正直いって自分の趣味が悪いと思ってたら、ファッションエディターなんてやってられません。

ただ僕の格好を見て「ウワッ」と思う方がおられることはよ〜〜く承知しておりますよ。いくら変な服を着てたって、意外と客観性はあるんですから、これでも・・・。

しか〜し!!バッグの趣味が悪いとだけは言わせない。大学生のころからフェリージやら、シュレジンジャーのバッグを使っていた私は、値段の多寡にかかわらずバッグだけはいいモノに触れてきたきた自負があるんですよね。

そんな僕のたどり着いた「本物」のバッグ選びのキーワードは、以下の3つ。

ひと〜つ、つくりはプリミティブ(安っぽい合金パーツ不要論者)であること。

ふた〜つ、使うほどに味が出ること(ダラッとした革はダメね)。

みっつ、どこかのブランドに過度に影響されていないこと(要するにパチモンじゃない)。

という観点で今世の中を見回すと、意外と「本物」って少ないんですよね(あ、もちろんメンズプレシャスに掲載されているバッグは別ですよ)。それだけに突き詰めていくとどうしてもヴィンテージものに惹かれてしまうのも、また事実。昔の革っていいもんなあ・・・。

そこで今回は、僕が集めてきたヨダレものの逸品をご紹介いたしましょう。

1.グッチのバンブーブリーフ

90年代にグッチがつくっていたブリーフケース。アイコンのバンブーハンドルに加え、素材がチンギアーレ(猪)もしくはピッグという点に、いかにもフィレンツェらしい郷愁が漂っています。

こんなブリーフなら堅苦しくないから、カジュアルな着こなしにもよく似合うんですよね。今やモードの先端をゆくグッチですが、昔はこういう「いい意味で」オジさんっぽいレザーアイテムをよくつくっていましたね。懐かしいなあ。

2.ジェイエムウエストンの巾着型ショルダー

こちらはレディスでよく見る巾着型ショルダーなのですが、あのウエストンがつくればそんじょそこらのバッグじゃ終わらない。んなんとバッグの底がシューズに使われるカッチカチのレザーソールであり、しかもシューズと同じグッドイヤーウエルト製法で底付けされているのだ!

こりゃすごい! ジャパン社の社長さんに見せたら滅茶苦茶驚かれたこの珍品、出自等は不明です。底面をボディに沿うように湾曲させるなど、随所に面白い意匠が施されております。

3.サイレントピープルのショルダー

数年前にミラノの展示会「ホワイト」に出展していた、サイレントピープルというボローニャのブランドのバッグ。そのテーマは「リメイク」で、このバッグも古着の革ジャンやベルト、そして●●●のトレンチコートを解体してつくられたものです。

ボタンを留めたトレンチを二つ折りにしてハンドルを付けたような、とってもユニークなデザインは、今でも惚れ惚れしちゃいますね。昔僕の母上がはき古したジーパンをトートバッグにリメイクしていたのを思い出すなあ・・・。

皮革産業が盛んで、古着の革製品が手に入りやすいボローニャという都市ならではのバッグです。なんでも諸事情につき(笑)日本ではほとんど販売されなかった曰くつき、今でも本国にはあるのかなあ?

4.エルメスのサドルバッグ

こちらはエルメスの「サコッシュプールセル」というバッグ。馬の鞍を彷彿とさせる曲線美を生かしたデザインに、取り外し可能のハンドルが付いており、肩がけにもワンショルダーリュックにも・・・というシロモノです。

いわゆるサドルレザーとピッグスキンのコンビネーションといい、味わい深いサドルステッチやコバの磨きといい、今時のエルメスではめずらしい、質実剛健なムードが魅力。エルメスが誇る馬具製造の技術がふんだんに盛り込まれた一品ですね。

ちなみに最近のエルメスはシュリンクレザーが主流になっていますから、こういったスムースタイプのレザーバッグは非常に稀少ですよ!

僕もお店で見つけたら、女房を質に入れてでも買う所存であります。

5.エルメスのオータクロア

これは問答無用でしょう、なヴィンテージ「オータクロア」。

かつてとあるガレージセールで、破格で購入したものです。分厚い型押しレザーといい真鍮製の金具といい、正直言って死ぬほど重たいのですが、このオーラは他には換えられませんね!もはやレザーは銀面が擦れてボロッボロ。

「いい味」で済ませられるレベルを通りこしちゃってるのですが、僕が買うならこれくらいが丁度いいってもの。エコノミークラス&やっすいホテルで旅する僕のような男にとっては、新品のオータクロアなんて分不相応ですからね・・・。

というわけで数寄者の皆様、いかがでしたか? 昔のバッグって最高ですね。でも誤解なきように言うと、僕は決してヴィンテージ至上主義者ではなく、今でも色々なバッグを買い漁っているのです。今回ご紹介したヴィンテージを超える新品のバッグを、いつかは手に入れたいものですね! やっぱりビスポークしかないかなあ!?

この記事の執筆者
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。