夫を飛行機事故で亡くしたあと、6歳の長男と11か月の次男を女手ひとつで育て上げ、ふたりとも東大に入学させた入江のぶこさんは子育てアドバイザーであり、現在、東京都議会議員も務めています。

そんな入江のぶこさんは、以前はテレビ局の社員として国際・編成業務・バラエティなど、さまざまな部門で働き、管理職(部長)でもありました。

フルタイムで管理職として忙しく働きながら、ふたりの子どもを育てるワーキングマザーとして、仕事と子育ての両立にまい進していました。

今、まさに仕事と育児や、仕事と介護など、「仕事と何かの両立」に日々奮闘している女性も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、入江さんの新刊『自ら学ぶ子どもに育てる~息子2人が東大に現役合格した、ワーキングマザーの子育て術~』をもとに、著書でも語られていない、仕事のポジションキープ術やメイク・ヘア・ファッションなどの身だしなみなどを含めた、大人の女性にとって興味深い両立のポイントを教えていただきました。

入江のぶこさん
子育てアドバイザー、東京都議会議員
(いりえ のぶこ)1962年東京都生まれ、幼稚園から大学まで成城学園で一貫教育を受ける。大学時代フジテレビ「FNNスピーク」お天気お姉さんに。成城大卒業後、フジテレビ報道記者入江敏彦氏と結婚、フジテレビカイロ支局長になった夫が1994年ナイロビにて事故で死亡。帰国後、フジテレビに就職。2017年7月に退職、東京都議会議員選挙、港区でトップ当選。息子2人は東大を卒業、長男哲朗氏は博士(学術)の学位を取得し、アメリカ思想史の研究者であり映画批評家としても知られる。次男聖志氏は民放テレビ局社員に。 『自ら学ぶ子どもに育てる~息子2人が東大に現役合格した、ワーキングマザーの子育て術~』

忙しくても仕事も子育ても大成功する!両立のポイント4つ

入江さんは、子育て中も、週5フルタイム勤務でバリバリ働きながらも、小学生と乳幼児を育てたワーキングマザー。息子たちを東大に現役合格させ、自立した立派な人間に育て上げながら行っていたこととは?

■1:最優先事項を決め、それ以外は外注する

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最優先は仕事と子育て

「当時、小学1年生の長男と1歳になったばかりの次男を育てながら、週5日仕事をしていました。当然ながら、すべてを完璧に行うことはできないため、私は『最も優先すべきこと』と『それ以外のこと』をハッキリと分けて、効率化を図ることにしました。

私にとっての最優先事項は『仕事をしっかりやること』と『一日の中で短時間でもいいから子どもに集中し、濃密に向き合う時間をつくること』でした。

その最優先事項を実現するために、時間がないときには家事は外注を利用していました。ハウスキーパーさんやベビーシッターさん、料理をつくってくださる方などに多く依頼していました。

誰がやっても『結果が同じ』ことは、人にお願いする。子育ては当然、代わりはおらず、仕事も自分しかできないことはやりたい。

しかし、家事はどれも誰がやっても結果は同じものなので、外注を積極的に利用していました。外注するのはお金がかかりますが、今必要な子育てに集中し、のちのち、よい結果を生み出すための投資と考えていました」

■2:すべてのことを効率化・省力化。しかしクオリティは下げない

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メイクも省力化 ※画像はイメージです

「最優先事項を決めたとはいえ、仕事も子育ても、身だしなみも、家事も含めて、すべてのことに対して、どうすれば効率化・省力化できるのか常に考えて行っていました。

私のなかでは、メイク・ヘア・ファッションなどの身だしなみの優先順位も高かったので、力を入れていましたが、省力化はしていました。メイクはファンデーションを二度塗りしていたのを一度塗りにするなどして、30分かけていたのを15分で行うように。

髪型はロングヘアのアレンジなどをしている余裕がなかったので、ショートやボブにして、洗い立てのままでもOKなヘアスタイルにしたり、服も靴も同じ型をふたつ、色違いで買ったりなどしていました。

朝、鏡の前に立って、鏡のなかの自分に納得できるかが重要。投下する時間を減らしつつ、クオリティーは下げないようにしていました」

■3:「仕事・育児・家事」すべてに完璧を求めない

「体力的にも、仕事と育児と家事、すべて完璧を求めないことが大切だと思います。もちろん、完璧を目指したいですが、現実とあまりにかけ離れているため、その現実を受け入れたうえで最善を尽くすことが大事だと思います。『両立できないから逃げちゃおう』ではなく、きちんと両立していこうとすることが大事。

100%できないからこそ、それを埋めるだけの工夫とアイデアを出し続ける必要があるということです。

例えば、子どもと向き合うときは、たとえ数分だったとしても、スマートフォン片手に行うのではなく、子どもにしっかりと集中する。また仕事におけるコミュニケーションやネゴシエーション(交渉)の際は、常に笑顔で身だしなみもきちんとする。こうしたことを心がけていました」

■4:仕事をキープするカギは美しさと丁寧なコミュニケーション

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いつもきれいでニコニコを心がけていた

「子育て中は、どうしても引き受けられる仕事の量は限られてきます。そして長期スパンで見た場合、仕事を少しでもおろそかにすれば、見限られてしまうのが現実というものです。

ですから子どもが成長して、子育てに少し余裕がでたあとに、『この人には今後、大きな仕事を任せたい』と思ってもらえることを考えて行動していました。

例えば、常に笑顔で丁寧にコミュニケーションをとってよい印象付けを行い、メイクや身だしなみをきちんとする。仕事の量は受けられないけれど、クオリティーは下げない。よいアイデアを出す。こうしたことを意識することでカバーしていました。

子育て中は、どうしても夕方以降の仕事を人にお願いしなければならないこともあります。そんなとき、仕事をお願いされる側になったときのことを想像してみてください。

髪がぼさぼさでメイクもせず、身だしなみもよれよれで疲れ切ったお母さんからお願いされるのと、いつもきれいでニコニコしてメイクもばっちりで、身だしなみもきちんとしているお母さんからお願いされるのと比べると、どちらが気分がいいでしょうか。

当然、後者のほうが印象がよく『ああ、この人は忙しくてもきちんとしているな/ポジションをキープさせてあげたい』と思ってもらいやすいでしょう。

仕事は頑張りすぎない。けれど、そういった立ち居振る舞いや印象で、必ず評価してくれる人がいます。さらに深い仕事を任せてくれる人がいるのです。

ですから、いかに笑顔と立ち居振舞、身だしなみをキープするかが重要だと思います。いつもきれいでニコニコしていることは、子どもの成長にとってもいい影響を与えますしね。

自分の魅力をプロデュースできるのは自分しかいません。毎朝、鏡のなかの自分に『よし、これならオーケー』と自分を褒めてあげられるかどうかが重要です」


仕事と子育ての両立のワザと共に、女性としての立ち居振舞方、美しさや笑顔の大事さも教えてくれました。ワーキングマザーはもちろんのこと、忙しいワーキングウーマン全般にも役立つアドバイスといえそうです。

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WRITING :
石原亜香利
EDIT :
安念美和子