緊急事態宣言は解除されたものの、まだまだ不要不急の外出自粛ムードは続いています。不安定な状況に、気持ちが沈んでしまう日もあるという人も少なくないのでは。

そんな時に読むと心を前向きにさせてくれるのが、「食」をテーマにした漫画や小説。作中に登場するグルメに食欲をそそられながら、クスッと笑えるシーンに共感したり、トキめくシーンにキュンときたり。作品に夢中になるうちに、「おいしいものを食べて、また明日もがんばろう」という気持ちにさせてくれます。

今回は、数多くあるグルメ漫画&小説の中から、大人の女性がハマれる作品を厳選してご紹介します。

■1:デートあるあるに思わず共感!漫画『女くどき飯』

『女くどき飯』(SPA!コミックス) 峰 なゆか著 ¥1,100
“デートでしか行かないようなおしゃれなレストランに詳しい人ほど、他の女の影がチラついてしまう”

そんな、思わず声に出して共感してしまう「デートあるある」をコメディタッチで描いた作品が、『女くどき飯』。一般男性の応募者と作者がデートをし、食事をする過程や男性の口説き方について感想を綴るというユニークなエッセイ漫画です。

作者は、『アラサーちゃん』などで知られる漫画家の峰なゆかさん。自称肉食系の冴えないおじさんや、毎回都合のいい男で終わってしまう大学生など、個性豊かすぎるデート相手に対し、峰さんが愛のある鋭いツッコミで切り込んでいく様子が、実に爽快。デート相手として、アンガールズの田中卓志さんが登場する回もあります。

登場するお店は、すべて実在するレストランや居酒屋。ぷりっぷりの牡蠣や、ふわふわに蒸し焼きされた鰻など、ちょっといいご飯をデートで楽しみたいという気持ちを刺激してくれます。

ちなみに、こちらの作品は貫地谷しほりさん主演でドラマ化もされており、「一度観たらやみつきになる」とファンが多い作品。気になった人はぜひチェックしてみてくださいね。

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■2:日本酒と年下男子の魅力に目覚める! 漫画『酒と恋には酔って然るべき』

『酒と恋には酔って然るべき』(A.L.C.DX) はるこ著/江口 まゆみ著 ¥748
“ワンカップはおっさんの飲み物なんて言わせない”

おろしたてのわさびでつくった「まぐろの漬け」に、カップ酒をあたためたお燗をクイッと。気がついたら主人公と一緒に晩酌をしたくなること請け合いの漫画が、『酒と恋には酔って然るべき』です。

主人公は、32歳OLの藤井松子。周りの結婚や出産ラッシュにより飲み友達が減り、いつしか帰りの心配もないひとり晩酌が楽しみになった彼女がたどり着いた趣味が、カップ酒と日本酒です。

彼氏いない歴3年の松子が、最近気になっているのが後輩の年下クール男子。ある日、ノリで誘ってみたらふたりきりで飲むことになり、実は彼が最高に可愛い「酔いデレ」男子だったことが発覚します。「今度、家に飲みに行ってもいいですか?」と、さらりと甘えてくる年下の彼に翻弄される松子。この恋の行方はいかに……!? 

季節の新酒や一度は呑みたい銘酒、電子レンジで熱燗をつくる方法など、日本酒のウンチクも学べるこちらの作品。日本酒と年下男子の魅力に、ほろ酔いしてみませんか?

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■3:食欲がない時の処方箋的ビタミン小説『ランチのアッコちゃん』

『ランチのアッコちゃん』(双葉文庫) 柚木 麻子著 ¥591(文庫)
“一週間、ランチを取り替えっこしましょう”

最近、なんだか食欲がない……とお悩みの人にぜひ手にとっていただきたい小説が『ランチのアッコちゃん』。2014年の本屋大賞にノミネートされた作品です。

主人公は、地味な派遣OLの澤田三智子。彼氏にフラれたショックから食欲が出ず、ランチに持参したお弁当も手付かずの状態の彼女に、意外な人物から思いもよらない誘いがあります。

「一週間、ランチを取り替えっこしましょう」そう声を掛けてきたのは、三智子にとって雲の上の存在である“アッコさん”こと、黒川敦子部長。アッコさんが提案してきたのは、店の名前もわからない地図だけ書かれたメモや、国際フォーラムまでのランニング……など、どれも不思議なランチコースばかり。

はじめは気乗りしなかった三智子ですが、ランチコースを巡りながら、食を楽しむことは人生を楽しむことだと実感し、少しずつ変わっていく自分に気がつきます。

上記の表題作の他、読むほどに心が弾んでくる四編を収録。表題作は蓮佛美沙子さん、戸田菜穂さん出演でドラマ化もされているので、ドラマから作品の世界観を楽しむのもおすすめです。

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■4:お菓子なミステリーにほっこり。小説『和菓子のアン』

『和菓子のアン』(光文社文庫) 坂木 司著 ¥734(文庫)
“ぷりぷりの寒天にからむ、液体と化した餡。あまりの口溶けに、しばし私は無言になった”

読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、お仕事ミステリー小説『和菓子のアン』。

主人公は、特別やりたいことがないまま高校を卒業した梅本杏子。食べることに目がないぽっちゃり女子の杏子は、ある日何気なく足を運んだデパ地下の和菓子屋でアルバイトを始めます。

杏子が働くみつ屋を訪れるのは、謎めいたお客さんばかり。毎回、慌てて季節の和菓子を数人分買いにくる女性や、やたらと購入後の移動時間を気にする大学生ぐらいの女の子。そんな行動に秘められた意外な真相とは?

プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や、ひと癖ある同僚たちに囲まれながら、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。そんな杏子の成長を見守りながら、四季折々の和菓子の楽しみ方を学べる作品です。

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■5:人にはそれぞれ食のドラマがある。レシピ付き小説『彼女のこんだて帖』

『彼女のこんだて帖』(講談社文庫) 角田 光代著 ¥583(文庫)
“長く付き合った男と別れた。だから私は作る。私だけのために肉汁たっぷりのラムステーキを!”

後悔や屈託を乗り越えていく、15人の物語を描いたオムニバス形式の短編小説集『彼女のこんだて帖』。

4年間付き合った彼との別れの現実を受け入れるための「ラムステーキ」、無謀なダイエットをする妹の特効薬になった驚きの「ピザ」、家事と育児に疲れた妻との離婚回避の「ミートボールシチュウ」——。それは、ささやかだけれども決定的な変化。料理をつくって食べることが、彼女たちのターニングポイントとなります。

本作には、写真付きのレシピがついており、作中に登場する料理を実際につくれるのが魅力。心を動かされたストーリーがスパイスとなって、より一層おいしく感じられそうですね。

また、一話目の主人公の同僚が、二話目では主人公になるといった形で、登場人物が各話から各話へと繋がっていく小さな仕掛けも見所です。

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おいしい誘惑を仕掛けてくるグルメ漫画や小説。ちょっと疲れたなと感じた時に手にとれば、きっと心を前向きにしてくれるはず。おうち時間をゆっくり過ごせる今こそ、食欲をそそられる読書タイムを楽しんてみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
アパレルブランドからWebメディアの編集部に在籍後、フリーランスに。女性向けメディアや企業のオウンドメディアを中心に、人物取材や美容、グルメ記事を担当。好きなもの:レモンの入ったハイボール、韓国料理、和菓子、お茶、オレンジリップ、おいしい小説&ドラマ
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EDIT :
小林麻美