健康維持や美容のために、日頃から意識的にフルーツを摂取するという方も多いはず。新鮮なうちに食べなければ良い栄養素も取れないのでは?という疑問もありますが、返って、冷凍保存されている方が高い栄養素を持つものもあるようです。

その一つが、ブルーベリー。知られざるブルーベリーの効能効果について、管理栄養士の柴田真希さんにお話を伺いました。

 
柴田真希さん
管理栄養士
(しばた まき)(株)エミッシュ代表取締役。一般社団法人 日本スーパーフード協会アドバイザー。女子栄養大学短期大学部卒業後、給食管理、栄養カウンセリング、食品の企画・開発・営業などの業務に携わり、独立。現在はお料理コーナーの番組出演をはじめ、各種出版・WEB媒体にレシピ・コラムを掲載する他、食品メーカーや飲食店のメニュー開発、プロデュースなどを手がける。

ブルーベリーがスーパーフードと呼ばれる所以とは?

スーパーフード_1
ビタミンやポリフェノール以外にも、豊富な栄養素を摂取できる。

ブルーベリーは、ツツジ科のスノキ属の小果樹で、その果実が濃い青紫色(ブルー)に熟すことからブルーベリーと呼ばれています。欧米では昔から、野生のブルーベリー果実を摘んで食用にしていたそうです。

20世紀初めより、アメリカやカナダ原産の種類から品種改良が始められ、今日では世界の温帯圏で広く栽培される果樹になっています

「ブルーベリーは、北米ではスーパーフードとして広く認知されており、その栄養価の高さが注目されています。ビタミンC・E、亜鉛・マンガンが豊富に含まれ、食物繊維量はフルーツ類のなかではトップクラスと言われます。抗酸化成分のアントシアニンが、非常に多く含まれていることも特長です。

ブルーベリーは、目に良い果実とされるのも、このアントシアニンが目の働きをよくする機能があるためと言われています。また、脂肪分がほとんど含まれず、低カロリーなヘルシー食材でもあります」(柴田さん)

■高い栄養価で驚きの健康効果があり

スーパーフードとして認知されている北米では、ブルーベリーがもつ健康効果に関して研究が盛んです。シルバーバレーファーム社が提供するカナダ産ブルーベリーも、多くの研究が進められています。

「効果の多くは、ブルーベリーに豊富に含まれたアントシアニンによるものと考えられています。アントシアニンは活性酸素の働きをおさえ、強い抗酸化作用があり、美容、ガンや脳卒中などの生活習慣病にも有効です。

また、初期認知症高齢者患者を対象にカナダ産ブルーベリー果汁を摂取させた検証*、学習能力、単語想起能力ならびにうつ症状の緩和が見られたことから、カナダ産ブルーベリーは認知症予防効果が期待されています。

そして、食物繊維も豊富です。アントシアニンとプロアントシアニジンの混合物は、腸内細菌のうち 悪玉菌とされるO157などに対する抗菌作用を持つことから、腸内環境を整える働きが期待されます」(柴田さん)

*出展「脳機能」Eur J Nutr. 2018 Apr;57(3):1169-1180. doi: 10.1007/s00394-017-1400-8. Epub 2017 Mar 10.Dietary blueberry improves cognition among older adults in a randomized, double-blind, placebo-controlled trial.https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28283823 

【ブルーベリーの栄養価】
・エネルギー      51kcal
・たんぱく質      0.4g
・脂質   0.6g
・炭水化物        12.2g
・食物繊維         2.7g
・カリウム        54mg
・鉄       0.2g
・ビタミンB1    0.03mg
・ビタミンB2    0.04mg
・ビタミンB6    0.06mg
・ビタミンE 0.5mg
・アントシアニン           

USDA  National Nutrient Database for Standard Reference

■花粉症対策のニュースタンダードに!?

腸内環境を整えることで、アレルギー症状を緩和させる。
腸内環境を整えることで、アレルギー症状を緩和させる。

プルーベリーには、ポリフェノールの一種である「アントシアニン」が豊富に含まれています。ブルーベリーのアントシアニン入りの餌を与えたマウスと、通常の餌を与えたマウスとを比較した際、アレルギー症状の原因物質であるヒスタミンの量が減少するという研究**も発表されています。

これにより、ブルーベリーのアントシアニンには、花粉症の症状を抑制する効果が期待されると言われています。

「体全体の免疫細胞の約60%が、腸に存在するとされています。腸内に悪玉菌が増えると、免疫機能が敏感になり、アレルギー症状を引き起こしやすくなるといわれています。

つまり、腸内環境を整えることは、アレルギーの症状を緩和させることにもつながるのです。ブルーベリーに含まれるアントシアニン、プロアントシアジニンの二つの抗酸化成分は、腸の悪玉菌に対する抗菌作用を持ち、善玉菌のエサとなる食物繊維も豊富です。

ブルーベリー100gで、2.7gの食物繊維が含まれており、これはバナナの約2.5倍の含有量ともいわれているんです。ブルーベリーの食物繊維は水溶性と不水溶性のバランスが良いため、便通改善も期待でき、腸内環境を整えてくれるのです」(柴田さん)

**千葉大学大学院 医学薬学府 創薬生命科学専攻 高齢者薬物学講座 高齢者薬剤学研究室の山本 正雄氏発表さ「アントシアニンの抗掻痒作用とサプリメントの品質評価に関する研究」

意外!フレッシュよりフローズンがベスト

手軽に一年中楽しめることも冷凍ブルーベリーの長所。
手軽に一年中楽しめることも冷凍ブルーベリーの長所。

「ブルーベリーは、様々な食べ方を楽しめるフルーツです。収穫直後から栄養価は減少していくので、収穫後、風味と栄養を逃さずすぐに冷凍するブルーベリーや乾燥等の加工品での摂取もよいでしょう。ドライフルーツやジャム、ブルーベリーエキスなど様々あります。

ブルーベリーは、主に夏に採れる農作物ですが、冷凍であれば、年間通して栄養価をしっかり得ることができます。

なかでも、上手に活用したいのが冷凍ブルーベリーです。冷凍技術の発達で、収穫直後に短時間で冷凍することができるようになり、おいしさと栄養をキープすることができるようになりました。これにより、1年中好きなときに手軽にブルーベリーを味わえます」(柴田さん)

カナダのブルーベリー生産最大手のひとつ、シルバーバレーファーム社の所有地であるブリティッシュ・コロンビア州のブルーベリー協会の報告によると、収穫後すぐに冷凍したブルーベリーは、栄養価がキープされ、抗酸化物質の減少が少ないそうです。

ブルーベリーと栄養に関する研究***により、ブルーベリーは収穫後すぐに冷凍されるため、酸化防止剤が関係する新鮮なものと同等であることが示されています。1、3、5か月間冷凍されたブルーベリーのアントシアニン含有量を分析した結果、新鮮なベリーと比較してそれぞれ抗酸化物質の減少がないことが発見されています。

ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、食物繊維の濃度が、同程度またはそれ以上であることも併せて発見されました。

つまり、冷凍ブルーベリーと生果を比較した際、栄養成分は数ヶ月以上冷凍保存しても、生果と同程度キープ、もしくは増加するものもあることがわかったのです。生の作物は、時間とともに鮮度が落ちますが、冷凍だと比較的キープできる上、生の状態より長い時間保管もできます。

シルバーバレーファーム社では、収穫後、機械で選別し、さらに目視検査後、洗浄工程を経て、最新の冷凍技術を用いた「IQFトンネル」で15分程度という時間で急速冷凍します。そのため、旬の風味と栄養を逃さず、開封してそのまま食べることができるのも冷凍ブルーベリーの魅力と言えます。

***2014年発表 米ダコタ大学「Freezing blueberries improves antioxidant availability」

■見習いたい、カナダ西海岸のブルーベリーライフ

バンクーバーがあるブリティッシュコロンビア州と隣のアルバータ州を合わせたブルーベリーの消費量は、カナダ全体や米国西海岸の平均消費量の2倍、米国全体平均の4倍に相当するのだとか。ブルーベリーがいかに日常生活に根付き、人気のあるフルーツであることがうかがえます。

ブルーベリーは、北米で農作物として流通するようになってから100年ほどだそうです。健康食材としては30年程前から認知され、90年代半ばから冷凍技術が発達し、栄養価の高さや抗酸化作用などの効能も知られるようになりました。

皮をむいたり、切ったりする必要もなく、手軽に食べられるという点も、忙しい現代にフィットしたようです。簡単においしく、ヘルシーな食材として、カナダ西海岸で愛され続けているブルーベリー。日本でも美容感度の高い女性たちは、すでに取り入れているようですね!

「バンクーバーは、全体的に健康志向の高いヘルスコンシャスな街で、100%食物由来のヴィーガンメニューが、店内トップ5に入る人気メニューのあるお店なども主流です。ブルーベリーも、健康的な食材としてたくさんメニューに取り入れられています。

味に変化が出るため、シーフードともマッチします。甘いものにも食事にも使えるオールマイティーな食材なので、バンクーバーではサラダに用いたり、肉料理のソースにしたりと、新しく多様な使い方が広がり、クリエイティブな食材として支持されています」(柴田さん)

■おすすめのブルーベリー摂取法とは?

ヨーグルトと合わせることで花粉症対策にも!
ヨーグルトと合わせることで花粉症対策にも!

先述にもあったように、冷凍ブルーベリーは手軽で美味しく栄養が取れるとのことなので、冷凍庫に常備しておいて日々の食事やデザートに取り入れるのもいいでしょう。アントシアニンを1日40g(ブルーベリー換算約20~30粒)摂取すると、アントシアニンの効果が期待できるといわれているので、そのまま食べても良いですね。スーパーやコンビニなど身近で購入できるので、すぐ取り入れられます!

「特に、今の時期だと花粉症対策にもなります。おすすめの食べ方は、ヨーグルトと合わせることです。これは、それぞれの食材の相乗効果を得やすくなります。ヨーグルトの乳酸菌は腸内で善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。ブルーベリーの食物繊維は乳酸菌のエサとなり、これらの働きを助けます。

さらに、ここにハチミツを入れるのがおすすめです! ハチミツに含まれるオリゴ糖も乳酸菌の働きサポートをしてくれるので是非一緒に取り入れましょう。

腸内環境維持のためには、継続的に摂取することが大切です。ブルーベリーのアントシアニンは、24時間で効力が消失してしまうともいわれているので、毎日摂取することでアントシアニンによる花粉症緩和効果も期待できます」(柴田さん)

***

いかがでしたか。栄養素が落ちにくく、皮の組織が壊れて栄養が吸収されやすいとされるので、皮ごとそのまま食べることが推奨されるブルーベリー。種もないので手間なくさっと食べられますね! ドリンクやソースなど、毎日の食事やおやつにブルーベリーを取り入れてみてはいかがでしょうか?

問い合わせ先

シルバーバレーファーム

この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
Sachi Tamura