開催か、中止か。混乱の末、皆無になった「記者発表会」

コロナ禍で、早い会社は2月上旬から、リモートワークが実施されました。しかし、まだその頃は、自分ごととして真剣に受け止めていた人も少なかったかもしれません。フリーランスライターとして働く私・神田朝子もそのうちの一人で、ようやく自分がその脅威の渦中にあると実感したのは、3月初旬に予定されていた記者発表会でした。

午前開催の会場に着くと参加者らしき人は居なく、受付で中止が告げられました。慌てて同日午後に予定されていた他の発表会を確認すると、そちらは実施。その後の数週間は、実施する会社、中止する会社が混在し、4月8日に発動された緊急事態宣言をもって、完全に記者発表会の予定はなくなりました。

新たなメインストリーム!「オンライン発表会」とは?

その後は展覧会のプレビューなども難しくなり、オンラインでのリサーチやインタビューが取材のメインとなりましたが、最近増えてきたのが「オンライン発表会」や、ライブ配信、ウェビナー(オンライン上で実施されるセミナー)です。

リモートワークしながら自宅から参加できるので、もちろん安全ですし、会場に足を運ぶ時間や労力を省略できます。また、開催者側にとっても会場や人材のアレンジなど、コスト面でもメリットがあると思われるオンラインイベント。場合によっては、コロナ禍が収束した後は、こちらが主流となるかもしれません。

そこで、注目の「オンライン発表会」とは、どういう始まりかたをするのか? どういう仕組みが使われるのかetc.、2020年5月12日(火)に実際にオンライン参加したばかりの電気圧力鍋『Re・De Pot(リデ ポット)』と、Amazon Fireタブレットシリーズ新製品発表会の内容を踏まえながら、「オンライン発表会の入口から出口まで」をレポートします。

じつは簡単&便利!オンライン記者発表会の5ステップ

慣れない人にとって、オンラインで参加…、と聞いただけで尻込みしてしまいそうですが、じつはとても簡単!各企業で使用するサービスは違うものの、流れや進行は共通点が多いと思われるので、5つのステップにまとめてみました。

■1:5日前にメールにて案内が届く

PR事務局よりオンライン発表会の5日前にメールにて、開催日時、URLが記載された案内が送られてきました。こちらは記者発表会のURLが掲載されている、ということ以外は、商品詳細など、通常の(オンラインでない)イベントと同様の内容。メールや電話で参加希望を提出しました。

それ以外は、事前準備は特になく、あとは当日、時間にPCの前に座り、そのURLにアクセスするだけです。

【Memo】これまでの特定の場所に集うイベントよりも短スパンでのアナウンス(従来は1か月〜2週間前くらいには招待のお知らせをいただいていました)。とはいえ、現地へ赴くわけではないので、スケジュール調整の難易度は低いです。

■2:事前準備はなし!当日は指定のURLにアクセスするだけ

「電気圧力鍋『Re・De Pot(リデ ポット)』」のオンライン記者発表会で使用されたのは、セミナー・イベントの開催・管理プラットフォーム『ネクプロ』。

リモートワーク_1,アプリ_1,stayathome_1
日本語表記です。

メールに掲載されていたURLにアクセスすると、社名や名前などを回答するページがあらわれます。

リモートワーク_2,stayathome_2,アプリ_2
開始5分前にアクセスしました。

回答を終えれば、すぐに会場の映像につながりました。

一方、同日に開催されたAmazonのオンライン発表会(Amazon Fireタブレットシリーズ新製品についてのもの)では、従量課金制のオンライン会議、チャットサービス『Amazon Chime』が使用されました。

stayathome_3,リモートワーク_3,アプリ_3
英語表記です。

事前に参加手順のPDFが届いていたので、それを参照すれば簡単!

リモートワーク_4,アプリ_4,stayathome_4
ここは重要。マイクの使用を許可しない場合、QAタイムで質問ができず、始めからChimeに入り直す必要があるのだそう。
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こちらも早めにアクセスしました。

画面右上に先ほど入力した自分の名前が表示され、無事入れました。

【Memo】『ネクプロ』も『Amazon Chime』も、参加者は『Zoom』のようにインストールする必要がないので便利。そうでなければ、PCの容量問題などで発表会の参加自体を躊躇してしまう人がいそうです。

ともに、参加への難易度は低いですが、『ネクプロ』は日本語表記で情報を入力するだけなので、より万人に易しいかもしれません。

■3:プレゼン資料の表示に個性「製品紹介」

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味も時短もデザインも!こだわりのライフスタイルをおくる、大人の女性にオススメの電気圧力鍋「Re・De Pot(リデ ポット)」

「Re・De Pot(リデ ポット)」については、主催挨拶、ブランド紹介に続いて、メインイベントである製品紹介が行われました。

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A-Stage 代表取締役社長 兼 ピクセラ 代表取締役副社長の藤岡毅さん。

こちらは、画面にモニターはひとつで、プレゼン資料はそのモニター内のディスプレイを見るスタイルで進行されていきました。

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A-Stage 取締役 兼 株式会社ピクセラ ブランドデザイン部 部長の櫻井裕太さんが大阪から参加。

東京と大阪の2拠点をつなげてライブ開催しており、途中、大阪の櫻井さんがモニター内ディスプレイに登場し、その説明に合わせて、東京会場のスタッフが商品の蓋をとってみたり、実演してくれました。ひとつの画面からさらに奥に映るプレゼン資料を見るのは、見やすさに少々難ありの印象です。

一方、Amazonのオンライン発表会で使用されたAmazon Chimeでは、プレゼン資料は共有モニターを使用して表示されます。時々画面がボケたり、フリーズしました。

【Memo】両社ともにプレゼン資料を事前に配布してくれていたので、別画面でそれを開きながら、視聴すれば、プレゼン資料の見にくさは解決しますーー、とは言え、同画面で完結してくれた方がクリックの手間が省けてありがたいなと感じました

■4:チャットを活用する「質疑応答」

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リデ ポットは、司会者が質問を読み上げ、それに応えるスタイルでした。

質問については、リデ ポットは視聴画面上のチャットツールから説明会開催中、文字ベースで常時受付。参加者は思い立ったらプレゼンの終了を待たず、質問を投げかけることができました。

Amazonでは、チャットで企業名(媒体名)と名前で申請しておき、QAタイムに、マイクのミュート(消音)を解除して音声で質問するという進行でした。

【Memo】リデ ポットは、質疑応答タイムを待たず、その場で質問できる利点がありますが、チャットに書き込む必要あり。Amazonは、QAタイムに音声で質問できるので、通常の取材スタイルに近いのはこちらかもしれません。

■5:アンケートに回答して終了!

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Amazon Chimeはクリックのみ。

オンライン発表会を締めくくるのは、ともに簡単なアンケート。その画面で終了となります。ライブ配信後、通常の記者発表会と同様に、リリースやオフィシャル素材などは、メールやオンラインでフォローしてくれました。

【Memo】アンケートに回答せず終了も可能。次の予定があったので、思わず画面を消してしまいましたが、今思えば、せっかく開催されたイベントですから、今後のためにも対応すべきでした。


以上、実際に参加したばかりの「電気圧力鍋『Re・De Pot(リデ ポット)』」と、Amazonのオンライン発表会についてのレポートでした。

オンライン発表会のメリットは、時間や現地へ赴く労力の省略、主催者側にとっては会場のアレンジ、そして両者にとって大量の紙資料からも解放される点(ペーパーレス化!)も大きいかもしれません。

一方、デメリットは、会場で感じる高揚感が薄くなるので、製品の印象がやや掴みづらいのと、やはり実物を見ていない、という点に不安が残ります。

また、これは人によると思いますが、オンラインは参加者が画面に登場することがないため、コミュニケーションが一方通行になりがちかもしれません。私などは、名刺交換が行える通常の会場は、普段メールでしかやり取りのない担当者とお会いできる、貴重な機会であったりしました。

今後、業界を超えて主流になるかもしれない、オンラインを使ったイベント。まだ2回の参加経験ですが、想像以上に参加する側にとって困難な点はなく、環境さえ整っていれば、初めての人でもスムーズで、メリットも大きい印象でした。

コロナ禍時代のニューノーマルのひとつとして、主催側も参加側も上手に使いこなしていけると良いですね。

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この記事の執筆者
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WRITING :
神田朝子