夏が近づいてくるとやってくるのが「夏至」。では、夏至とはどんな日なのでしょうか? 2020年の夏至はいつからいつまでなのか、また、夏至の反対にあたる2020年の冬至についても日付を確認してみましょう。さらに、夏至に食べる食材や行事食、世界の夏至祭やイベント、風習などもあわせてご紹介します。

■2020年の夏至はいつからいつまで?

2020年の夏至はいつからいつまで?
2020年の夏至はいつからいつまで?

日本には季節を表すさまざまな暦がありますが、「夏至(げし)」は二十四節気のひとつ。「夏」という漢字が使われているように、夏が近づいてくる頃にやってきます。では、2020年の夏至はいつなのでしょうか?

2020年の夏至は6月21日から7月6日まで

2020年の夏至は、6月21日(日)。二十四節気とは、平安時代から使われている日本の暦で、古代中国から伝わりました。二十四節気は太陽の動きをもとにしているため、夏至の日付は毎年異なります。天文学的には、国立天文台で発表されている2020年6月21日(日)6時44分が夏至となります。また、二十四節気においては、夏至の次の節気である「小暑」が2020年7月7日(火)のため、夏至の期間は6月21日から7月6日(月)となります。

例年の夏至はいつ頃?

二十四節気は太陽の動きによって作られている暦のため、日付が毎年変わるのは前述の通りです。例年の夏至は、たいだい6月21日、または22日となります。

夏至は何時ごろまで明るい?

夏至は昼間の時間がもっとも長くなる日のことを言いますが、夏至の日は具体的に何時ごろまで明るいのでしょうか? 国立天文台が発表している2020年6月21日(日)の全国各地の日の出、日の入りの時刻をご紹介しましょう。

札幌 日の出3:55 日の入り19:18
青森 日の出3:55 日の入り19:18
東京 日の出4:26 日の入り19:00
名古屋 日の出4:38 日の入り19:10
大阪 日の出4:45 日の入り19:14
広島 日の出4:58 日の入り19:26
高知 日の出4:56 日の入り19:19
福岡 日の出5:09 日の入り19:32

夏至の日の入りは、ほとんどの都道府県で19時台。かなり遅くまで明るいことがわかります。

■夏至ってどういう日なの?

2020年の夏至の日は、6月21日(日)。では、そもそも夏至とはどんな日なのでしょうか?

夏至は昼の時間がもっとも長い日

夏至は、1年の中でもっとも昼の時間が長くなる日のこと。太陽と地球の動きによって、日の出や日の入りの時刻は季節で変わります。その中でも夏至の日は、太陽が早い時間に昇り、遅い時間まで沈まず、昼の時間が長くなるのです。

夏至は二十四節気のひとつ

日本では、ワールドスタンダードのグレゴリオ暦と合わせて、「二十四節気(にじゅうしせっき)」と呼ばれる暦も親しまれています。この二十四節気は1年を24等分したもので、「夏至」はそのひとつです。

二十四節季の中でも重要な節目となるのが、春分、夏至、秋分、冬至の4つの節目である「二至二分(にしにぶん)」。春分と秋分は昼と夜の時間が同じになり、夏至は昼の時間が最も長く、冬至は昼の時間がもっとも短くなります。

また、それぞれの季節の始まりを告げる立春、立夏、立秋、立冬の4つを「四立(しりゅう)」と呼び、二至二分と四立をあわせたものが「八節(はっせつ)」で、この八節を3つの節気にわけたものが二十四節気となります。

■夏至の反対? 2020年の冬至っていつ?

先ほどもご紹介したように、夏至は1年でもっとも昼が長い日ですが、それとは逆で1年でもっとも昼が短く夜が長くなる日が「冬至(とうじ)」です。2020年の冬至は12月21日(月)19時02分となります。

■夏至の食材・行事食

夏至は二十四節気の中でも、大切な節目の日のひとつ。そのため昔から日本では、夏至の日に特定の食べ物を食べる習慣が残っています。日本各地にある夏至にまつわる食材や行事食をここでご紹介しましょう。

「小麦餅・半夏生餅」(関東・河内地方や奈良)

昔の農家は小麦と米の両方を育てる二毛作を行っていた農家が多く、夏至を迎える頃に小麦の栽培と収穫が終わり、夏至から数えて11日目の「半夏生(はんげしょう)」の頃に田植えが終わったといわれています。

ちょうどその頃に食べていたのが、小麦餅。これは小麦粉をこねて焼いた餅のことで、忙しい時期に小麦の収穫などを終えることができたことを神様に感謝したり、お互いに労をねぎらったりする意味があったそうです。

また、夏至に食べる小麦餅は、河内地方や奈良県などでは「半夏生餅」とも呼ばれています。

「タコ」(関西)

小麦餅(半夏生餅)と同様、夏至~半夏生の頃に関西で食べられているのが、この時期に旬を迎える「タコ」です。半夏生の頃に田植えを終えた農家の方々の、「植えた稲の根がタコの足のように地にしっかりと根付いてほしい」「タコの吸盤に倣い、稲穂も大きく育ってほしい」という願いが込められているといわれています。

「無花果田楽(いちじくでんがく)」(愛知)

夏至に食べられている食材でユニークなのが、愛知県で残っている「無花果田楽」。半分にカットしたイチジクに、田楽味噌をかけて食べるメニューです。これがなぜ夏至に食べられるようになったか、その経緯は不明な部分も多いようですが、イチジクは不老長寿の果物と言われています。そのため、健康や長生きを願う意味合いがあると考えられます。

「焼き鯖」(福井)

福井県大野市を中心に残っているのが、半夏生に焼さばを食べる風習。これは現地で「半夏生鯖(はげっしょさば)」と呼ばれています。夏至の頃は農家にとってもっとも忙しい時期にあたり、この地方で水揚げ量が多い鯖を丸焼きにして食べるようになったそうです。鯖はタンパク質やDHA、EPAなどが含まれ栄養豊富なので、夏至の時期に焼き鯖を食べることで疲れた体を癒し、暑い夏を乗り切ることを目的に食べられているのでしょう。

「水無月」(京都)

京都で夏至になると食べられているのが、「水無月」と呼ばれる和菓子です。これは、白いういろうの上に小豆を乗せたもので、京都の多くの和菓子店では夏至の時期になると水無月が作られています。氷のかけらに見せたとされる水無月で夏の暑さを乗り切り、また、上に乗っている小豆には悪魔を払う意味もあるのだそう。

昔は、このような和菓子は庶民にとって貴重で高価なものでした。しかし、夏至などの節目のときには、無病息災を願っていた食べられていたと考えられます。

「うどん」(香川)

うどんが名物である香川県では、夏至にうどんを食べる習慣があります。これは、小麦の収穫などが終わる夏至から半夏生の頃に、うどんを打って人々に振る舞っていたため、といわれているようです。

■世界の夏至祭、イベント・風習

世界の夏至祭、イベント・風習
世界の夏至祭、イベント・風習

1年でもっとも昼が長くなる夏至の日にお祝いの行事を行う国も多くあります。ここでは、日本や世界各地にある夏至のイベントや風習をご紹介します。

日本の夏至

夏至に行われる季節の行事として日本でもっとも有名なのが、三重県伊勢市の二見興玉神社で行われる「夏至祭」。二見興玉神社にある夫婦岩と呼ばれる奇岩の間から太陽が昇ってくる時刻に合わせ、人々が汐を浴びて心身を清める行事です。太陽のエネルギーがいちばんあふれ出すと考えられている夏至の日に行われることから、「夏至祭」と名付けられています。

中国の夏至

中国では、夏至の日は麺類などを食べる風習があります。これは、小麦の収穫にあたる夏至の時期に、収穫を祝って豊作を祈る習慣からきているもの。暑くなる季節のため、夏至には冷たい麺料理を食べて、冬至には餃子やワンタンなどが食べられています。

スウェーデンの夏至

北欧は冬の期間が長いため、夏至になると喜ばしい季節の到来として盛大にお祭りが行われます。代表的なのが、スウェーデンの「夏至祭(ミッドサマー)」。スウェーデンではクリスマスやイースターと同じくらい重要な行事となっています。白樺の葉と季節の花でポールを飾った「メイポール」と呼ばれる飾りを用意し、人々が集まって歌を歌ったり踊ったりして過ごします。

フィンランドの夏至

フィンランドでも夏至を盛大にお祝いします。フィンランドでは夏至祭を「ユハンヌス」と呼び、クリスマスの次に重要ともいわれています。人々は実家に帰省して家族や友だちと過ごしたり、親しい仲間と共にのんびりと夏の到来を楽しみます。そして夏至の夜になると「ユハンヌス コッコ」と呼ばれる焚火を行い、邪気や悪魔を追い払い、豊作や幸運を呼び込みます。

ノルウェーの夏至

ノルウェーでは、夏至祭の前日にあたる日を「サンクトハンス」と呼び、お祝いを行います。このサンクトハンスでは、焚火をたいてソーセージやお粥を食べたり、焚火の周囲で思い思いにダンスしたりしながら楽しみます。また花や葉で飾りを作り、女性はそれを髪に飾ったりします。

季節の移り変わりを楽しむ夏至

夏至は祝日ではありませんし、わたしたちにとってはあまり特別な日ではないかもしれません。しかし、夏至は昔から季節が変わっていくときの節目となる大切な日とされてきました。2020年の夏至は、四季の変化にも目を向けながら、昔からの風習を大切にして過ごしてみませんか?

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