今私たちに本当に必要なのは、大量の情報を意識的に遮断して、気持ちを切り替える時間をつくることかもしれません

多くの人が、テレワークに切り替えざるを得ない状況にある昨今。仕事と日常生活を同じ空間で行うため、気持ちの切り替えがなかなか難しいなんてことはありませんか?

室内着のまま、気がつけば休憩も取らずに、会社だったらとうに帰宅しているような時間に仕事をしていたりなどしませんか?

不規則な生活は、私たちの体と心の免疫力を弱めます。そんときに手軽に取り入れられる気分転換の方法としてオススメなのは、「お抹茶」です。

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趣味で茶道を11年続けています。好きな言葉は、映画の題名にもなった「日々是好日」。

自分と向き合うひとときを、積極的につくる「お茶」の時間

茶道は、元々は武士の間で広まった文化です。明日の命もわからないなか、戦況によっては敵になるかもしれない相手と膝を突き合わせ、一杯のお茶を飲む。刀を茶室の外に置き、禅語のお軸や季節の草花の飾られた床の間を見て、どんなことに思いを馳せていたのでしょう?

異常気象や地震、昨今のコロナウィルスと続き、心穏やかではない日々を送る私たち。

仕事の手を休め、情報を意識的に遮断し、お抹茶を点てて味わうひとときに、窓の外の景色や自分の内側と向き合う「シン」とした時間を過ごすことで、内側から湧いてくる力を感じる心の余白が生まれるのだと思います。

難しい感じのことはさておき、フリーランスで働く私は、気分を変えたいとき、儀式のようにお抹茶をいただくことを積極的に取り入れています。

実は3つのポイント「茶筅を湿らせて柔らかくしておく」「ダマにならないように、茶こしでこす」「冷暗所で保存し、短期で使い切れる少量を都度買う」さえ押さえておけば、インスタントコーヒーを淹れるくらい簡単に、誰でもおいしく点てることができます。用意するものと点て方を、以下でご紹介いたします。

美味しいお抹茶を点てるために用意する、6つのもの

そもそもお抹茶や茶筅がどこで手に入るかわからないし、値段もいろいろあって選べませんよね。茶道の流派によって使うお茶も、茶筅も異なるのですが、好みはそのうちわかるもの。

手ごろにネットでも購入可能で、私個人が実際に使っているものをご紹介します。用意するものは6つです。

■1:お抹茶

【小倉山(30g)】【抹茶】

小山園の「小倉山」は癖がなく、香りもよく、甘い後味が特徴。お稽古でもよく使う「小倉山」は、初心者の方にも手ごろな値段でおすすめです。

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■2:茶筅

伝統工芸品の高山茶筌は、使いやすく値ごろ感があり、オススメです。

・すっきりとした味わいを大切にされたい方は、下記の茶筅がおすすめ。

黒竹 真茶筌 左文作 ¥4,000

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・ふんわりとカプチーノのようなお抹茶が好みの方は、先がクルンと丸まった茶筅がおすすめ。

八十本立 左文作 ¥3,360

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■3:茶こし

お手持ちの目の細かいもの。

■4:ティースプーン(茶杓)

■5:カフェオレボウル2個(抹茶碗)

茶筅を振りやすい広口の茶碗。

■6:お湯

80ml程度。ポットのお湯で構いません。南部鉄器やかんがあれば理想。

一人分の美味しい薄茶の点て方

1.使わない茶碗にお湯をいれて、茶筅の穂先をつけてやわらかくしておきます。

※細い茶筅の竹が折れないようにするためのひと手間

2.お茶碗に茶こしをセットしておく。

3.お抹茶を、ティースプーンに軽く一杯(約1.5〜1.7g)すくい、茶こしにいれふるう。

※ダマができないためのひと手間
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柳宗理さんのティースプーンなら9分目程度

4.お湯を70〜80ml程度注ぎ、茶筅をいれます。最初は、底の抹茶をのばすようなイメージで少しゆっくりと、次に茶筅を底から少しもち上げ、手首のスナップをきかせて上下にしっかりと振ります。

大きな泡が細かくなってきたら、ひらがなの「の」の字を書くように動かし、静かに茶筅を上げます。

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好みにもよりますが、私は上下往復40回程度です。
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私の好みはこの程度の泡ですが、フワフワもおいしいです。
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仕事前は、金平糖など小さなお菓子に。休憩のときは、和菓子もいいですよね。

薄茶以外の楽しみ方

■1:抹茶ラテ

点て方のお湯を、ホットミルクにかえ、お好みで甘みを足してもおいしいです。

■2:抹茶塩

1:1で、好みのお塩と抹茶をまぜます。スティック野菜や天ぷらなどに。

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お塩の風味や粒の大きさで、いろんなお料理に楽しめます。

■3:そのまま、バニラアイスにかけて楽しむ

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春慶塗の茶托に黒の器をのせて。

余ったら湿気のない冷暗所に保存し、早めに使い切るのがベスト

自然由来の抹茶の鮮やかな緑色は、光で退色してしまいます。開封後は湿気のない冷暗所で保存し、短期間に使い切ることがおすすめです。

冷凍庫で保存する場合は、必ず密封すること、また常温に戻してから開封すること。空気中の水分を吸って結露してしまうので、取り扱いに注意が必要となります。

少量を購入して、おいしいうちに使い切るのがベストです。


和のものは、不思議と心落ち着く効果があり、手持ちの食器の新しい組み合わせを楽しむきっかけにもなります。ぜひ、皆さんも毎日の生活に、お抹茶を気軽に取り入れてみてはいかがでしょうか?

この記事の執筆者
イデーに5年間(1997年~2002年)所属し、定番家具の開発や「東京デザイナーズブロック2001」の実行委員長、ロンドン・ミラノ・NYで発表されたブランド「SPUTNIK」の立ち上げに関わる。 2012年より「Design life with kids interior workshop」主宰。モンテッソーリ教育の視点を取り入れた、自身デザインの、“時計の読めない子が読みたくなる”アナログ時計『fun pun clock(ふんぷんクロック)』が、グッドデザイン賞2017を受賞。現在は、フリーランスのデザイナー・インテリアエディターとして「豊かな暮らし」について、プロダクトやコーディネート、ライティングを通して情報発信をしている。
公式サイト:YOKODOBASHI.COM