炊事や洗濯、掃除など、日々の家事に割く時間はかなりのものですよね。そんな家事の最中に、やりづらさや不便さを感じたことは多々あるはず。また、早くやらなきゃとは思うものの、なんとなく気が進まない日もあるでしょう。

「実は、家事のイライラは収納に原因があることも多いのです」と語るのは『家事がとことんラクになる 暮らしやすい家づくり』の著者で、整理収納コンサルタントの本多さおりさん。

「スムーズに出し入れできる収納場所と、片付けやすい仕組みをつくれば、家事はおのずと快適になります。家事のしにくさを感じたら、収納を少し見直してみてください。

どんな家事にも道具が必要ですから、思い立ったらすぐ家事に取り掛かれるように、毎日使う1軍の道具を手に取りやすい場所に置いておくと、効率アップにつながりますよ」(本多さん)

以下では、家事がしやすい部屋を手に入れるためのコツを紹介します。自分にとって理想の部屋をつくるための参考にしていただければ幸いです。

家事の効率が上がる部屋の配置とは? 変えるとラクになるポイント5選

■1:「床に置くモノにはキャスターを付ける」と掃除がラクに

部屋を片付けるとき、収納スペースに入りきらない、ちょうどいい置き場がないなどの理由から、床にモノを置いてしまっていませんか? たしかに、そのほうがすぐ手に取れて便利という意見もあるかもしれません。しかし、本多さんは「1個モノを置くと、ほかにもどんどんモノを置いてしまいがち」と警鐘を鳴らしています。

「床にモノが多いと視覚的に息苦しさを感じるだけでなく、掃除がしにくい部屋になってしまいます。そのため、床には極力モノを置かないのが理想的です。

どうしても床に置く必要があるなら、キャスター付きの収納家具やキャスター付き台車を取り入れるのがおすすめ。すると、ちょっとの力で動かせて掃除の手が隅々まで行き届くようになります。

ゴミ箱やおもちゃ箱には、百均ショップやホームセンターなどで買えるキャスターを取り付けてみましょう。ゴミ箱のような軽いモノでも、つかんで持ち上げてどかす動作は、意外に面倒。これがキャスター付きだと、ちょっと押すだけで床面と部屋の隅を掃除できるのです」(本多さん)

引き出しやストッカーといった収納家具を選ぶときは、キャスター付きかどうかも判断基準に加えてみてください。また、あと付け用のキャスターには、両面テープで固定するものやネジで留めるものなどのバリエーションがあるので、お使いのツールに合わせて選びましょう。

■2:「よく使うモノ」は吊るして収納するとラクになる

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すぐに手に取れる「吊るし収納」

なるべく床にモノを置かないための工夫は、キャスターを付けるだけではありません。普段よく使うモノを欲しいところにピンポイントでぶら下げることで、暮らしが今よりももっと便利になります。

「家事をスムーズに進めるためには、必要なアイテムをすぐ使えるように設置しておくことが大切。そこで役立つのが、必要なモノに一発でアクセスできる『吊るし収納』です。

例えば、リビングや寝室の収納扉にドアハンガーやドア用フックを付けることで、普段着やスーツをかける定位置になるほか、部屋干しにも重宝します。

モノを床に置かないことで部屋が片付いて掃除しやすくなるのはもちろん、吊るし収納が特に効果を発揮する場所はキッチン。鍋やまな板、トングなど、頻繁に使う1軍の調理道具をフックで吊るしておくと、戸棚を開けることなく道具が使えます。

フックひとつで設置できるため、実際に使ってみて位置を変えたくなったら調整できるのが利点。さらに、洗ったあとは吊り下げておけば綺麗に乾くので、あと片付けの負担が軽くなるのも嬉しいですね」(本多さん)

衣類や調理道具に限らず、ボックスティッシュやゴミかご、小物ポケットなど、リビングで使うアイテムをすぐ手が届く場所に配置できるのも吊るし収納のよいところ。何でもかんでも吊るすのではなく、頻繁に使うモノを厳選するのがポイントです。

■3:掃除道具を「生活動線上」に配置すると部屋がきれいに

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目につくところに掃除道具を置き、こまめに掃除しましょう。

平日は忙しくてなかなか掃除まで手が回らない、という方は多いことでしょう。かといって、せっかくの休日に時間をかけて掃除をするのが億劫なのも事実……。ということでおすすめしたいのが、汚れに気付いたその場で掃除道具を手に取れる仕組みをつくることです。

「リビング以外の部屋や押し入れなどに掃除道具をまとめて仕舞っておくと、まず道具を取りに行くところから始めなければならず、掃除をあと回しにしてしまいがち。生活動線上に掃除道具を配置することで、思いついたその場で掃除道具を手に取れるようになります。

例えば、はたきやハンディモップをホコリが溜まりやすい棚の横に、掃除機を電源やゴミ箱の近くに、雑巾をすぐに濡らせる場所に、といった具合です。洗面台やキッチン、トイレにアルコールスプレーを置いておくのもおすすめ。

ホコリが目についたとき、汚れに気が付いたとき、掃除道具と目が合ったときなど、何かのついでに掃除をしておけば、掃除のためのまとまった時間を取れなくてもお家を綺麗に保つことができるでしょう」(本多さん)

小まめに掃除する習慣を身につけるためにも、前述の吊るし収納が有効。コードレス掃除機なら、吊るしてリビングに配置できます。

■4:床のコードも「浮かせる」とスッキリ!

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コードの位置を見直して清潔感をキープ!

ほったらかしにしてしまいがちだけど、掃除のときに意外と邪魔になるのが床のコード。ちょっとコードを持ち上げれば掃除機をかけられる、と甘く見てしまう方は多いかもしれません。しかしこのワンアクションがなかなか曲者で、つい見て見ぬふりをしてしまうこともしばしば……。

「テレビやPCの周り、キッチンなどに複数のコードや電源タップが絡まり合っていると掃除の邪魔になり、ホコリが溜まりやすくなってしまいます。コード類はできるだけ床に接地させず、浮かせておくとよいでしょう。

我が家では、電源タップを床から離して棚の裏や側面に設置しています。コードは、ソファの背もたれの隙間を通すほか、フックを使って中間地点で固定するといった工夫を。

マグネット付きの電源タップなら、ステンレス製のモノにくっつけることもできます。また、充電コードのように使うときと使わないときがあるものは、出しっぱなしにせず、吊るせるバスケットの中に収納すると、スッキリ片付いて見えますよ」(本多さん)

ホコリまみれのコードを放っておくと最悪の場合、火災の原因になってしまうことも……。日ごろから掃除しやすいようにコードの配置や管理の仕方を見直して、清潔感をキープしたいですね。

■5:「いつか使うかもしれない」モノもすぐに取り出せる工夫を

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時間を浪費しないためにも、モノのグループ分けを。

捨てずに取っておいたはずなのに、どこに仕舞ったかわからなくなっているモノはありませんか? そのアイテムが必要になったときに、家中を探し回る羽目になるのは大幅な時間のロス。結局また同じモノを買ってくるのも、もったいないですよね。このように、いつか使うかもしれないモノは、仕舞った場所がわかるようにしておくことが大事です。

「いつか使うかもしれないモノをとりあえずどこかに置いておくと、持っていることを忘れがちなので要注意。そういったモノは、どこに仕舞ったかわかるよう、用途別にグループ分けをしておきましょう。

例えば、いつか使うときのために……と保管しておきたいブルーシートはアウトドア用品のグループに加える、紙の資料は『○○の資料』というようにタイトルを付けてクリアファイルにまとめるなど、それぞれふさわしい場所に収納します。

グループに分類できないモノのために『とりあえずとっておく』というジャンルを設けて、ひとつの箱にまとめてもOKです。たまに中身を確認すると、本当に今後使うのかどうかがわかると思います」(本多さん)

探し物に貴重な時間を浪費しないためにも、モノのグループ分けは必須。「とりあえずとっておく」箱をつくる場合は、定期的に中身に目を通すことを忘れずに。


本稿の中に気になった項目があれば、まずは試しに実践してみてください。家事のスタイルは人それぞれなので、必ずしも正解はありません。どんどん自分流にアレンジを加えて、ストレスフリーなお部屋にアップデートしていきましょう。

本多さおりさん
整理収納コンサルタント
(ほんだ さおり)片付けが無理なく続けられる収納術を提案する収納のエキスパート。2011年にスタートした、個人宅向け整理収納サービスにおける訪問件数は200軒を超える(現在は休止中)。著書に『片付けたくなる部屋づくり』(ワニブックス)、『悦な収納のすすめ』(主婦の友社)などがあるほか、新刊『家事がとことんラクになる 暮らしやすい家づくり』(PHP研究所)が5月30日(土)発売。
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WRITING :
上原 純
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