コロナ禍、ニューノーマルを切り拓く!世界のシェフたちの奮闘ストーリー5選

新型コロナウイルスの感染拡大により、世界的に大きな打撃を受けている経済。特に生きていく上で欠かせない飲食業界に関しては、その困窮の様子をメディアや間近で見たり感じている、という方も多いと思います。

たった数か月の間に、この未知のウイルスとともに生きなければならないフェーズに入り、先が見えないなか、本記事ではポジティブにもニューノーマル(=新しい生活様式)を模索し、奮闘するフードビジネスのストーリーを、編集部に寄せられた情報や、海外メディア情報からピックアップしてご紹介します。

■1:N.Y.在住の日本人シェフ、サンドウィッチを病院へ無償提供

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パリの3ツ星レストラン「Guy Savoy(ギイ・サヴォワ)」で修行後、3年前に渡米し、現在「MIFUNE New York(ミフネ・ニューヨーク)」のエグゼクティブシェフを務める島野雄さん。

新型コロナウイルスに罹患したサッカー仲間である、友人医師の「美味しいものが食べたい」という声をきっかけに、彼が務めるマウント・サイナイ病院にサンドウィッチなどを無料で提供する活動をしているのが、N.Y.在住の日本人シェフ、島野 雄さんです。

今後も週一回のペースで医療関係者への差し入れは続ける予定。「COVID-19 Food donation to Hospital-医療従事者を胃袋から支援」を通じ寄付が集まり、また、ニューヨークのシェフ仲間の協力を受け、数カ所の病院に活動の輪が広がっているようです。突然やってきた混沌の時代に、支えあい、助け合う気持ちに心温まります。

■2:5月末までに1,300食以上を無償提供!「ブルガリ お弁当プロジェクト」

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5月25日と26日に国立国際医療研究センター病院へ向け再び「ブルガリ お弁当プロジェクト」が実施される予定。

ラグジュアリーブランド「ブルガリ」は、自社のホテルズ&リゾーツ部門に属するミシュランの星付きレストラン「イル・リストランテ ルカ・ファンティン」(東京・銀座)のエグゼクティブシェフ、ルカ・ファンティンさんと共にレストランによる、栄養・衛生面にも配慮したお弁当の製造、東京都内の第一種感染症指定医療機関に届けるプロジェクトを実施しています。

この「ブルガリ お弁当プロジェクト」は、4月下旬より実施されており、5月末までに1,300食以上のお弁当を無償提供する予定。

ブルガリ オンラインショップを通じたお買い物1回につき、医療従事者の方へお弁当1個を追加する取り組みを5月17日まで実施し、それにより集められた資金が、 次回のブルガリお弁当プロジェクトに役立てられているのだそうです。

多くの人々の善意ある行動によって日本でも広がる支援の輪。ファッションを愛する人が自分らしく想いを繋げていけるなんて、最高ですよね。

■3:収入増も?!プライベートシェフへの転身

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「イレブン・マディソン・パーク」の名物デザート「アラスカ」。

世界有数の美食の街、ニューヨークでも、新型コロナ禍の影響による閉店、解雇が加速。栄華を極めた人気レストランのシェフでさえ、今後は不透明な状態が続いています。

そんななか、富裕層やセレブの中には、コロナ失業した才能あるシェフを家庭用のお抱えシェフ(プライベートシェフ)として雇い入れる動きがあるのだそう。不動産ブローカーや人材派遣会社が仲介し、2017年に「世界のレストラン・ベスト50」で1位に輝いた「イレブン・マディソン・パーク」の元副料理長、イアン・テンザーさんも、そんな声がかかった一人。年収が、最高で20万ドル(2,000万円)アップするケースもあるのだとか。

ニューヨークの富裕層といえば、桁違いの富を持ち、アウトソーシングに長けた人種です。高級レストランに行けないのなら、自宅に持ち込んでしまえばいいーー、そんなマインドの人も少なくないはず。ハードを選ばなければ、自分のスキルをこんな風に生かすのも、今後の賢いサバイバル法なのかもしれません。

■4:3つ星レストランがコミュニティキッチンに

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Turning the lights back on.. I've been struggling with what to do since we closed our doors. All of our worlds have been turned upside down. We need to stay safe, we need to protect each other and the vulnerable. But I need to help New York City--it's given so much to me, even if I can help just a little bit. With our friends at Rethink Food NYC who have partnered with @americanexpress, we found an answer. We are blessed to have a beautiful and spacious restaurant and kitchen, we have a team that is looking to work, to cook; The city needs food to help those in need--Starting today, we have turned Eleven Madison Park into a commissary kitchen with the goal of producing thousands of meals per day for those who are working in the front lines and those who are deeply effected by the current crisis. I believe the storm is still coming, and will be for some time, and if we can do just a little something, these dark days can be just a bit brighter. Thank you to my team, to Rethink, to @americanexpress to support this effort, and to this beautiful city. Please help us keep this going and donate @rethinkfood.nyc #chefsforamerica #makeitnicewithdorindamedley

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同じく「イレブン・マディソン・パーク」の話題をもうひとつ。ミシュラン3つ星をキープし、世界の頂点も極めたこの店も、例外なく深刻な危機に瀕しています。

スイス人オーナーシェフのダニエル・フムさんは従業員の解雇、閉店を決断し、NPO法人「Rethink Food」と提携。アメリカンエクスプレスの支援を受け、同店のレベルを超えて清潔なキッチンを、彼自身と少数の従業員とボランティアで、街全体のエッセンシャルワーカーに向けて一日3,000食を供給するコミュニティ・キッチンへ生まれ変わらせました。

予約が取れない超高級店を「支援の場」とするのにはもちろん葛藤や、周囲の批判もあったようですが、フムさん自身はインタビューで「良いか悪いかではありません。私は自分が正しいと思うことをしているだけです」と語っています。

パンデミックを経験した今、もう以前と同じような、贅を尽くした時代には戻れないのかも。この先に存在するラグジュアリーとは、過去の定義を捨て、それぞれが自分なりの形で新しい価値を見出すものになるのかもしれません。

出典:Fast Company

■5:アフター・コロナの必需品?!人気カップケーキ店が導入を決めたUVライトテック

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見た目の可愛さにも癒されるカップケーキ。せっかくならお店に入り、ゆっくりガラスケースの前でじっくり選びたいですよね。

最後に、この危機の長いトンネルを抜け、経済が再開した際に、レストラン業界のニューノーマルとなりそうな機器の話題をご紹介します。

大人の女性のバイブル的ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』に登場し、日本でも有名になったカップケーキ専門店「マグノリアベーカリー」が、最新のUVライトテックを導入し、話題となっています。

エントランスに設置されたセキュリティゲートのような機器は、360度ゆっくり回転しながら20秒間、遠紫外線を浴びることによって消毒する、という仕組み。

「紫外線はバクテリアやウイルスを殺すのに効果的」と古くから知られていますが、人間に有害でもあります。しかし、「遠」紫外線は皮膚表面の死んだ細胞の層には浸透せず、範囲が非常に限られているため、安全なのだとか。

ウイルス感染の温床となったN.Y.の地下鉄でも現在、行われている紫外線照射による消毒。マグノリアベーカリーが導入する「遠」紫外線は、細菌を99.9%以上不活性化する効果があり、安心して店内で買い物したり、食事するためにも、フードビジネス再発展の必需品となるかもしれません。

とはいえ、コロンビア大学放射線生物物理学の教授であり、同放射線研究センターの所長である、デビッド・ブレナー博士によると、あくまでこちらは「add-on(アドオン、付け足し)。今後も手洗いとソーシャルディスタンスが必須、とのことです!

出典:New York Post

未曾有のパンデミックにより、突如厳しい選択を余儀なくされた世界のフードビジネス界。その奮闘する様子は、悲観しているばかりでなく、しっかりと前を見据え、それぞれのスタイルで力強く進むエネルギーを確かに感じることができました。

やっと見えてきた出口の先には、過去と同じには戻れない現実があります。しかしそのニューノーマルを、彼らのように柔軟に受け入れ、光差す未来をになるよう祈っていきたいものです。


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この記事の執筆者
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WRITING :
神田朝子