世界中で新型コロナウィルスの感染拡大により、不安な状況が続いています。見えない脅威に揺れる世界の都市のなかでも、ニューヨーク州は、東京都と感染者数の推移が似ていると言われ、今後起こりうる事態に備えるためにも、その動向に注目している人も多いかもしれません。

そんなニューヨークで今、支持率が急上昇し、「ヒーロー」とまで呼ばれているのが、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事(民主党)です。

ニューヨーカーの約9割が危機管理能力を評価!その理由とは?

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新型コロナウィルス対応で株が急上昇!高い危機管理能力が評価される、アンドリュー・クオモN.Y.州知事。

2020年3月30日(月)に、シエナ大学研究所が公表した、3月の世論調査結果によると、回答者の87%がクオモ州知事の新型コロナ対応を支持、と約9割のニューヨーカーが、彼のパンデミックへの対応を好評価しています。総じて、知事を好意的にみるニューヨーカーの数は2月の44%から、3月には71%に急上昇しました(※1)。

その圧倒的な支持を得ているひとつの理由と言えるのが、毎日生中継される記者会見です。

新型コロナウィルスについて、州民への具体的な要請、最新情報を明確なメッセージで送り、そのリーダーシップを評価するニューヨーカーが続出中。アメリカ人だけでなく、ニューヨーク在住の著名な日本人ライターや、先日N.Y.レポートに登場してくれたニューヨーク在住の会社員・斯波雅子さんも「大体午前中に今のニューヨーカーのヒーロー、クオモNY州知事のDaily briefingがあるので、祈るような気持ちでそれをオンラインで見ます」と語っていました。

在ニューヨーク日本国総領事館も、N.Y.在住の日本人に向け、毎日のようにクオモ知事のメッセージを要約、日本語に翻訳してメール配信しているほど、注目を集めています。

大統領選候補として急浮上、といった報道もあり。また、トランプ大統領がニューヨーク州などを事実上封鎖する措置を検討していた際は(現状は物流、医療関連、金融サービス従事者に適用されるような、強制的な移動制限ではありません)、「宣戦布告だ」と反発。

「私の唯一の目標は、大統領とパートナーシップを組むことです」と語り、政治的ではなく、良心としてみせるリーダーシップが、不安な状況下にあるニューヨーカーの救いになっているようです。

アメリカ全体の新型コロナウィルス感染の、40%以上を占めているというニューヨーク州。危機が深刻化するなかで、ニューヨーカー達が心から信頼し、応援できるリーダーを求めている、とも言えますよね。

無自覚な若者への苦悩も。クオモN.Y.州知事は人間味あるリーダー!

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2020年4月1日(水)、ニューヨーク市のすべての公園が閉鎖に。要請にも関わらず、若者が集まるのを防ぐため。

自宅待機を余儀なくされるなか、子供達、そしてきっと親たちにとっても発散場所であったプレイグラウンドも封鎖され、かつて「眠らない街」と言われたニューヨークが、ゴーストタウン化している現在。

具体的な予測や、実質的なアドバイスは、感染リスクへの過信や、逆に、過剰に不安を煽ることを回避し、現状をただしく把握する上で、必要不可欠です。

クオモN.Y.州知事の会見は、「今ここにある危機」を明瞭に示し、情報を羅列するだけでなく、コメントしてくれるので、それが良いことなのか悪いことなのか、一般市民も理解しやすいところが評価されているポイントとも言えます。

ツイッターでも頻繁に最新情報をツイート

自分のメッセージがうまく伝わっていない現状に苦悩するツイートも。そんなところが人間味があって親しみやすく、「私たちのヒーロー!」と言われる所以かもしれません。

全米が注目する記者会見。忖度ない、直近5日間のメッセージ

クオモN.Y.州知事が記者会見で発信した、直近5日間のメッセージの一部は以下の通りです(※2)。

■1:2020年3月28日(土)

今後14日から21日で感染のピークを迎える見込みであり,今から備えることが重要です。また,これは短距離走ではなく,マラソンであり、破壊的で、突発的で、ショッキングであるが、長期間にわたり対処する必要があります。

(They still forecast the apex to be 14-21 days.This is not a sprint, my friends, this is a marathon. You have to gauge yourself. You have to understand that this is going to be a long-term situation, and even though it's so disruptive, and so abrupt, and so shocking, it's also long-term)

■2:2020年3月29日(日)

このウイルスと戦うのにニューヨークよりも準備が整っており、人員が動員されている州はありません。

(There is no state in the nation that is better prepared or better mobilized to combat this virus than New York)

■3:2020年3月30日(月)

この闘いの最前線は医療現場です。それは、都市全体、州全体、そしてこの国全体の病院になるでしょう。それらが闘いの場なんです。とてもシンプルなことですが、まずは医療制度を崩壊させないこと。この闘いの兵士は医療従事者です。それは医者であり、看護師であり、病院で働く人々であります。彼らは私たちのためにこの闘いを戦っている兵士です。

(The frontline battle is in the health care system. The frontline battle is going to be hospitals across the city, across the state, and across this nation. That is where this battle is fought. It is that simple... don't let the hospital system get overwhelmed. The soldiers in this fight are the health care professionals. It's the doctors, it's the nurses, it's the people working in the hospitals, it's the aides. They are the soldiers who are fighting this battle for us)

これは数週間続き、本当に危険な状況に人々は遭遇します。誰がウイルスに感染するか、家に持ち帰るかはわかりません。多くの人が亡くなっており、これは数週間続くでしょう。

(This will go on for weeks and you have people showing up into really dangerous situations. They don't know if they're going to contract the virus, if they're going to bring it home. Many people are dying and this is going to go on for weeks)

■4:2020年3月31日(火)

2つのミッションを設定しました。 1つは病院、 2つ目は個人の責任です。個人の責任とは自覚です。それは自己中心的にならず、情報を収集すること。基本は家にいること。私は家にいるのが難しいことを知っています。そして皆さんが、私はスーパーヒーローだから、外出できて、感染しないと思っているかもしれませんが、それは真実ではありません。

(We set two missions. One was hospitals. Second was individual responsibility. The individual responsibility is about discipline. It's about selflessness and being informed. The basic point is stay at home. Stay at home. I know it's hard to stay at home and I know everyone thinks, you know, I can go out, I can be smart, and I won't get infected because it's me. I'm a superhero. It's not going to be me. That is not true)

■5:2020年4月1日(水)

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感染を防ぐため「ソーシャル・ディスタンスは1.8メートル」がすでに常識です。

私はこれについて何週間かお伝えしてましたよね。人と集まったり、ゲームをしたりするのをやめなければーー、バスケットボールはできませんし、人との接触もダメなんです、プレイグラウンドを閉じことになると、警告していました。

(I’ve talked about this for weeks. I warned people that if they didn't stop the density and the games in the playgrounds - you can't play basketball; you can't come in contact with each other - that we would close the playgrounds)

※上記の日本語文はPrecious.jp編集部による意訳です。

ときにはニューヨーカーを讃え、ときには鼓舞し、また、自分も決して特別でないと主張。一人ひとりの自覚と協力を求めていく姿勢は、日本在住者にも訴えるものがあります。


あのメラニア・トランプさん(トランプ大統領夫人)も、こっそりクオモN.Y.州知事の会見を見ている(※3)、なんて記事もあって、不安を抱えるニューヨーカー達の絶大な心の支えになっているのは確かなようです。

まだまだ無自覚な人が多く、楽観的な解釈をしかねない政府の発言も続く日本において、ニューヨーカーのヒーローのメッセージはとても参考になります。

誰もまだ免疫がないうえに、分け隔てなく感染の恐れがあるこのウイルスについて、他人事とせず、注意深く生活を続けていきたいものですね。

この記事の執筆者
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PHOTO :
AFLO
WRITING :
神田朝子