外出禁止中のニューヨークで暮らすシンガーソングライター・AKさんに聞いた「一日一度、みんなが繋がる瞬間」

世界中で新型コロナウイルスの感染拡大により、不安な状況が続いています。各都市の状況は異なりますが、別の場所に生きる人々の経験をシェアすることが教訓となり、今後の対策として活かせることも。

そこで本記事では、1回目2回目4回目のニューヨーク、3回目のロサンゼルスに続き、2020年3月22日(日)より「N.Y. PAUSE(不必要な外出禁止)」が発動され、外出禁止が続く米国・ニューヨーク在住のシンガーソングライター、AK Akemi Kakiharaさんに、以下の3点について伺いました。

Q1:深刻さや危機感が尋常でない、N.Y.の現状

Q2:ストレスを回避する、おうち時間の過ごしかた

Q3:命をかけて働く人たちへの感謝と、一日一度、みんなが繋がる瞬間

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「柿原朱美」名義で日本でデビュー。数多くのシンガーに楽曲を提供し、トップアーティストとしての地位を確立。14枚のオリジナルアルバムリリース、アーティスト名を「AK」としたのちは、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨークなどワールドワイドに制作活動を行い、2001年に全米デビュー。『Say That You Love Me』は世界中で1位にチャートイン。現在、活動の拠点とするN.Y.に、911米国同時多発テロの前日に移住したというAKさん。

日本でも深刻さが増すなか、外出禁止のニューヨーク在住、シンガーソングライターの現地レポート、ぜひ今後のためにも参考にしてみてください。

■1:尋常じゃない危機感。完全に外出禁止で過ごす日々

「NYでは外出禁止で違反すると、$500だったのが$1,000へ変わり、さらに厳しくなっていますが、あまりに多くの方が毎日(新型コロナウイルスの)犠牲となられていて。

その中の多くの方々が、フロントラインで、エッセンシャルワーカーとして働かれている、看護師、ドクター、病院、スーパー、デリバリー、地下鉄、バス、清掃、警官、消防士などで、胸が痛い毎日です。外に出ないことで、誰かの命が助かるならーー、と完全に外出禁止で過ごしています」

エレベーターに乗るのはひとりずつ。ビル内でもマスク着用

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郵便配達員も現在はマスクと手袋着用でルートをこなしています。

「外出を控えて、ちょうど1か月が経過しました。深刻さや危機感は尋常ではなく、私の住んでいるアパートは高層ビルで、多くの人が住んでいるため、エレベーターはひとりしか乗ってはいけなくて、ビル内でもマスクをするように、というお知らせが届いています。

もちろん、部屋を一歩でも出るときは、マスクと手袋をしています。一階に特設されたテーブルに、届いたパッケージなどがドロップされ、その後、各自が一階まで取りに行きますが、配達の人たちとの接触はありません。ドアマンもしっかりマスクと手袋をしていて、接触しないようになっています。

届いた食材やパッケージなどは、まずビニール袋などに入っている物は手袋で開けて、取り出した中身は拭いたり洗ったりし、紙のパッケージなどの箱や郵便は、一日は放置してから開けるようにしています。プラスチックや金属のものは、使う前に3日以上は放置しています」

外で集う人たち。命をかけて働く人たちを思い出して

「晴れのよいお天気の日には、窓の外を見ると、何人かで集まっている人たちを見かけるのですが、エッセンシャルワーカーの人たちを思うと、胸が痛くなります。確かにこれだけの長期間(まだ1か月ですが)、外出できないこと、人に会えないことが、どれだけストレスで辛いことか、誰もが気持ちは同じだと思います。

でも命をかけて働かれている方々のためにも、今はみんなで心をひとつにして協力して助け合って『外出しないことが人の命を救う』を思い出して、自分にできることで協力したいと思います」

■2:日中はテレビを消して、リラックス。家族との新しいルーティーンも

「普段から、仕事も自宅スタジオでレコーディングをすることも多いため、この外出禁止期間を『音楽の制作に集中するべき』、と自分に言い聞かせているところです。

あまりに刻々と変化するニュースが気になるのですが、ニュースを見過ぎることは、精神的に知らない間にストレスとなっている気がするので、日中はテレビを消して、なるべく気持ちをリラックスさせる時間をつくるように、心がけています。

大変な状況ですが、ひとつよいことは、車が少ないぶん、空気がきれいになっていると思います。外に出られない今、窓を開けて、新鮮な空気で深呼吸すると、春の風が今まで感じたことがないほど、うれしいです」

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春の日差しに、セントラルパークで、ソーシャルディスタンスを取りながらも寛ぐ人たち。

「お部屋の中には、いくつかプランターの緑があるのですが、『空気を浄化してくれていて、ありがとう!』と呼びかけています(笑)。緑はとってもリラックスできるので、おすすめです。

実は、普段であればツアーが多いDJの私のハズバンドと、ずっと一緒に過ごせるということも、とても稀で貴重な時間なので、『こんなことはなかなかない』と、一緒にいられる時間を感謝して過ごしています。

体をできるだけ動かすためにも、ストレッチや軽いワークアウトのYouTubeを観ながら、一緒に並んで体操。これも今までにはなかったルーティーンで楽しい。

お料理をつくることが音楽の次に好きなので、今まで作りたくてなかなかできなかったような、手のこんだものにもトライ。そんなことができるのも、すべてエッセンシャルワーカーの人たちのおかげです……。感謝」

■3:エッセンシャルワーカーへ大声援を贈る瞬間。一日に一度、ひとと繋がる喜びも

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19:00、エッセンシャルワーカーへの拍手と声援を贈る、ニューヨーカーたち。

「N.Y.の街はまるで映画のセットのようですが、毎日夜7時になると、窓の外は拍手と喝采の嵐。ニューヨーク中がみんなで、最前線のエッセンシャルワーカーの方々へ、感謝とリスペクトを込めて、大声援を贈っています。

私の家の前はイーストリバーですが、近隣の喝采だけでなく、川を越えてマンハッタン中からの大声援が鳴り響いて聞こえるほどなんです。まるで地上のみんなが一斉に声を出しているよう。まさにそうなんですが(笑)。

声援を贈る時に、みんなと一体感を感じられるのも、誰とも会えない今、一日に一度だけでもライブでみんなで繋がれる一体感の喜びもある気がします。

看護師、ドクター、病院、スーパーマーケット、デリバリーサービス、警官、消防士、薬局、郵便配達、地下鉄、ゴミの清掃、老人介護施設の方々、その他すべてのエッセンシャルワーカーのみなさんが、命がけで毎日働かれているおかげで、多くの命が救われ、私達は守られて、こうして乗り越えていけるのです。

言葉では言い表せないほどーー、どれだけ感謝しても感謝しきれません。本当にありがとうございます。みなさんこそが本物のスーパーヒーローです!


以上、ニューヨークに暮らす、シンガーソングライターのAKさんのレポートでした。

「N.Y.のクオモ知事が随分前から『オーバーリアクトしてほしい』と呼びかけていましたが、それでもこの状況ーー。どれほど気をつけても足らないほどの猛威、『あなどってはいけない』と自分にも言い聞かせています」と語るAKさん。

確かにアメリカは、最初から白黒ハッキリとした大胆な対策をとり、日本はグレーから徐々に始める傾向があるようにも、まったくの私見ですが、感じます。時間の問題でもある新型コロナウイルスとの闘い、この両国の違いを心に留め、それぞれの良いとこ取りをしたいものです。

 

10年ほど前に公開された映画『Contagion(コンテイジョン)』。「信じられないほど完全な予言&ミラーイメージで、今の現象です」とAKさん。映画の中には、いま学んでおきたい情報が、たくさん盛り込まれています。

4月11日のクオモN.Y.州知事の会見によると「現在の状況は、英国の故チャーチル首相の言葉を引用すれば「せいぜい『おそらく始まりの終わり』に過ぎない(Now this is not the end. It is not even the beginning of the end. But it is, perhaps, the end of the beginning)」のだとか。

引き続き,緩むことなく、感染拡大防止措置のための行動を継続していきたいものです。

長期化するにつれ、思ったように動けず、ストレスや不安な思いがつのりますが、世界中の人が苦しい状況下で同じように過ごしていることを知り、ぜひ今後の参考にしてみてください。

この記事の執筆者
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PHOTO :
AFLO
WRITING :
神田朝子