今月のアスリート王子:羽根田卓也選手(32歳)…カヌー選手

羽根田選手①
©YUTAKA/アフロスポーツ

どんなピンチにも対応できるニュータイプのイケメン、羽根田卓也の人間力にときめく!

新型コロナウイルス問題により、イケメンの定義が変化したと感じるようになっている今日このごろ。「有事に強い」という項目を新たに加えた女性は多いだろう。

「はねたく」の愛称で知られる羽根田卓也選手は、リオデジャネイロ五輪のカヌー・スラローム男子カナディアンシングルで、アジア人初となる銅メダルを獲得した世界的カヌーイスト。そして、最新のイケメン定義をフルに満たす、有事に頼れること間違いなしのアスリートだ。

コロナ禍で通常の練習環境を失ってしまった、4月1日のことだった。羽根田選手がTwitterやInstagramで「#コロナに負けるな」「#自宅トレーニング」とハッシュタグをつけて投稿したトレーニング動画が、「涙ぐましい」と話題になった。湯船に水を張ってパドルで漕ぐシュールな動画は評判を呼び、再生回数は約10万回。3月に投稿した雑巾がけの要領で体幹を鍛える動画も大人気で、再生回数は18万回を超えている。

羽根田選手②
©YUTAKA/アフロスポーツ

多才な人だ。SNSの動画ではスケート、トランポリン、ギター、カメラなどを器用に扱っているほか、中には水面上に浮遊する不思議な画像も。高校時代にハマりだした筋トレで鍛え抜いたボディは見目麗しく、自慢のパーツは「広背筋や腹斜筋」と言うのだからシブい。

どんなピンチにも対応できる人間力を育んだのは、高校卒業後に単身で渡ったカヌーの本場・スロバキアだろう。

スロバキア語は発音や単語が難しく、最初の数年間はコミュニティの輪に入っていけなかったというが、メモ帳を持ち歩くなど地道な努力を積み重ねて、独学でスロバキア語を習得。同国最古の大学であり、チェコスロバキア時代を含む、歴代の首相を数多く輩出している難関のコメニウス大学に入学し、2016年に同大学院を修了した。

リオデジャネイロ五輪で銅メダルを獲得した後は、スロバキアテレビのトーク番組にゲスト出演し、人気MCとのユーモアを交えたトークで収録現場を沸かせていた。

羽根田選手③
©YUTAKA/アフロスポーツ

理知的で哲学的な言葉が泉のようにわき出てくるインタビューも評判だ。ときおり浮かべるアンニュイな表情とも相まって、まるで聞き手を深淵に誘うかのよう。かと思えば、テーブルに置いてあるどら焼きを美味しそうに頬張り、「甘い物、好きです」とほほえんで場を和ませる。

カヌー・スラロームとは、急流を下りながらゲートを通過し、タイムを競う種目。数手先を読みぬく目と瞬時の判断が求められていることも、有事の強さを感じさせる要因に違いない。

東京都江戸川区にカヌー人工コースができた2019年からは、日本で過ごす日数が増えたが、今でも拠点はスロバキアにある。1年延期になった東京五輪は2021年7月に開幕する。羽根田選手の姿を見られる眼福の時間が待ち遠しい。

Athlete data

羽根田卓也選手
カヌー選手
(はねだ たくや)1987年7月17日、愛知県豊田市生まれ。7歳で器械体操を始め、カヌー選手だった父の教えにより9歳でカヌーを始める。豊田市衣丘小学校、朝日丘中学校、名鉄学園杜若高校時代の主な練習場は市内を流れる矢作川。高校卒業後にカヌー競技の強豪国であるスロバキアへ単身で渡り、以来、約15年間にわたって拠点をスロバキアに置いている。2008年の北京五輪14位、2012年のロンドン五輪7位、2016年のリオデジャネイロ五輪3位。身長175cm、体重70kg。3人兄弟の次男。ミキハウス所属。©YUTAKA/アフロスポーツ
矢内由美子さん
スポーツライター
(やない ゆみこ)取材歴25年のスポーツライター。オリンピック種目などをカバー。日本スポーツプレス協会会員。

 

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この記事の執筆者
TEXT :
Precious編集部 
BY :
『Precious6月号』小学館、2020年
美しいものこそ贅沢。新しい時代のラグジュアリー・ファッションマガジン『Precious』の編集部アカウントです。雑誌制作の過程で見つけた美しいもの、楽しいことをご紹介します。
PHOTO :
YUTAKA/アフロスポーツ
WRITING :
矢内 由美子(スポーツライター)
EDIT :
宮田典子(HATSU)、喜多容子(Precious)