整理収納のプロに教わる!「家事が楽になって快適に暮らせる収納術」5選

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片付けをする女性

自宅で過ごす時間が長くなったことで、どうしても気になってくるのが収納の問題。でも何をどう変えればいいのか、そもそも何が問題なのかよくわからない……という方が、ほとんどなのではないでしょうか?

『家事がとことんラクになる 暮らしやすい家づくり』の著者である整理収納コンサルタントの本多さおりさんは、ラクに片付く収納の基本のひとつとして「自分の生活に合っていること」を挙げています。

「自分や家族がよく使うモノは、それを使う場所の近くに、取りやすく配置することを心がけましょう。使用頻度の高いモノなら、なるべく少ないアクションで取れるようにするのがポイント。

なぜなら、別の部屋へ取りに行ったり、手前のモノをどかしたり……といったアクションが必要だと、取り出すのも仕舞うのも面倒になってしまうからです」(本多さん)

暮らしやすい収納を実現するためには、まずご自身やご家族の行動パターンを振り返ることが大切。普段、モノを出し入れするときに感じるちょっとしたストレスに気が付くと、部屋のあちこちで改良できそうな点が見えてくるでしょう。

以下で紹介する5つの収納術を参考に、できるところから少しずつ取り入れてみてくださいね。

■1:整理収納の第一歩は「グループ分け」をすること

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まずは、毎日使うものからグループ分けを。

押し入れや引き出しなどにモノを仕舞うとき、とりあえず空いている場所に入るだけ詰め込んでしまう方は、少なからずいらっしゃることでしょう。

その場では「時間があるときに整頓すればいいや」と思っていても、実際にはそのまま月日が流れ、いざ使おうというときにどこに仕舞ったかわからなくなっている……なんてこともしばしば。

そんな失敗を繰り返さないための工夫として、本多さんは「家にあるものを使用目的別にグループ分けしてみること」をすすめています。

「グループ分けをする際、一度に家中のモノをすべて出してきて分類するのは難しいので、まずは『文房具』『靴下』『紙の資料』といった、ジャンルごとに取り組んでみましょう。

文房具の例で言えば、ハサミやペン、のりなどをすべて出してきて、一箇所にまとめてみてください。すると、家に何がどれだけの数あるのかがわかります。

続いて、そのなかでよく使うものと、そうでないものを分類。よく使うものはリビングのすぐ手に取れる場所に、たまに使うものは戸棚に……といった具合に、収納場所を振り分けます。

ただし、同じジャンルのモノでもそれぞれ使用頻度が異なるので、必ずしも全部同じ場所に仕舞う必要はありません。例えば、封筒を開封するときと、洗剤の詰め替えのときにハサミをよく使うなら、リビングと洗面所にそれぞれ収納しておくと便利です。

このように、使いたいときにすぐ手に取れる場所に必要なモノが仕舞ってあると、ちょっぴりうれしくなりますよ」(本多さん)

整理収納の前段階として、モノのグループ分けは必須。とはいえ、いっぺんにすべて分類しようとすると挫折しやすいため、ジャンルごとに取り組んでみましょう。毎日使うものから実践すれば、効果をすぐに感じられるはず。

①モノをグループ分けする

②よく使うものと、そうでないものに分類

③よく使うものをすぐ手に取れる場所に、そうでないものは戸棚などに

■2:「モノの定位置」を決めておけば、探し物&忘れ物を予防できる

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モノの定位置を決めると探すストレスがなくなります。

家の中で、よく「スマホがない!」と探し回る……なんてことはありませんか? スマホに限らず、モノを使ったあと、それをどこに置いたかわからなくなってしまうのは、定位置がきちんと決まっていない証拠です。探し物や忘れ物による日常の小さなストレスをなくすためには、あらかじめモノの「住所」を決めておくのが◎。

「モノの住所(定位置)を決める際は、ただ空いている場所に置くのではなく、そのモノを使うときの行動に即して考えてみてください。

例えば、スマホの充電スペースを設けて、そこを定位置にしたり、カギや腕時計といった外出するときに持っていくモノは玄関に置いたり……『なぜここに置くのか』という理由を、他人に説明できる位置がよいでしょう。

日焼け止めクリームやマスクなども玄関に置いておくと、忘れていたことに気付いて部屋まで取りに行く、という無駄な時間がなくなります」(本多さん)

何をどこに置いたらベストなのかは、人それぞれ。初めのうちはあまり難しく考えず、いろいろ試しながら、自分にとって使いやすい「モノの定位置」を決めてみてください。

■3:収納スペースに余白をつくって上手に活用

収納スペースに入るだけモノを仕舞うのは、やってしまいがちなミス。まだ余白があるからといって、そのスペースを埋めるためにモノを詰めてしまうと、ほかのモノが取り出しにくくなってしまいます。そうならないように、収納スペースに余白ができても、積極的に残しておきましょう。

「棚やクローゼットなどの収納スペースに余白を残しておくことには、モノが取り出しやすくなるほかにもメリットがあります。そのひとつが、季節アイテムの定位置になること。

私の場合、毎年、冬になると置き場所に困っていた室内用の『湯たんぽブーツ』は、パソコン用の棚を一段空けておいたことで、そこがベストポジションに。

季節アイテムのように用途が決まっていなくても、余白は無駄になりません。なぜなら、予定外のモノや借りたモノを一時的に置くためのスペースとして、活用できるからです。また、リビングの棚の余白は、来客時の荷物置き場や、ちょっとした作業台の役割も果たします」(本多さん)

収納スペースに余裕があると、視覚的にスッキリ見えるのはもちろん、急にモノが増えても対応できるので、気持ち的にも余裕ができそうですね。

■4:キッチンでよく使うモノが片手で取り出せると便利さアップ

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アイテムを利用して、キッチンを自分好みにカスタマイズ!

日常的に漠然とした使いづらさを感じても、それを見過ごしてしまいがちなのが、キッチン周りの収納。知らず知らずのうちに「フライパンや重なった食器がすぐ取り出せなくて、イラッ」が当たり前になってしまっていませんか?

「よく使う調理道具や家族の食器などは、片手でパッと取れるように工夫すると、台所での小さなイライラが減ります。

頻繁に使うフライパンをフックで吊るしてオープン収納にするほか、食器はグループ分けの要領で家族用・来客用などに分類し、なるべく重ねずに収納しておくと、炊事がラクに。

お皿を重ねる場合は、同類をまとめて上から順に取れるようにしましょう。また、コの字ラックを活用して雛壇状にすることで、下になったモノでも片手で取れるようになります。

戸棚に収納する2軍の調理道具や保存容器、お弁当グッズなどは、それぞれボックスに入れれば、奥のモノでもスムーズに取り出し可能。ひとつのボックスにつき、入れるモノは1ジャンルと決めておくと、わかりやすいですね」(本多さん)

毎日使うキッチン周りも、収納を改善した効果をすぐに感じられる場所。フックやボックスといったアイテムを上手に取り入れて、ご自身が使いやすいようカスタマイズしてみては?

■5:冷蔵庫は「ひと目で中身を確認できる」ように

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ひと目で中身が一覧できる収納が理想的。

キッチン関連では冷蔵庫の中も、ごちゃごちゃしてしまいがち。買い物になかなか行けないからストックしなきゃ……と思う気持ちもわかりますが、保存してある食料品を管理しきれず、結局腐らせてしまっては意味がありませんよね。

冷蔵庫の収納においては、冷蔵庫の容量と、自分自身が管理可能なキャパシティを考慮して、買い物の頻度を考えることが大事です。そのうえで、冷蔵庫の中身がひと目で確認できるように、収納することを心がけましょう。

冷蔵庫は、なるべく奥をつくらない、つまり食材を前後に重ねて置かないのが理想的。すべてのモノを横1列に並べることで、モノが取り出しやすくなるのに加えて、扉を開けたらパッとひと目で中身を一覧できるようになり、食材を管理しやすくなります。

調味料やジャム、納豆といった小振りな食品は、用途ごとにトレーに入れて、ひとまとめに。『調味料』『パンに塗るもの』『ご飯のお供』など、テプラなどでラベリングしておくと、家族の誰が見てもわかりやすく、きちんと定位置に戻してもらえるでしょう」(本多さん)

冷蔵庫の中身も、ほかの収納スペースと同じようにモノの定位置を決めておくことが大事。また、余白を設けておくと、鍋ごと保存するときや食材が増えたときに困りません。家中の収納術は、冷蔵庫の中身にも応用できるのです。


収納スペースのモノの配置は、長年の習慣から現状を維持してしまいがちです。しかし少しでも使いにくさやストレスを感じたら、それはもっとよい収納方法があるというサイン。ぜひ本記事を参考にして、ご自身の暮らしに合った収納の形を試行錯誤してみてください。

本多さおりさん
整理収納コンサルタント
(ほんだ さおり)片付けが無理なく続けられる収納術を提案する収納のエキスパート。2011年にスタートした、個人宅向け整理収納サービスにおける訪問件数は200軒を超える(現在は休止中)。著書に『片付けたくなる部屋づくり』(ワニブックス)、『悦な収納のすすめ』(主婦の友社)などがあるほか、新刊『家事がとことんラクになる 暮らしやすい家づくり』(PHP研究所)が5月30日(土)発売。
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WRITING :
上原 純
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