップしました。

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小出 真朱