おうちで芸術鑑賞!オンライン型アートイベント「つくらない都市計画」が開催中

ソーシャルディスタンスを保つ形で一部店舗の営業は再開しているものの、美術館や博物館などのアート系の再開はまだまだ先の東京。

アートから刺激や癒しをもらっている人にとっては寂しい日々が続いています。そんな現状を打破すべく、5月6日からオンライン型アートイベントが開催されています。

このオンライン型アートイベント「つくらない都市計画」を主催したのは、街づくりコンサルティングを手がけるNI-WA。登録や参加料などはすべて無料で、ガイド役のスタッフの中継動画を見ながら、アートを鑑賞するという試みです。

東京・九段下にある「kudan house」内の展示&スタッフの案内を、オンラインで拝見!

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kudan houseは地下鉄・九段下駅から少し歩いたところにある瀟洒な洋館。

会場であるkudan houseは、築93年の国の登録有形文化財「旧山口萬吉邸」をリノベーションした、会員制ビジネス拠点。3年前にオーナーから運営を委託されたNI-WAが、未来へ向けたイノベーションを生みだす拠点として、より多くの人と建物の価値を共有できるよう、さまざまな活用をしています。

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庭には左官職人さんが「街に開かれた本棚」をこれから作成。今後ここを拠点にした交流も予定されています。

「kudan houseを運営するなかで、アートや芸術といったファクターを、弊社の主力事業であるまちづくりに生かせないかと思い始めたのが、この企画のきっかけです。

これからの時代に求められる街づくりについて、アートを切り口にした新しい体験や価値を提案することで、人々のコミュニケーションにおいて、大きな影響を及ぼすのではないでしょうか」(NI-WAの高山ひろみさん)

まるでアートギャラリーにひとりで伺ったかのよう。1対1で対話でする形で「アート体験」が可能に

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スタッフの高山さんによる案内中。

本来は、実際に会場を訪れて体験する形でのアートイベントを半年前から考えていたものを、新型コロナウイルスの影響もあり、2月時点で「オンラインでどうやって行うか?」という案にシフトチェンジ。

オンラインアートサロンをやるというアイディアはもともとあったものの、急な変更と技術や予算の問題もあり、今回はスタッフによる1対1、または1対グループ中継という形に。

また、今回の展示内容は、東京大学大学院の横張真教授が提唱する「つくらない都市計画」をテーマに、「アート×街づくり」の可能性を探るというもの。

これまでの固定化されたプランによって「つくる」ことを前提に、集積・効率化された都市計画から、人が集まることによって起こる偶発性こそが、都市という空間の「間」に新たな価値を与える時代に変化。

「つくらない都市計画」とは、人々が目的・意図しない情報や人物との偶発的な遭遇を起こす場を、いかにしてつくり出し、そこから生まれる「創造」を促進するかを問う、これからの都市計画の体系であるという考えです。

アートディレクターは吉井仁実氏、ゲストアーティストは写真家・篠山紀信氏、脇田玲氏、田所淳氏、秋山ブク氏ら

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美しい造形の階段もよく見えます。

アートディレクターには吉井仁実氏、このアイディアに賛同したゲストアーティストには、写真家の篠山紀信氏をはじめ、脇田玲氏、田所淳氏、秋山ブク氏らが参加。

地下1階地上3階の4フロア構成で、フロアごとに参加アーティストが街を表現した作品が40数点、展示されています。

鑑賞の所要時間は約1時間、オンラインでの予約制で、1回の予約に対してひとり、または1グループでの案内。

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大型の作品の魅力を体感するには、スマートフォンよりもパソコンやiPadなど大き目の画面のデバイスでの利用がおすすめ。

そう、オンラインながらアートギャラリーに訪問の予約をしておき、スタッフによる詳細な説明を聞きながら、アート作品に触れられるのです。

実際にやってみると、音声の問題など課題はありますが、1対1だと「もうちょっと近くに寄ってほしい」などの要望や疑問点を投げかけたり、普段のイベント会場でのアート鑑賞だと、周囲を気にしてできないことができるのはメリット。

こんなタイミングだからこそ生まれた新しい試みですから、まずは挑戦してみてはいかがでしょうか?

積極的な質問があなたのアート体験を決める

篠山紀信氏は新作「premiere sister rina&mari」 などを出展。対象とされている女性はどこにいるのか、光も時間も取り払った状態で撮影されている作品です。未公開映像も展示されています。

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篠山紀信「premiere sister rina&mari」

脇田玲氏・吉田直嗣氏による 「枯山水」は、デジタルで枯山水を表現した作品。お台場の駐車場と龍安寺の石庭を映像で映し出し、石は陶器の壺を使って表現。

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脇田玲・吉田直嗣 「枯山水」
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田所淳 「Quartet(self-synchronized rhythm)」

作品の「見え方」を決めるのは、あなたのリクエスト次第なので、照れずに積極的に質問したりお願いをすることでより充実した時間を作り出してください。

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この記事の執筆者
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WRITING :
北本祐子
TOP画像 :
篠山紀信「premiere sister rina&mari」